Gerard Morenoという名のDios

第22節 Elche CF contra Villarreal CF 2-2(現地時間18:30 kick off)

総評

Elche CF
Almironは前半、息ができなかっただろう。
だからこそ、Gerard Morenoが後半50分にピッチに背を向けたとき、Almironは息をついたに違いない。
それほど、彼がスーパーでアンタッチャブルな選手だったからだ。

その後の40分間はElcheの時間だった。
相手のピボーテの脇を使い、両サイドに余裕をもたらした。特にJosanのクロスは何度もAsenjoを驚かせた。
“空”をうまく利用し、ゴール前での優位性を作ってCarrilloとBoyeに自由を与えたことも抜け目ない。
価値のあるドローだった上に、勝てたゲームだった。

Villarreal CF
Gerard Morenoの有無がはっきりとわかったゲームだった。
彼はゴール・アシスト・キーパスすべてをこなすVillarrealにおけるMessiである。
後半、彼がピッチを去ってからは、ゴール前で仕事をこなすプレーヤーや、馬力あるドリブルでBadiaを脅かすプレーヤー、献身的なプレーでチームを鼓舞するプレーヤーはいても、チームを勝たせ切れるプレーヤーはいなかった。


【Villarreal CF】マッチレビュー

Gerard Morenoがいる時間帯
通常、レビューを行うときには4局面に分けてレビューするべきなのだろうが、この試合に関していえば、Gerard Morenoの有無が一番の争点であり、攻守ともに大きな影響を与えている。

Gerard Morenoは、攻撃の局面ですべてをこなすプレーヤーである。
裏抜け、ライン間でのボールの引き出し、ハーフライン付近まで降りてきたときの起点づくり、、、挙げ出したらキリがないくらいに、彼は仕事をする。
Morenoが直接絡んだ決定機は以下の通りである。

・前半15分 Morenoの得点。中央でCoquelinのくさびを受けたTriguerosが裏抜けを狙うPacoへパス。その横でフリーになっていたMorenoが受け取り、丁寧にファーに流し込んだ。
・前半35分 Morenoのドブレーテ。J Costaからバイタルエリアで受け取り、そのままファーへ巻いた芸術的な一撃。
・前半40分 中央でPacoの裏抜けへの絶妙なパス。Badiaに阻まれるも、完全にデフェンスラインを欺いた。
・前半42分 Pacoから受け取ったシュートはBadiaのセーブに阻まれる。

彼が直接関与した決定機だけでも45分で4つ存在する。
それ以外でもMorenoが引きつけて、空いたスペースを使った攻撃シーンは多々見られた。PacoとTriguerosは、間違いなくその恩恵を享受し、一つも二つも上のレベルでプレーすることができていた。
Morenoは、居るだけでチーム全体の攻撃を保証する存在である。
後半に露見した守備の緩みをそれほど感じないほど攻め続けることができたのは、Morenoあってこそだった。


Gerard Morenoがいない時間帯
よもやEmeryも、ここまでチームが様変わりしてしまうとは思わなかっただろう。
やっと帰ってきたエースに頼り切った前半は、後半の停滞を生んだ。
アタッキングサードでの単調で、崩しきれずに有耶無耶になって終わる攻撃は、それまで隠れていた守備の緩みを露呈させた。
負傷したCoquelinに変わってピボーテを務めたFoythは、本職CBの選手であり、高さや強度はある程度あれど、ピボーテで必要な、相手の攻撃を摘み取る嗅覚が研ぎ澄まされているわけではない。
1失点目は、中盤に開いたスペースを潰すためにParejoが出て行ったそのスペースを使われたことからも分かるように、ピボーテの脇のスペースを自由に使われた。
また、ピボーテの脇に付随して、サイドのスペースを自由に使われたことも気になる。
クロスを何本も挙げられて、苦手な空中戦を強いられた。Josanのクロスをファーで待ち構える選手はJ CostaとTriguerosだった。あまりにも分が悪い。
Villarrealの攻撃面の課題は、Morenoの役割をどうやって割り振るかにある。
MoiやTriguerosは、気の利いたプレーヤーであり、ハードワーカーであることに間違いはないが、“違い”を作ることができる選手ではない。
Pacoは、ゴール前で違いの作れる選手であって、起点になれるタイプではない。
大きすぎるMorenoのタスクを、どう振り分けるかが重要であろう。


最後に

Villarrealが野戦病院状態であることに変わりはない。ピボーテのポジションは、Iborra、Capoue、Coquelinがおらず、代理としてFoythをおくしかない現状を受け止める必要がある。(Foythがよくやってくれていることは彼のために記しておく)


しかし、Emeryは名将だ。
第4節のFCB戦で大敗したのちに、すぐに軌道修正したように、今回も何かしら正解を見つけてくるだろう。
久保の影響で日本では無駄に叩かれていたが。


結論、Morenoがいれば、とりあえずは、大丈夫だしね。

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