EV購入計画 Episode8 FOMM ONE
超小型EV後進国ニッポン
前回紹介した高山市のジャイアン、前々回紹介した神戸市のBIROはそれぞれに短所がありながらも魅力的なクルマでした。この二車種に加えて特区内とはいえ公道で乗ることができるこの手のクルマとしてはTWIZY(石川県では山中温泉でレンタル可能)があります。
これらのクルマは既存の自動車と比べれば航続距離や快適性において劣ることは確かですが、そのことが不満でこうしたクルマの長所を見ようとしないのは、自動車とバイクを比較してバイクにはエアコンが無いと不満を言うのと同じだと私は思います。バイクにはクルマと違った楽しさやメリットがあるのと同様に、こうした超小型電気自動車にも既存の自動車とは違った楽しさやメリットが備わっています。こればかりは直接見たり乗ったりしなければわからないので、実際に体験していただくしかありません。(七尾市の皆さんはもうしばらくその機会をお待ちください。絶賛準備中です!)←さりげなく
実際に乗ってみるとすばらしさがよくわかるのですが、残念なことがあります、、、
この3車種はいずれも日本製ではありません!(涙)
そう、モノづくりの国を標榜する日本にはこれらに匹敵するクルマを市場に出すことができるメーカーは無いのです!その理由については後ほど少し触れるとして、そんな超小型EV後進国ともいえる日本において一番熱いベンチャー企業を今日はご紹介したいと思います。
株式会社FOMMとは
株式会社FOMMについて
株式会社FOMMは非常に野心的でユニークな会社です。社長の鶴巻日出夫氏はスズキ自動車(株)からアラコ(株)へと移り、現在トヨタ車体から発売されているコムスの開発に携わった技術者で、その後2013年にFOMMを設立し代表となっています。
ちなみにこのコムスは日本で販売されていて購入補助対象になっている唯一の超小型電気自動車です。先ほどの三車種に比べると正直なところプロダクトとして魅力に欠けると私は思っています。鶴巻氏が今もなおコムスのバージョンアップに携わっていれば素晴らしいクルマになっていたのではないかと個人的には残念に思うところです。
FOMMは2014年にはすでに4人乗りの電気自動車を開発しています。市場に出ることはなかったものの、機能やデザインにおいては十分なポテンシャルを備えていたクルマでした。下の写真がFOMMの2014年モデル
FOMMの技術において特筆すべきは駆動方法であり、FOMMのクルマはホイルインモーターを採用しています。これは車体側にモーターがあって車輪を回しているのではなく、ホイル(タイヤ)のほうにモーターが付いているということです。原理的には真横に動くことも斜めに平行移動することもできるシステムです。実現すれば縦列駐車とか楽勝ですね!
しかし、こんな素晴らしいクルマも日本市場への参入の壁は高かった
これは半分は私の想像ですが、おそらくFOMMはもっと早い段階で日本市場に小型電気自動車を投入したかったはずです。しかし、日本においてはそれは困難を極めることになります。なぜならば、公道を走るクルマとして認められるためには様々な基準規制をクリアする必要がるからです。これらを所管する監督省庁としては経産省、国交省、環境省に警察庁といったところでしょうか。こうした省庁とのやり取りの中で日本のベンチャー企業が大きな制約を受けることはよく聞く話ですが、この小型電気自動車の分野も例外ではありません。バッテリーの設置方法や設置場所について申請のたびに基準が違っていて認可が下りないという話は何人かのメーカー担当者から伺いましたし、非常にコストのかかる衝突安全基準をそんな速度が出るわけでもない車に対して強いていたのでは、ベンチャー企業は国内においてポテンシャルを発揮することは出来ないと考えられます。
わざわざ乗車定員を減らしてミニカーとして発売したり、特区内でなければ乗ることができないクルマがあるというのはそういう理由です。規制が悪いとは言いませんが、産業競争力を著しく損なうものは結果としてグローバル戦略においてしっぺ返しを食らいます。というかその連続が平成という時代だと思います。
話はそれましたが、おそらくこのような理由でFOMMの国内投入は遠回りを強いられました。しかし、そこであきらめないのが鶴巻社長のすごいところです。彼は、次のフィールドとしてタイを目指します。そして日本よりも先にタイで生産販売開始にこぎつけるのです。
タイの道路を走るFOMMの姿は以下をご覧ください。
昨年の東京モーターショウに足を運ぶことができずにFOMM ONEの乗車機会を逸し、タイで先行発売していても遠くて行くこともできずにもやもやしていたのですが、6月29日の化学工業新聞にこんな記事があったよと教えてくれた人がいました。その記事のタイトルは
『FOMM、今秋国内投入 効率生産システム世界展開』
とうとうここまで来たのかと、ずっと応援していたアイドルがメジャーデビューしたような、地元の力士が三役昇進したような(よくわからない例えですみません)気持ちがわいてきて、私はいつものようにじっとしていられなくなってしまいました。
FOMM ONEに会ってきました!
