その⑤研究目的

〈本研究の目的〉

シェアド・リーダーシップやティール組織についての研究は日本ではまだ少ない。今後、 このような組織が増えていくであろうことを考え、現在、シェアド・リーダーシップやティ ール組織を作るに際して、組織発達のプロセスごとにどのようなスキルが必要となり、それ を実現する中心人物にはどのような特徴があるかを調査することには意義があるだろう。 そこで本研究では、ティール組織やシェアド・リーダーシップ組織の中心となる人物、具体 的には、現在メンバー数が 5 名以上のプロジェクトの立ち上げに中心人物として携わり、 そのプロジェクトチームが 1 年以上持続している人物にインタビュー調査を実施し、ティ ール組織で説明されるようなチームを立ち上げ、成功へと導くために必要なスキルとそれ を実現する人物の特徴を検討することを目的とする。
なお、組織はタックマンの集団発達モデルによると(1)形成期、(2)騒乱期、(3)規範期、 (4)遂行期、(5)解散期の 5 段階をたどると考えられている。
最初の段階は、形成期である。形成期とは、メンバーが決定し、まだメンバーがお互いの ことを知らない状態である。次に、騒乱期はチームの目的・目標に対する意見の食い違いや、 人間関係、具体的な業務の進め方について対立が生まれる状態である。3段階目の規範期と は、チームの目的や、業務の進め方、各メンバーの役割が統一・共有されている状態である。 4 段階目は遂行期である。この段階では、チームに結束力や連動性が生まれ、チームとして の成果も出始める状態である。そして、最終段階の解散期とは、プロジェクトの終了、メン バーの異動・退職などによってチーム関係が終結する状態である。
以上のように、組織には発達段階があるため、タックマンのモデルに基づきそれぞれの段 階ごとに取り組みやスキルを尋ねることで、より詳細な検討ができると考えられる。なお本 研究では、チームの形成過程の検討が重要な課題の一つであるため、タックマンのモデルに チームを形成する前のメンバーを招集する時期(招集期)を追加し、さらに今回はプロジェ クト解散前の協力者を対象とすることから解散期については除外し、招集期、形成期、騒乱 期、規範期、遂行期の計 5 段階のそれぞれにおける有効な取り組みやスキルを明らかにす ることで、それらを実現する人物の平均的な特徴を検討する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?