その⑦結果(カテゴリ分析)

1. カテゴリー分析
はじめに、ティール組織の形成に寄与する人の特徴、スキルについて明らかにすることを 目的に、カテゴリー分析を行った。はじめに、5 名の逐語録データから、ティール組織の形 成に寄与する人物の特徴、スキルにかかわる記述を意味のあるまとまりごとに抽出、切片化した。その後、著者が類似性の観点から切片を分類し、小カテゴリー、大カテゴリーを作成 した。スキルでは 159 枚の切片が、[持続性重視][共感性の重視][責任感][行動力][コミュニ ケーション][自然体][多様性]の7つの小カテゴリーに分類された。[持続性][共感性の重視][責任感][行動力]の4 つの特徴を集約して、“組織つくり”として大カテゴリーにまとめた。また、[コミュニケーション][自然体][多様性]の 3 つのスキルを“組織文化の醸成”とし て大カテゴリーにまとめた。

(1)大カテゴリー1:"組織つくり"
自分自身が作り上げる組織が長く続くように意識して仲間を招集すると いう“持続性重視”、目標やビジョンなどに共感し合える仲間を集めるという“共感性の重視”、 組織を形成する中心者として掲げたビジョンや目標を徹底的に信念として行うという“責任感”、自分自身が掲げたビジョンや目標を達成するための行動をし続けるという“行動力”、 以上 4 つの特徴、スキルはいずれも組織を形成することにかかわるものであると考えられ ることから、これらを“組織つくり”の大カテゴリーに集約した。

(2) 大カテゴリー2:“組織文化の醸成”
協力者達には意見の対立が起きたときは話し合いで解決することやメン バー全員が平等に組織内の情報を認知するための[コミュニケーション]、よいものをつくる ために様々な価値観をとり入れようとする[多様性]、計画的なことより偶発的なことを大切 にすることや、仲間や組織を 1 人でコントロールせず、チームとは自分のやりたいことや 自然体でいられる場であることを重視している[自然体]といった特徴、スキルがみられた。 これらはいずれも組織文化をもたらすことにつながる特徴であると考えられることから“組織文化の醸成” の大カテゴリーに集約した。

以上、カテゴリー分析結果から、ティール組織の寄与する人物の特徴とスキルとして、次世代へもつながるような、100 年先にも自分自身が形成する組織が続いていることを考えな がら組織を形成するという持続性の重視、また、組織の掲げているビジョンに共感している 人に説得などを行うのではなく、会う回数を増やすなどをして共感を深めていき仲間にし ていくという共感性の重視が重要なポイントであることが分かった。そのほかにも、ビジョ ンを全うするための行動はすぐに起こすことや、組織の立ち上げに寄与しビジョンに共感 して集まってくれた仲間の期待に応えるために掲げたことを貫こうとするなどと行動力や 責任感が特徴としてあることが分かった。また、仲間同士で意見の対立が起きたときは話し 合いで解決することや仲間全員に情報が平等にいきわたるためのコミュニケーションを積極的に行う姿勢や、1 人の意見を貫くのではなく、様々な意見をとり入れようとし、何かに 偏るのではなく、多様性を大切にしていること、計画的なことより偶発的なことを大切にす ることや、仲間や組織を 1 人でコントロールせず、チームとは自分のやりたいことや着飾 ることや気取って見栄を張ることはなく強みも弱みもさらけ出せる自然体でいられる場で あることを重視しているといった特徴としてあることがわかった。
つまり、ティール組織の形成に寄与する人物の特徴として、[持続性の重視]、[共感性の 重視]、 [責任感]、[行動力]、[コミュニケーション]、[多様性]、[自然体]の 6 つの特徴が重要であることが分かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?