その⑥方法

〈方法〉

縁故法により、日本企業に勤務し、メンバー数が 5 名以上のプロジェクトの立ち上げに 中心人物として携わり、そのプロジェクトチームが 1 年以上持続しているに該当する協力者 5 名を対象とした。

〈調査期間〉
2019 年 8 月から 9 月に実施した。

〈手続き〉
代表研究者が協力者の勤務先、または協力者が指定した場所へ訪問し、半構造化面接を実 施した。協力者にはインタビュー前にインフォームドコンセントを行い、研究協力の意志を 確認した。インタビュー中は協力者の承諾を得た上で、IC レコーダーによる録音と要点筆 記による記録を行った。
インタビュー内容は、チームを作る前のメンバーを招集する期間と、タックマンの集団発 達モデルの解散期を除く形成期、騒乱期、規範期、遂行期の 4 段階の計 5 段階ごとに、それ ぞれの期間に起きた苦労や困難、それを乗り越えるために行った工夫などであった。
主な質問事項は、基本事項(現在の仕事内容、チーム立ち上げのきっかけなど)、チームの 構想(チームメイトの招集方法、チームやプロジェクトを立ち上げる際に意識していたこと)、 チーム内での対立(意見の対立の際軸にしていたこと、対立の乗り越え方など)、チームの存 在価値(協力者にとってチームとはどのような存在か、理想のチームに近づいているか)、チーム作りの中心者として必要だと感じるスキルであり、所要時間は 0.8~1 時間であった。

〈カテゴリー分析の手続き〉
はじめに、5 名それぞれの逐語録について、以下の手順で分類を行った。

(1)切片つくり
5 名各々の逐語録をタックマンの集団発達モデルの形成期、騒乱期、規範期、遂行期と仲 間を集める際の招集期の観点から読み、意味の通じるところで文章を区切っていき、切片を 作成した。
(2)カテゴリー作成
作成した切片を意味や内容の類似性の観点から小カテゴリーとして集約し、カテゴリー 名を作成した。さらに、小カテゴリー同士のや意味や内容に類似性が確認された場合には、 それ以上の集約ができなくなるまで同様の手順で集約し、大カテゴリーを作成し、カテゴリ ー名を作成した。
(4)叙述化
図解に基づき、ティ—ル組織の形成に寄与する人物の特徴についてストーリーがつなが るように文章化した。

〈KJ 法の手続き〉
次に、5 名それぞれの逐語録について、以下の手順で統合を行った。
(1)ラベル作り
5 名各々の逐語録をタックマンの集団発達モデルの形成期、騒乱期、規範期、遂行期と仲
間を集める際の招集期の観点から読み、訴えがけが 1 つの中心性を持つと判断されるとこ ろで冒頭から順に区切っていった。各々のデータから訴えかけを、ラベルに記した。
(2)グループ編成
作成したラベルを並べ(ラベル拡げ)、訴えかけや意味内容の類似性の観点からラベルを集 約した(ラベル集め)。集約されたラベルグループそれぞれについて、「核融合法」(川喜田, 1997)により訴えかけ、意味内容の核心を表札としてまとめた(表札づくり)。なお、表札同 士の訴えかけや意味内容に類似性が確認された場合には、それ以上の集約ができなくなる まで同様の手順で表札を集め、表札づくりを行い、表札を作成した。
(3)図解化
表札を模造紙に広げ、説明のしやすさの観点で配置決めをした。その下に各表札を個性す るラベルを並べても増資に固定したあと、グループ編成の段階ごとに選で囲む島どりを行 った。下位表札とラベル、上位表札と下位表札の順に島どりを行った後、島同士の関係性に ついて、そこに含まれる表札、ラベル、元データにあたりながら関係記号を記入した。
(4)叙述化
図解に基づき、ティ—ル組織の形成に寄与する人物の特徴についてストーリーがつなが るように文章化した。

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