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活用事例|「小山駅周辺エリアまちづくりプラン策定プロジェクト」 ー デジタルプラットフォームを通じた市民と行政によるエリアビジョンの共創 ー

株式会社Groove Designsが提供するサービス「my groove」は、地域で活動する人々のアクションと共創を支援する、まちづくりに特化したデジタルプラットフォームです。当社が培ってきた地域まちづくりのノウハウと、デジタルテクノロジーを融合して、行政・市民・企業による“共創まちづくり”を推進しています。 

まちづくりの情報を得たい人から活動に参加したい人、情報発信をしていきたい人、
様々なユーザーが使えるmy groove

本記事では、栃木県小山市でのmy groove導入事例「小山駅周辺エリアまちづくりプラン策定プロジェクト特設サイト」をもとに、本サービス導入による成果や効果をご紹介。プロジェクトを担当した自治体職員様インタビューもお届けします。 

小山市のプロジェクトでは、「my groove」は、まちづくりビジョンづくりに多様な市民の参加を促す役割を担いました。2週間半の意見収集期間で200件近い意見(※事務局による代理投稿を除く)、500件以上の意見へのリアクションが集まりました。また、特設サイト訪問者向けの簡易アンケートへの回答も1,300件弱集まりました。 

「まちづくりを自分ごとに」をコンセプトに実施した小山市の取り組み。プラットフォーム導入のプロセスや、どのような効果・意義があったのか、ご紹介していきます。

2023年5月31日には、PLAN OYAMAの完成版が小山市より公表されました。ぜひご覧ください!


「小山駅周辺エリアまちづくりプラン策定プロジェクト特設サイト」の導入背景と目的は?

my grooveを活用した「小山駅周辺エリアまちづくりプラン策定プロジェクト特設サイト」(以下「特設サイト」)は、駅周辺地域のまちづくり推進にむけ、市民と行政が共創し、対象地域の活性化や賑わい創出に繋がる将来像(ビジョン)を描くことを目的に設置されました。(※my grooveのシステムは、本実証期間中はオープンソースの参加型合意形成プラットフォームdecidimをベースに当社で独自にカスタマイズ開発したものを用いています。)

新幹線の発着駅でもある小山駅周辺は、近年、駅の整備や再開発による利便性向上や、再開発事業等により、まちなか居住を推進しています。その一方で、空き店舗や駐車場が依然目立ち、地区の賑わいが失われている状況です。そのため、今後まちなか居住をさらに推進していくため、行政と民間が協働し、まちづくりを推進していく指針として、2ヵ年かけてビジョン策定を進めています。 

「まちづくりをみんなが自分事に」という思いから、小山市では2021年度からアンケートやワークショップを実施。そこで得られた意見に加えて、リアルな場に参加できなかったより多様な人たちの意見をプランに取り入れることを目指し、デジタルプラットフォームを導入しました。

プラットフォームの機能によって、この特設サイトでは誰もが過去の情報を時系列で追うことができたり、時間帯や場所の制約を受けることなく自分の意見を書き込むことができます。

 

<トップページでは、まちづくりプランの策定がいまどの段階にあるのか一目でわかる>


 「my groove」活用による成果と特徴


ここからは、「my groove」を使ったプロジェクト推進・意見募集の特徴を3つご紹介します。

1.市民からの「わかりにくい」を解消!

 「まちづくりの計画をつくっている」といっても、市民にはなかなか身近なものと感じづらく、行政が広めたいと思っても、なにをやっているのか伝わりづらいものです。my grooveを使えば、過去の経緯から、現時点で行っていること、今後の見通しなどをわかりやすく視覚化して伝えることができます。

2.市民意見を都度募りながら、プランを検討!

 通常、『プラン策定初期段階に意見募集→内容検討→策定作業→パブリックコメント→完成』という流れになりがちですが、my grooveと活用すれば、プラン策定作業の途中段階でも、市民に意向を確認することができます。大規模なワークショップを行う必要もなく、my grooveの意見募集ページを立ち上げ、それらを拡散することで、小山市では200件近い熱量ある意見が集まりました。 それにより、策定途中でも方向性の確認や、抜け落ちていた視点の確認などができました。

エリアごとに将来イメージについて、コメントをいただく

3.短期間で情報発信及び意見収集ツールを立ち上げ!

