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呼吸するように

私が所属する学童預かり保育。
ここで子どもたちと関わらせていただくようになって3年が過ぎました.


ここまでのこと、最近のことを思い返してみると
本当にみんなそれぞれに、ひとり一人が、
エッジの効いた個性だなぁと感じます。

それだけ関わる時間・年月を重ねて、
たくさんの表情を見せてもらってきたのだと思います。


小学生のMちゃんも、そうでした。
当初私が彼女に感じた印象は
「あまり発言しない、笑わない、いつも隅っこにいる」でした。
宿題はいつもサクッとこなして、間違いはほとんどなく
静かにいつの間にか終わらせている。
字がとってもきれい。
とってもバランスの取れたやさしい字を書くのです。
小学生のサポートに入った日は、感心して
「本当にいつもきれいな字を書くね~」と
毎回言ってしまいます。

遊びはいつも同じ友達と、同じことをして遊ぶ。

集団遊びは好まないようで、外でも、室内のホールでも
ワーワー言って遊ぶ子たちの隅っこで、座っておしゃべりしながら
遊んでいます。

初めのうちは、遊びを提案したり誘ったりもしましたが
声を掛けると、「…いい、しない」と言われてしまいます。
”同じ友達と同じ遊びをする” のが、
Mちゃんの大切な時間なんだなということが、だんだんとわかり、
私もそっと見守るようになりました。


心の距離



不思議です。
そのうちに、私は時々Mちゃんの遊びに誘われるようになりました。
「ねぇ〇〇して」「これ、持っている役になって」と。

・・でそれをすると(そこに身を置くと)、
Mちゃんたちがどんなふうに遊びを楽しんでいるのかが、
わかるのですよね。 身を置くとわかる。
遊び、特にごっこ遊びは、子どもにとってたくさんの感情の処理が
行われているようです。



そうしてまたしばらくたったころ、
今度はMちゃんが一人で私の傍にきて 
ポツポツと(多分あまり人に話さないであろうことを)
話すようになりました。

「あれ? こんなに色々話すんだ」と私も少しずつ彼女に
いろいろなことを尋ねるようになりました。
学校でのこと、今日の給食のメニュー、好きな食べ物、好きなテレビ
家での遊び、などなど。。。

ついには自分から、
お母さんに~して怒られた、ショック とか
~してほしいのに、してもらえない 悲しい とか
学校で~が、すごくいやだった とか

これもまた普段彼女がほとんど表に出さない
自分の内面の気持ちを話すことが頻繁に出てきて
ほっとしたことを覚えています。



心の器の深さは 子供か大人かでは測れない


かなり色々な話をするようになった頃、
私が「Mちゃんは家で、そういう話するの?」と
尋ねたことがありました。
「ほとんどしない。だって聞いてもらえないもん」
と言ったまま黙ってしまったことがあって
何か言えない事情や理由があるんだろうなと感じたこともありました。

私はMちゃんには特に、本音で話すことを心掛けました。
というよりも、自然と本音で話すようになりました。
何故なら、Mちゃんに何か話した時の 
”寄り添い力” というのか ”受けとめ力” というのか。

包容力があるなぁと感じる場面が多かったことが、
自然にそうさせたのだと思います。

何かの話題について 「~だったんだよね」と話したときの、
相手の気持ちをかなり深く感じ取っている・・と感じる場面。
そういうことがが多々あったのです。



言わないのは 何もわかっていないから?
言わないのは 何も感じていないから?


ある日、Mちゃんの親御さんのお仕事が長引いて、
お迎えが遅くなる連絡が入り、閉所時間を過ぎるということで
私とMちゃんと、二人でお母さんを待つということがありました。

この頃になると、Mちゃんとは本当に色々な話をするようになっていたので
この日も「今日の晩ごはん、何食べたい?」から始まり
(翌日が休日だったこともあり)
休みの日の過ごし方の話になりました。

詳細については書きませんが、この時Mちゃんは
休みの日の過ごし方に辛さを感じていることを
ぽつりぽつりと話始め、聞かせてくれました。
日頃そういったことを話すことはないので、
驚きながら、でもじっくり聴きました。

もちろん親には親の事情があってのことで、
Mちゃんは辛い気持ちを家で話したことがないそうです。


感じていることをそのまま話せてよかった~と
思いました。

「何も言わない」から 「何も困った様子がない」から
”子どもは何も感じていない” のではない。

感じているけれど言わない選択をしているのかもしれない。
自分が感じていることを、言ってはいけないと思っているのかもしれない。
(これまでの経験や周囲の反応から、そう思い込んでいるのかもしれない)

小学生でも幼児でも
「特に相手の気持ちを深く感じやすい質をもった子」もいますし
深く感じている子ほど、周囲を気遣って言えずにいることもある。。。


大人がそう頭の片隅で知っておけば、
力を入れなくても、必要な時にはゆっくり話を聴いたり
話しやすい場面を準備できるように思うのです。

身近な誰かが、いいも悪いもなく
ただ話を聴いてくれる、安心して話せる

そのことを子ども自身がわかっていれば
聞いてほしい時に何かのサインを出してくるか
もしくはサインを出しているつもりはなくても
誰かが気づくと思います。





強制でも力づくでもなく、
自然のままで、自分の思いをそのまま話せる。

呼吸するように、安心して話せる場があれば
そんな時間がもてたら、
ちょっと不安に思っていることや
気になっていることや悩みって
自然にとけていくのかもしれないですね。















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