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スポーツ都市戦略

紹介書籍 『スポーツ都市戦略』 学芸出版社 原田宗彦


本書では、都市戦略という視点から、エンターテインメント装置としてのプロスポーツの存在や、大規模スポーツイベントが誘致できる施設を持つことの重要性を指摘するとともに、住民の健康的な生活習慣を誘発するまちづくりや、地域の隠れた資源であるアウトドアスポーツを活用した地域の活性化について論じている。(p4)

第1章ではスポーツが「アマチュアイズム」から「ビジネスイズム」に変化した点に着目しスポーツが都市との関係に大きな影響を及ぼしたことを述べている。第2章では地域スポーツイベントと都市をテーマとし、都市の活性化装置としてのスポーツイベントの役割と、スポーツイベントの種類について考察している。第3章では、オリンピックと都市の深い関係について述べられている。第4章では本書の根幹であるスポーツツーリズムと都市戦略をテーマにしている。第5章では、スポーツツーリズムの推進組織として、都市の活性化装置の役割を担うスポーツコミッションについて論及している。第6章では、スポーツ都市の形成に向けた具体的ステップの前段階として、スポーツの親和性の高い都市の全体像を概念的に把握することを目的としている。最後の第7章では、2020年に向けた具体的なスポーツ都市戦略に必要な4つステップを紹介している。

私が印象に残った話はモノづくり大国日本を自負していたが今後観光産業がさらに伸びていくには「コト」を提供する産業を育成する中で、高付加価値の「モノ」(生産、販売するというサービスを核とした新しいビジネスの考え方が必要だということである。例えば、マラソン大会のような参加型イベントというコトづくりを通して、シューズやウェアといった「モノ」が売れる仕組みを作り、コトを体験する中で、モノが生み出す価値経験を最大化していくということである。コトづくりがモノづくりを先導することで観光産業がさらに伸びていくという話だった。

本書は都市とスポーツの関係を深める具体的な方策を提案する視点としてスポーツツーリストの増加と地域活性化を狙う域外交流の視点である「スポーツツーリズム」、エンターテインメント装置としての地域に密着したトップスポーツチームの進行を狙う域外交流と地域資産形成の視点である「トップスポーツチームの振興」、スポーツや運動への参加を容易にする「スポーツに親しむまちづくり」の3つの視点から書かれている。その3つの視点を踏まえることでスポーツ都市戦略について様々な角度から考えることができるだろう。

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