さっそくお問い合わせフォームから連絡をします。熱い思いを書いて、これまでのnoteのリンクを添付しました。
そしたら、なんとFOMM社にお伺いすることができる運びとなったのです。これまでのようにレンタカーを借りるのではなくメーカーで話を伺い実車に触れられるということで、軽やかな足取りで行ってきました!
まずはFOMM ONEのミニカーがお出迎えしてくれます。私のイメージカラーの緑色もあって危うく「ください」と言いそうになりましたが我慢しました(笑)
写真を撮り忘れたのですが、広報担当でイケメンの佐藤さんがFOMMの取り組みについてクルマ自体だけでなくその活用全体のプロジェクトについて親切にレクチャーしてくださいました。超小型電気自動車という夢を共有している私たち二人の会話は止まらず、気が付けば結局90分も話し込んでしまい佐藤さんには申し訳ないことをしたと思います。
そして倉庫と駐車場のあるスペースへ移動して、車を見に行きました。
緑色の車両もありました!見る前はBIROやTWIZYにくらべるとデザインがいまいちかなと予想していたのですが、実車を見るとサイズ感もあってかデザインも悪くないと感じました。4人乗りとはいえ後部座席はおまけ程度なので実質は二人乗りでしょうか。
FOMM ONEはアクセルのシステムが特徴的なクルマです。車体が小さいので足元が狭くペダルはブレーキペダルのみしかありません。面白い形状のハンドルにアクセルがパドルのようについていてこれを引くことでアクセルを調整します。ちょっと見にくいですが動画で手元をご覧ください。
このハンドルの形状はアクセルから手を離さなくてもいいようにハンドルを切る角度を小さくしつつ、衝突の際にハンドルに顔や胸をぶつけても衝撃が少ないように考案されたそうです。なるほど!
そして、ナンバーがないので公道走行は出来ないのですが、施設内を運転させていただきました。アクセルの勝手が違うので少し戸惑いますが、5分も運転すればなれます。
ここで少しFOMM ONEのご紹介をします。
大きさは全長2,585㎜×全幅1,295㎜×高さ1,550㎜で乗車定員なしの車重は630㎏です。ジャイアンよりは一回り大きいですね。
駆動方式は前輪駆動(FFインホイルモーター)、200V電源で7.5時間充電すると166kmの走行可能となっています。まあ七尾-金沢なら心配なく往復できるでしょう。最高速度は80km/hです。
はっきり言って日常生活においては十分な性能といえるのではないでしょうか。
そのほかの特徴としてはバッテリーが交換式なので、充電済みのスペアがあればすぐに満タン充電になることや、なんと水にも浮きます!
タイでの販売の様子の動画を見ると水槽の中を動くFOMM ONEの様子も見ることができますが、これはあくまでも緊急避難的な機能です。昨今豪雨災害が頻発していますが、FOMM ONEは水に浮いて壊れませんよ。
FOMM ONEは報道の通り今秋発売に向けて準備が進んでいるとのことでした。もうこれは手に入れるしかないでしょう!FOMM ONEというクルマだけでなく小型電気自動車の普及という夢を私も一緒に追いかけたいと思います。
妄想から事業計画へ
FOMMの鶴巻社長の足元にも及びませんが、私の妄想も事業計画へと進み企業に向けた準備をしているところです。
私がなぜこのような超小型電気自動車にこだわっているかというと、それはこのクルマこそが地方の移動の主役として持続可能なシステムを担うツールとなるという確信があるからです。
このことを実証するためにどんなクルマを用いてどんなサービスを展開すべきか試行錯誤しています。この試行錯誤は今後も続けていくものの、事業を始めなければわからないこともたくさんあるはずです。
始めなければ始まらない!
次回以降は私をはじめとしたチームの事業計画や展開するサービスについて少しづつ明らかにしていきます。CONNECTED ISLAND NOTOJIMA PROJECTがいよいよ本格始動の段階に突入しますので、こうご期待!
おまけはFOMMの電動スポーツカーに乗る私。走行は出来なかったけどいつか運転してみたい!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回もお楽しみに~
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