 小山市の特設サイトは、my grooveを活用したことで、サイト検討から立ち上げを1ヶ月で実施。一からHPを立ち上げる手間や、意見募集のシステムを構築する必要がなく、スピーディーに導入することができます。

 小山市のようなmy groove活用例では、計画策定の途中段階で、かつパブリックコメントほど固まりきっていない段階で導入する際に効果を発揮します。
 
プラットフォームによって、行政・民間・市民の新たなコミュニケーションが行われ、情報伝達や意見交換、経過報告を継続的に行うことが、事業成功の鍵となります。高いエンゲージメントを保ち、「ともに創っていく」機運づくりにつながります。

 プラットフォームの運用プロセス

 
プラットフォームの運用にあたり、4つの段階を設けました。まずはじめに、事業が目指す方向性を整理して、目的やビジョン、ターゲット、目標などの項目を明確化および言語化します。その上で、方向性に沿った独自のサイト設計と構築を行います。

さらに、ビジョン策定に関わっている検討委員の方々にインタビューを行い、発信内容のニーズや参加しやすくなる工夫の仕方などを市民目線で整理しました。それらをもとに、情報発信や意見収集を実施しながら、サイト運用を進めていきます。終盤には、意見収集後の反映状況を途中経過として発信することで、プラン策定プロセスの見える化を行いました。


プラットフォームの立ち上げを行う際には、当社の地域まちづくりのコンサルティング経験を活かし、my grooveを活用することの目的や目標設定を一緒に行いました。このようにプロジェクトとして何を目指すのか、プラットフォームによりどのようなことを達成したいのかを整理することで、その実現に向けてやるべきことが明確になり、プラットフォーム運用がよりスムーズになります。

また、広報活動のためのポスター等のデザインフォーマットを提供。掲載内容の整理やポスターデザインを0ベースから行う必要はありません。制作データを提供するため、ポスター印刷のみならず、デジタルサイネージへの掲載も同一データで可能です。

LINE等のSNSでの発信やサイネージでの周知(掲載内容の整理やポスターデザインを弊社で担当)

意見募集ページを公開した際には、様々な方が自分の意見を書き込んでくれました。投稿は本名ではなく、ニックネームでの掲載となるため、匿名性が保たれます。(登録に際しては本名を併せて登録していただきます)

過去に実施したワークショップなどで得た意見をもとにまちの将来像をイラスト化したものに対して、朝、昼、晩と、ユーザーが自分の好きな時間帯、シチュエーションで書き込むことができました。

また、誰かの書き込んだ意見に対しての感想や共感のコメントなど、ユーザー同士での意見交換も活発に行われました。特に共感を集めた意見には、いいねマークのリアクションが多数残され、共感意見の強弱もそこから見てとれました。

特設サイトでの意見収集の様子(1つのエリアの将来像に対して、多くのコメントやそのコメントに対する意見・感想等、双方向のコミュニケーションがサイト内で発生)


my grooveを導入してみてどうだった? 小山市自治体職員インタビュー

まちづくり推進課(令和4年度当時)のみなさん

Q:「my groove」を使ってみた感想を教えてください。 

淺見さん|「my groove」を使ったことで、市民の方たちとのコミュニケーションが格段にやりやすくなったと思います。普段はこちらから情報発信して(市民から)反応を返してもらうだけのやり取りでしたが、今回はお互いに意見交換ができて、かつウェブ上で信頼関係も築けました。今までとは異なる、行政と市民の新しいコミュニケーションのあり方だと感じました。

田中さん|「これまで(市民から)見えなかった意見が可視化されたのは、「my groove」を使って良かったと感じました。通常の意見募集でデジタルツールを使う機会があっても、行政側が意見をもらって終わりになってしまうケースが多いです。けれども、サイト上で個々の発言した内容が見えているおかげで、私たちだけでなく、一般の方々にも見てもらえました。意見が広く共有されたという点で、非常に効果的だったと思います。

Q:当社(株式会社Groove Designs)と協働してみていかがでしたか?

淺見さん|当初は、単にサイト作成の技術支援だけだと思っていたのですが、実際にはプランの目的整理や、目標に向けたプラットフォームの活用方法について、俯瞰した視点からアドバイスや協力をしてくれました。改めてプランを見直す良い機会になったと思います。

田中さん|ただ意見を集めるだけでなく、サイトアクセス数などのデータ収集までしてくれたのはよかったと思います。通常の行政業務では網羅できない部分を、皆さんが専門知識をもとに分析していただいたおかげで、私たちが普段気づかない情報を得られました。 

田中さん(写真左)と淺見さん(写真右)

Q:「my groove」を導入する上で期待していたことはありますか? 

