その③組織の発達段階

〈組織の発達段階〉

ラルー(2018)「人類の意識が新たな段階移動する度に、新しい協働のあり方、言い換えれ ば、新たな組織モデルを生み出してきた」と、述べている。組織の発達段階として、(1)衝 動型組織、(2)順応型組織、(3)達成型組織、(4)多元型組織、(5)進化型組織の 5 段階の組 織型があるといわれている。
最初の組織モデルは衝動型組織である。この組織は、強力な上下関係が原始的な王国へと 成長する過程で形成された、小規模で支配的な集団であり、行動の判断基準は、自分の欲し いものを獲得できるかどうかが重要視されている。この組織のリーダーは、その地位にとど まるためには、圧倒的な力を誇示し、他の構成員を無理やり従わせなければならない組織の 崩壊を防ぐのは恐怖と服従だけのため、残虐性を示して罰を与え続けなければならない。 次は、順応型組織である。この組織の誕生の背景には、道具をほとんど使わずに単純農法に 依存していた部族社会から、農業、国家、文明、制度、官僚制、そして宗教団体の時代へと 飛躍したということがある。そして、組織としての階層を明確化し、順応型では、判断を社 会規範への順応度に照らして考えることが重要視されている。この組織は、自分たちの領域 にとどまることに満足し、高い褒美を求めよとせず、明確な縄張り意識があり、互いの境界 線に目を光らせている状態である。
3 番目の組織モデルは、達成型組織である。この組織は、科学技術の発展とイノベーショ ン、起業家精神の時代へなったことから誕生した。結果を残した者、その分野で最も優れた ものがトップまで上がることができる。すなわち、実力主義な組織である。
4 番目の組織モデルは、多元型組織である。この組織では、「あらゆる考え方は尊重され るべきであり、だれとでも密接で協調的なつながりを築くよう努力しなければならない」と いう思想がある。今まで、階層や結果が重視されていたが、人間関係重視の仕組みとなり、 今日の日本の企業はこの組織モデルに当てはまっているのではないかと考える。この組織 は、物事は組織への帰属意識と調和を基準としている。
5 番目の組織モデルは、「進化型組織」、つまりティール組織である。この組織について、 以下に詳しく述べる。

〈ティール組織の先行研究〉

CiNii Articles で「ティール組織」と、検索すると 9 件ヒットした。2018 年 10 月から 2019 年 3 月まであり、その内容を概観すると、新しい価値観や技術が次々と生まれてくる変化 や既存の価値観や組織文化に留まらずに、柔軟に対応していくための組織として進化型組 織を提唱している。つまり、今後多様性が増す時代においては進化型組織の形成が重要と考えられる。しかしながら、どのように中心人物が働きかければティール組織が形成されるか は、研究されていない。
シェアド・リーダーシップも進化型組織も、激化する変化に対応するために誕生した概念 だと考えられる。また、シェアド・リーダーシップは自分の得意分野でリーダーシップを発 揮するということは、進化型組織の自分らしさを大切にする要素とマッチしていると考え られる。つまり、進化型組織ではシェアド・リーダーシップが発揮されている又は有効的に 活用されていると考えられる。そのため、本稿では進化型組織とシェアド・リーダーシップ を結びつけて考えた。
次に、シェアド・リーダーシップの定義について述べる。

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