地元で店をやることについて
今回のこの騒動で、東京を離れ、地方にオフィスを移転する企業や、
地元に帰って職を探す人などが増えているそうだ。
もっともな事だと思う。
僕自身「地元でお店やろうとか思わなかったんですか?」と聞かれることもある。
僕の地元は、神奈川県藤沢市というところにある。
歩いて20〜30分で海に出られる、いわゆる「湘南地方」である。
(実は、地元の人はあまりこの言葉を使わない。)
もちろん、開店前、あるいは開店してからも、考えなかったわけではない。
ただ、僕は、大学に入ったときにすぐ地元を離れて、一人暮らしを始めてしまったので、20歳をすぎて、お酒が飲めるようになってから、地元湘南地方でいわゆる「大人遊び」をした経験がほとんどない。
どこにどんな店があるのか、全く知らないのである。
もちろん小さい頃からの知人で飲食店をやっている者もいるにはいるが、もうすっかり地元を離れて時間が経ってしまっているので、とてもネットワークとは言い難い、つまり、地元にとって僕は全くの「門外漢」なのである。(もっとも「神保町」にもなんのネットワークもなかったが)
そんな僕が、地元で店をやるといっても、いったいどこでどんな店が流行るのか全く見当がつかない。(もっとも「神保町」でも何が流行るのか見当もつかないが)
それに、皆が簡単に言うほど、あの地方での商売が容易いものとは、とても言えないと思っている。
いつだったか、城山三郎の小説「毎日が日曜日」(だったと思う)の中で、湘南地方の人間を評して、「なまじ東京から近いせいもあって、舌だけはやたらと肥えている割りには、地元でお金を落とそうなどと微塵も考えていない、実に商売のし難い相手」とあるのを読んだ記憶があるが、自分を含めて、全くその通りだと思う。
実は、何年か前、身内が体を壊した際に、実際に移転を模索したこともある。
その時は、なかなか良い物件に巡り会わず、結局話は実現しなかった。
あの時、移転していたら、今頃どうなっていただろうと、時々思う。
※
話は遡って、学生時代の頃の話。
東京の大学で知り合ったクラスメイトが、実は地元が同じだったことが分かって、夏休みに帰省した際に、藤沢で落ち合ったことがある。
大学へ実家から通っていたそのクラスメイト(実際、湘南地方は、東京へは通勤・通学圏内である)は、最近ちょくちょく行っているという、もちろん僕の知らない地元の「カフェ」へ連れて行ってくれた。
そこで飲んだ「オレンジジュース入り珈琲」は、僕が普段、神保町で授業の合間にすすっていた珈琲とは全然違う、「リゾートの珈琲」の味だった。
※
6月もノンアルコール営業の要請が延長されそうである。
ノンアルコールカクテルもどんどん新しく開発していかなければならない。
今度、あの時飲んだ「オレンジ珈琲」をカクテル風にやってみようかと思う。
さて、果たしてそれは神保町ではウケるのだろうか。
ちなみに、珈琲豆は、開店以来、藤沢のお隣辻堂の「27 coffee roasters 」さんから取っています。
アイデア:藤沢
材料 :辻堂
制作 :神保町
変な三角関係。
神保町へお越しの際は、是非お立ち寄りください。
その「カフェ」はまだあるのかな。今度帰ったら30年ぶりに覗いてみようか。
お待ちしております。
By the Seaside / L’Indécis featuring Saib
Chillhop Music
2018
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)
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