中村さん|2点ありまして、これまでリアルで行っていたワークショップと同等の意見交換がオンライン上でも実現することと、多くの市民の方に関わっていただくことでした。実際にサイト上では様々な意見が出て、それらに対する意見やいいねの数が可視化されました。また2,000名近くの閲覧があり、多くの方が参加していただけたのはよかったです。

中村さん(写真左)と渡邊さん(写真右) 


Q:今後の「my groove」活用方法を教えてください。

渡邊さん|まちづくりプランが完成した後は、それをどのように推進していくかを考える必要があります。そのためには、少人数だけで考えるのではなく、近隣や駅周辺の方々を巻き込んでいくことが大切です。このサイトを、そのような人たちに情報を届けるためのツールとして活用できたらと思います。

中村さん|まだまだリアルでの参加に対して、心理的なハードルを感じられる方も多くおられると思います。(ハードルが低い)オンラインでの参加からリアルの場に来ていただけるようなサイトの活用方法を模索していきたいです。

 

 導入結果まとめ:オンラインプラットフォームで得られた“約200件の意見”をプランへ反映


小山市の事例では、過去に実施したワークショップなどで得た意見をもとにまちの将来像をイラスト化。特設サイト上で、仮案に対する意見を収集しました。その結果は、以下のようにまとめられます。

●18日間(2022/11/19~/12/6)という短期間の意見募集でも、意見投稿数が200件近く集まった。

●投稿された意見は具体性があり熱量の高いものが多く、歩きやすい・暮らしやすい小山駅周辺を実現していくうえで感じている課題や、具体的な提案などが見られた。また、プロジェクトに参加したいか?という問いかけに対しても80件以上の応答があり、単に応援したいというだけでなく実際に活動に参加したいという回答も見られた。

●特設サイトでは、駅周辺の9エリアそれぞれで検討中の将来ビジョンへの意見収集を行った。この際、1クリックで回答できるアンケートによりサイト訪問者の各エリアへの関心度も把握するなど、プラン検討を後押しするデータ把握・分析も行った。

●実際に投稿した人は、20~40代が80%以上を占めていた。そのなかには、以前小山市に住んでいたが今はまちを離れており、たまたま駅で意見募集のチラシを見かけて投稿したという方もいた。

また、これまで直接的に声が届きづらかった「歩行者視点での声」「具体的な課題や解決アイデア」「かつて小山に住んでいた人などの関係人口」の声などが得られたことが、デジタルツールを活用した特徴であり、成果といえるでしょう。

集まった意見からプランへの反映状況は、特設サイト内にて掲載されています。

最終プランの途中経過報告|特設サイト>  

[特設サイトを利用した市民のコメント] 

「自分と同じ意見を持つ方がいて嬉しいです。やはり、現状を変えることが皆にとって使いやすくなると思いました。また、今まで気づかなかった場所にも意識が向きました。」 

「様々な意見があってとても勉強になりました。まちを良くしたいという気持ちはみんなで共有していると分かり、嬉しく感じました。」

 デジタルプラットフォームを通じて多様な市民の声を集め、エンゲージメントを高めることに成功

 

「小山駅周辺エリアまちづくりプラン策定プロジェクト特設サイト」では、デジタルプラットフォームを通じて市民の多様な声を集めることに成功し、多様な市民の意見やニーズを反映したプラン策定を実現しました。さらに、市民同士の意見交換やコミュニケーションを通じて、オンライン上で議論を深められるといった効果もありました。

「my groove」は、効率的な情報発信や市民との相互コミュニケーションを実現するためのデジタルツールとしてだけでなく、これまで声を拾えていなかった層を取り込むことでプランの解像度を上げるツールとしても効果を発揮します。

ぜひ本サービスを活用して、市民と行政の共創まちづくりに取り組んでみませんか?

 

「my groove」導入を検討されている行政・自治体職員さまへ

 

「my groove」に関するお問い合わせやご相談は、こちらからお願いいたします。

お問い合わせいただいた方には、他地域の事例や詳細のご説明に加え、無料でサービスのデモをお見せします。

また、まず一度自分たちの事業に当てはまるか相談してみたい、というようなカウンセリングについても無料でご対応しています。お気軽にお問い合わせください。


採用についてのお知らせ

Groove Designsではmy groove展開や地域での市民・地域主体でのまちづくり推進のコンサルティングなど多様な活動に取り組んでいます。
「人とまちの関係性をデザインする」というミッションにピンときた方は、ぜひご応募お待ちしています。


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