石丸伸二さんの市長時代について調べてみました


はじめに

先月、東京都知事選が始まりました。私も都知事選を機に、主な候補者をそれぞれ調べていたところ、特に石丸さんに気になる点がたくさんあったので、このNoteにまとめます。
中立的な視点で、なるべく事実のみをまとめたので、都知事選の参考になれば幸いです。

市長時代の石丸さん① ~「恥を知れ」発言の経緯~

石丸さんといえば2年前、安芸高田市の市長時代に「恥を知れ、恥を!」発言で一躍有名になりました。私も当時、石丸さんに好感を抱いてました。
当時の報道では、この発言の経緯は下記です。

  • 石丸さんが市議の居眠りについて、議会とTwitterで苦言を呈した

  • 市議らの問題点(居眠り、質問しない、説明責任を果たさない)を批判する目的で発した

しかし、報道をよく見ると、ソースはすべて「石丸さんの発言」だけです。もう一方の当事者たる ”居眠り市議” に取材はしていません。

客観的な事実を判断するには、双方の言い分が必要です。フェアでなく、報道の公平性が担保できないからです。当時、居眠りしたとされる武岡市議に、直接インタビューしたという記事を見てみましょう。

(検証6)居眠りの問題に隠された事実

武岡市議の証言によると、「居眠り事件」の経緯はこうです。

  1. 2020年9月25日の議会中、周りの景色がぼんやりし、その後は記憶にない

  2. 隣の市議が何度も起こそうとしたが反応ゼロ、しばらくして意識が回復

  3. ほかの市議たちから「居眠りでなく、病的だと感じた」と言われたので、妻と相談し、病院でMRI等の精密検査を受けた

  4. 結果、居眠りは「無症候性脳梗塞(軽い脳梗塞)」が原因だったと診断

  5. 9月30日、議長に診断書を提出。数日後、議長から秘書広報室長を介し、診断書のコピーが石丸さんに渡る

  6. 石丸さんは「個人情報だから」と言い、診断書のコピーをシュレッダーにかけた

  7. 他の市議たちには、プライバシー保護のため、一部を黒塗りした診断書を見せ、「居眠り」の原因を知ってもらった

  8. 石丸さんに直接面会し、謝罪をしたいと申し出たが、なぜか断られた(※それでも面会を断られたのち、メールで謝罪したそう)

さらに武岡市議は、診断後から治療を続け、以後、議会で居眠りはしてないとのこと。そのためか、石丸さんも当時、「居眠り問題」をしつこく追求はしなかったようです。「居眠り問題」は、2020年に診断書を出した時点で決着したように見えます。

ところが約2年後、2022年6月3日に、なぜか石丸さんが突然、Twitterで2年前の「居眠り事件」を蒸し返します。

なぜか武岡市議のフルネームまでさらしてます

「居眠り問題」は、脳梗塞の診断書が出たことで、市議たちはもちろん、石丸さんも納得し、2020年の時点で決着したのではなかったのでしょうか。
それなのに、なぜか石丸さんは「居眠り問題」が、まるで現在進行系で起きており、いまも武岡市議が「居眠り」で議会を混乱させているかのように言っています。どういうことでしょう。

しかも石丸さんは、診断書を確認したはずなのに、なぜか「釈明していますが、判然としない」と、「議会が説明を拒み」「今に至る」とまで言います。2年前のことを忘れてしまったのでしょうか。混乱してきます。

さらに翌日、石丸さんはこんなツイートをします。

石丸さんは「黒塗り」でない診断書のコピーを渡され、確認したハズですが…

脳梗塞の診断書を確認したはずなのに、「どういう病気か不明」とのこと。しかも当時、市議らが確認した診断書は、プライバシーのため一部を黒塗りしたものでしたが、争点たる「居眠りの原因は脳梗塞」という説明部分には特に差し障りがないでしょう。そもそも石丸さんは、黒塗り版でなく、原本そのままのコピーを確認したのですから。

そしてさらに、1週間後の6月10日。石丸さんはこのツイートをさらに発展させ、議会でこう発言します。

「居眠りをする、一般質問しない、説明責任を果たさない。これこそ議会軽視の最たる例です。恥を知れ! 恥を! ……という声があがっても、おかしくないと思います。どうか恥だと思ってください」

この一部分だけ切り取り、多くのメディアが報じたものが、先に挙げた「恥を知れ」報道です。これがテレビで放送され、「居眠り問題」は世間でより広く知られることになりました。

しかし、ここで問題が一点。なぜか各メディアは、石丸さんの証言だけを取り上げ、武岡市議には取材していません。私が探した限り、診断書の存在を書いているメディアはありませんでした。

しかし、石丸さんはさらに噛みつきます。武岡市議の記者会見を受け、こんなツイートで糾弾します。

石丸さんは2年前、秘書広報室長から脳梗塞の診断書コピーを渡されたはずです。なぜか「公に診断書を出して説明すれば済む話」と、まるで診断書が出されていないかのように言っています。診断書は出されているので「専門家にご教授」の必要もないはずです。なぜ、こんなことを言うのでしょう。

実は、当時の報道を確認すると、この食い違いの謎がとけます。

【対立の発端?】“居眠り”議員が記者会見で改めて主張 市長は診断書の中身を確認せずシュレッダー|安芸高田市議会

なんと石丸さんは「診断書を渡されたけど、見ないで、シュレッダーにかけた」とのこと。それなら仕方ありませんが、その場合、なぜ2020年の時点で追求しなかったのでしょう。なぜ、2年経ってから突然、思い出したかのように、しかもより激しく、終わったはずの問題を、まるで現在進行系かのように歪め、蒸し返したのでしょうか。

