その⑧結果(KJ法)

前項では、カテゴリー分析によりティール組織の形成に寄与する人の特徴、スキルについ ての整理をした。しかしながら、カテゴリー分析では協力者の発話の脈略や、カテゴリー間 の相互の関係性までは把握できない。そこで 5 名の逐語録データを KJ 法により統合し、全体プロファイリングを作成した。
5 名の逐語録の個別プロファイリングの結果、5 枚の表札と 32 枚のラベルの計 37 枚が最上位となった。各協力者の特徴を統合するため、これら 32 枚の元ラベルとした全体プロフ ァイリングを行った結果、一段目のラベル集め、表札づくりでは 32 枚の表札が作成された。 これらを元ラベルとし、二段目のラベル集め、表札づくりを行ったところ、最終的には 5 枚 の表札【A.目標達成】【B.共感】【C.非支配的】【D.コミュニケーション】【E.自分らしさ】が 作成された。
これらをさらに集約し、“組織の存在理由”と“組織文化の醸成”という 2 つの表札に集約し た。”組織の存在理由”は【A.目標達成】と【B.共感】の 2 つのスキルにかかわる表札、”組織文化の醸成”は、【C.非支配的】【D.コミュニケーション】【E.自分らしさ】の 3 つのスキル にかかわる表札からなる。

はじめに、”組織の存在理由“から内容について説明する。【A.目標達成】では、「自分の使 命を全うするための選択肢をとり続ける」「目標達成するための変化は拒まない」「次世代へ 残すためにも結果を残すことは大切」「ミッションを達成するために、自分が先駆者となる」 「目標を達成するためには強い信念を持つ」「チームの形は同じ状態を保てないから」とい うラベルを作成することができた。これらから、自分自身で掲げた目標を達成することにこ だわることや組織を長く続かせるために結果にこだわるという姿勢がみられた。【B.共感】 では、「ビジョンや組織文化に共鳴や共感してくれる人を集めている」「仕事をする仲間は、 気が合う人の集まりで居心地のいい人たち」「営みに共感し合える人達が仲間になってい く」「チームとはビジョンを共にする仲間であり、それに向かって一生懸命楽しんで働くこ とが大切」というラベルを作成することができた。これらから、ビジョンやなどに共感し合 える人物を集めていることやカルチャーマッチをしている人物を集めている要素がみられ た。
【A.目標達成】と【B.共感】は、自分が掲げている目標を達成するためには、自分の掲げ ている目標に共感している人物やカルチャーマッチしている人物を求めているという訴えがけがあった。つまり、目標達成するためには目標に共感している人物を仲間にすることであるから【A.目標達成】と【B.共感】は相互強化の関係であるといえる。

次に、”組織文化の醸成“の【C.非支配的】では、「人の縁を大切にし、人をコントロール しない」「組織を長く続かせるためには、意図的に支配された環境を作ると息苦しくなるの で望ましくない」「チームとは『やりたいこと』に共感している人の集団であり、それぞれ の価値観を尊重する」「人は支配されたり、コントロールされると離れていきやすいからコ ントロールしない方がいい」「長く続く組織にするためには、全員に意思決定権があり、特 定の所有権を作るのは好ましくない」というラベルを作成することができた、これらから、 集まった人たちを管理し、支配することやコントロールすること好まずに、自然の摂理に寄 り添った人の縁などを大切にすることを好むというような傾向がみられた。【E.自分らしさ】 では、「本音で関わることによって、遠慮ないようにしてみんなが無理せず気を使わない環境を作ることが大切」「1 つのコミュニティーに依存しすぎない方が幸せだし、自分の居心 地を良くするために全部持ち寄ることが大切」「本音をさらけ出せる場所でなければ長く続く組織にならない」「全員の主観的な意見を共有して偶発的なものを生み出すことを楽しむ」 「人を大切にしないといけないし、問題と個人は切り離して助け合う」「自分の考えに共感 してくれるからこそ、感謝しているし、仲間に強さも弱さもみせて本音で向き合う」という ラベルを作成することができた。これらから、気を使うことなく自分自身をさらけ出すこと を意識していることや居心地をよくするために自分自身をさらけ出すという要素がみられ た。【D.コミュニケーション】では、「上下関係がなく、常にフェアな立場で話し合う」「同 じ価値観を持っていることは重要で互いに尊重し合いながらも本音を言うことも大切」「意 見の対立とは、目標達成するためのものだから対立として捉えるのではなく達成するため のディスカッションである」「全員が対等であり、話し合いで解決する」「目標達成するため には、コミュニケーションをとって一丸となる必要がある」「自分の顔と名前が一致され、 認識されているチームの一員として安心する」「上下関係がなく常にフェアな立場で話し合 う」というラベルを作成することができた。これらから、良好な人間関係を保ち続けるため にはコミュニケーションが必要不可欠であることや上下関係をつくることなくフェアな立 場でコミュニケーションをとることが大切であるという要素がみられた。
【C.非支配的】と【E.自分らしさ】とは、非支配的にするからこそ自分らしさを大切に保 つことができ、自分らしさを大切にするならば非支配的な環境をつくるという訴えがけが あった。

つまり、非支配的な環境を作るからこそ自分らしさをよりだせることから【C.非支 配的】と【E.自分らしさ】は相互補強の関係性であることがわかる。また、【C.非支配的】 と【D.コミュニケーション】はコミュニケーションととることによって仲間の本音を認識し 余計な縛りをすることを防ぐことができ、非支配的な環境にすることによって上下関係や 立場のなく無理に気を使わずにコミュニケーションできるという訴えがけがあった。つま り、非支配的な環境を作るからこそ上下関係等の立場を気にすることなくコミュニケーシ ョンをとることができることから【C.非支配的】と【D.コミュニケーション】は、相互補強の関係であることがわかる。【D.コミュニケーション】と【E.自分らしさ】は、コミュニケ ーションをとることによってその人らしさを認識することができ、自分らしさをさらけ出 すためにコミュニケーションをとるという訴えがけがあった。つまり、自分らしさをだすた めにコミュニケーションをとることから【D コミュニケーション】と【E.自分らしさ】は深 い関係があることが分かった。

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