さらに石丸さん、この件ではメディアの取材とTwitterで、言っていることが二転三転します。

6月4日のTwitterでは「議会に提出された診断書」と、「出した」ことに。
それが6月30日のTwitterでは「診断書を出して説明すれば済む話」と、「出してない」ことに。
さらに武岡市議の記者会見を受けたメディアの取材では、「診断書を渡された」と、「出した」ことになっています。

石丸さんの発言は、すべて2022年6月中のものです。

結局、武岡市議の弁明は黙殺され、「居眠り市議」という「既成事実」は走り続けます。

そして最終的に、2024年1月30日に、武岡市議は病院で亡くなりました。享年68歳だったそうです。この訃報は、当時のローカル紙や、個人の動画などでひっそりと報じられました。

武岡市議の訃報を報じた動画のコメント欄では、「居眠りしてた人」「晩節を汚す」「病気は居眠りの言い訳にはならない」などと、心ない言葉が目立ちます。もし生前から、こういった誹謗中傷を受け続けていたとすれば、精神的にとても辛かったのではないでしょうか。

市長時代の石丸さん② ~「市議会との対立」の実態~

「恥を知れ」発言で注目された石丸さん。当時のメディアは「市長と議会が対立」と書き立て、あるインタビューでは、石丸さん自身が対立構造を煽ってすらいました。

「恥を知れ」発言の経緯を知ると、「対立」ではなく、石丸さんが一方的に議会や市議を貶めていたように感じます。本当に石丸さんと議会は対立していたのでしょうか。実際の議会の様子を見てみましょう。

<市営サッカー場の人工芝ロールの、譲渡事業についての答弁>
この答弁、以下の話が前提となっています。

  • 2024年3月6日の定例会で、市議が石丸さんに質問

  • 2023年11月、市営サッカー場の人工芝改修工事が行われた

  • その際、人工芝の無償譲渡先を、市内、市外から広く募集した

  • 結果、計110本の芝ロールが、市内に64本、市外に46本譲渡された

それらを踏まえ、市議からの質問は「人工芝の希望者を募集する際『抽選では市民を優先する』という文言があってもよかったのでは?」というもの。

やや悪意のあるテロップが入りますが、議長の指名部分や無駄な間を削っているだけで、答弁の時系列はそのままでわかりやすいので、ぜひ動画を見てみてください。雰囲気をつかめると思います。

私がこれを初めて見たときの感想も、市議が言うように「ちょっと話が噛み合わない」という印象。石丸さん自身の主張の「真意」がイマイチつかめません。
投稿者によると「これが3年以上も続いたのが安芸高田市議会」とのこと。

また、議会の外でも、石丸さんは市議の方々と話が噛み合わない様子。

ほかにも議会動画、公式のフルバージョン版をいくつか見ましたが、大体は同じパターンに思えました。

いずれも、議会は「対立」というより、石丸さんと対話ができなくて混乱しているだけに見えました。

市長時代の石丸さん③ ~2つの裁判で敗訴~

石丸さんは市長時代、2件の裁判で訴えられています。

ポスター代金未払い裁判
市長選の際、石丸さんはポスターとビラの印刷を発注しましたが、石丸さんは請求された金額の支払いを拒否。そのため、印刷会社に訴えられた裁判です。

名誉毀損ツイート裁判
石丸さんがTwitterで「山根議員に恫喝された」と繰り返しツイートし、山根議員から名誉毀損で訴えられた裁判です。

いずれも地裁、高裁ともに石丸さんは敗訴しています。現在、石丸さんは、さらに最高裁への上告を検討しているとのことです。

名誉毀損の賠償は市税から
ここで一点、注目したいポイントがあります。それは、後者の名誉毀損裁判では石丸さんが敗訴したのに、賠償金は安芸高田市の市税から支払われることです。

もちろん、名誉毀損ツイートを連投したのは石丸さんですが、裁判所はツイートを「市長の公務」だと認定。そのため、名誉毀損したのは石丸さんなのに、なぜか安芸高田市民が尻ぬぐいをするハメになってしまったのです。

結果として、会議の録音に恫喝発言はありませんでした。それでも石丸さんは「私が恫喝と感じたから恫喝なんです」みたいな内容をツイート

ちなみに、石丸さんは地裁で敗訴したとき、判決に納得できずに控訴しますが、それも議会の承認を得ずに独断(専決処分)でやりました。石丸さんいわく「控訴までに時間がなく、緊急性があったから」との理由です。

しかし、これは誰のための控訴でしょうか、本来、「専決処分」は災害や天変地異など、緊急時、迅速な判断が必要とされる場合に行われるものですが、それはもちろん「市民のため」です。石丸さんの名誉毀損裁判の控訴は、市民のためなのでしょうか?

そして、それらについて市長としての責任をインタビューで問われた石丸さんですが、こんな発言をされます。

「すべての責任は最終的には市民にいきつく」
「自分たちで決めた結果じゃないですか」

サムネにはやや悪意がありますが、実際の発言です。

石丸さんが名誉毀損ツイートをし、石丸さんが納得できないから控訴した。そのツケを市民が払うことになり、そのうえで「すべての責任は市民にある」と言われたら、安芸高田市の方々はたまったものではないでしょう。

普通、市民から人気がある市長は、2期に渡って活躍します。しかし、石丸さんは1期目の途中で市長を辞任。「都知事選に立候補するため」としているものの、1期目の任期を全うせず辞任するのは珍しいのかもしれません。

まとめ

目下、都知事選に立候補中の石丸伸二さん。主に安芸高田市の市長時代についてまとめてみました。
石丸さんを評価する検討材料になれば幸いです。



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