見出し画像

【半年経過】ICL体験記【先進会眼科 大阪】

2024年2月末にICL手術を受けて、半年が経ちます。

正直メリデメは人それぞれなので、全人類にもれなくオススメ!とは言い難く、身の回りで施術を検討している人に個人的に体験談を語るに留めていたのですが、身の回りでさえも思った以上に「実際に受けた人の話を聞きたい」というニーズがあって驚いたので、ごく個人的な記録として遅ればせながらレポ、あるいはルポを残しておこうかなと思い筆を執ることにしました。今回も例によって、案件やPR記事ではございません。

はじめに

ICL手術は、眼内に特殊なコンタクトレンズを埋め込むことで視力を矯正する方法です。特に詳細な説明はしません。手術の流れとかも一般的な部分はどこのクリニックも変わらんやろということであまり書いてません。漫画付きの素敵な体験レポが世にたくさんあるので是非。ということで日記感覚で書いていますので施術検討中の方にあまり役立つ情報は無いと思います。ご了承ください。
また筆者は現役の医療従事者です。医療とまったく無縁な業界の方には伝わりづらい観点からの感想が含まれると思いますがご容赦ください。もちろん感想は所属組織を代表しません。あくまで一個人の体験記ですので鷹揚のご見物を願います。

症例提示

施術前のわたしのスペックです。
20代女性、既往に特記事項なし。父親に強度近視あり、その他の眼科疾患の家族歴はありません。
術前の度数は両眼とも-5.0D程度に加えてどちらも乱視があります

ICLはどうしても網膜剥離(だけじゃないけど)が怖いところですが、世には-8.0Dとか-12.0Dみたいなガチモンの強度近視がゴロゴロいるもので感覚がバグってきて(わたしくらいの度数ならまあいけるっしょ〜〜〜〜〜視力も安定してるし眼軸長そんなに変わってないはず〜〜〜〜〜)という気持ちに後押しされて決心しました。
おかげで-9.0Dとかの人にICLいいなァやろうかなァって言われると、当直時めちゃくちゃ楽になりますよマジ快適ですよ、とは内心思いつつ「アッ…まあリスクも聞いた上で総合的に…決めたらいいんじゃないスカネ…フヘヘ…」みたいな感じになってしまいます。
強度近視とは言い難いが裸眼での生活は絶対に無理、くらいの度数の人間だとめちゃくちゃ良い適応かなあと勝手に思っています。

先進会眼科 大阪

選んだ理由

タイトルに示した通りわたしは先進会眼科の大阪院で施術を受けました。手術のみならずフォロー通院もあるのでどうしても病院はある程度通える範囲に限られてきます。オペ日だけ休み取ればOK、ではないんですよね。
施術件数やら執刀医経歴やらも勿論見ましたが、決め手は「保険診療もやってる」でした。保険診療畑の凡夫なので自由診療一辺倒の人よりなんか安心しちゃう。同じ理由で、もし首都圏なら山王病院とかで受けたかったです。
結果として施術に大変満足していますし、スタッフ皆さん丁寧で院内も綺麗で良かったと思っています。2024年8月に移転してますます駅からのアクセスも良くなりました。

施術までのスケジュール

術日を含めたスケジュールは以下の感じでした。ここはレンズの度数や時期によってもかなり変わってくると思います。

  • 1月中旬
    初回カウンセリング(無料)

  • 1月下旬
    術前検査、医師診察、支払い

  • 2月中旬
    レンズ入荷連絡、オペ日決定

  • 2月末
    手術当日

初回カウンセリングは施術までの流れや金額等々の説明と、そもそもICLが入れられるかの検査でした。無料なので、迷ってる方もひとまず行ってみて不安な点を全部直接質問してきたらいいと思いますし、施術はもう決めてるからって方は支払い方法(クレカOK、分割払いOK、分割の場合手数料は院持ち、医療控除用の領収書あり)とか空いてそうなオペ日とか術後の生活の注意点とか詳しく聞いてきたらいいと思います。

2回目の来院で本格的な術前検査と診察、それに施術費用の支払い(現役の医療従事者だと割引あり、何かしら勤務先を証明できるものを持参)を行ないました。ここで挿入するレンズの度数も決めるので、この日以降でレンズ在庫が確認できてからオペ日の相談になります。
医師からは「浅前房じゃないし角膜内皮細胞も十分だし、角膜の厚みは人並みだからICL良いと思う」的なことを言われました。他クリニックの話ですが、友人にハチャメチャに角膜が厚いので(ICLより)レーシックをお勧めされてた奴がいまして、彼女の話を聞いていなかったら「人並みだから」の意味がわからなかったと思います。わざわざ言われるくらいアイツすごかったんだな。わたしの希望にも添うので予定通りICLをお願いしました。ICL希望で来院しても、ICLとレーシック両方の可能性を検討した上で勧めてくれるの、良いですね。

レンズ入荷のタイミングについては運ですが、オペ日を決める上で超重要ファクターです。3週間ほど大人しく待ってみましたが入荷連絡は無く、乱視あるとはいえ大した度数じゃないし……と痺れを切らして「入荷時期の目処だけでもわかったりしませんか??」と聞いたところその当日に「入荷しました」と連絡をいただきました。ものすごい偶然かもしれないし声がデカい奴が得をするやつだったのかもしれないし、真相は不明です。この出来事はちょっと( ˘ω˘ )フムとはなりましたが、ここ以外に特に不信感を抱かせる場面が無かったのでわたしの中では先進会さんにマイナスイメージはありません。本当に偶然かもしれないし。結果論だけど現に半年経った今こうして快適に生活してるし。

晴れてオペ日が確定したら3日前から抗菌薬の点眼(術前検査の日にくれた)やコンタクト中止の指示が出ます。眼内炎は起こったらおしまいみたいなとこあるので、予防全力投球で、めちゃくちゃ真面目に点眼しました。本当に、視力救命率エグ低いから、変な自己判断せずに病院の言うことを絶対に守るのが大切

手術当日

わたしは午前枠オペでした。
点眼や眼鏡生活しっかりしてましたかーみたいな確認があって、散瞳薬を点眼されて、術衣的なのに着替えて(といってもガウン羽織って帽子かぶるだけで服は脱がない)、手術待合でしばらく待ちます。ここで待ってる間にも再度散瞳薬の点眼。
事前説明の時点で聞いていたのですが、待合で待機中にセルシン内服させられたのが個人的にウケました。確かに局麻のオペって怖いから皆さん緊張されるでしょうし、緊張してていいことないし。初めて飲んだけど内服でもスッと眠くなるのでセルシンすごい。わたしは研修時に見学した白内障手術で駆逐性出血が起こりまして、自分がICL入れる時には絶対にリラックスするぞと心に決めていました……が、緊張するなするなと言われれば怖くなるのが人ってもんですので、セルシン飲んで待合でうたた寝するくらいが確かに良いかもなと思ったりしました。言うても水晶体は触らないICLのオペですけども。血圧も上で100無いくらいなんですけども。

自分の番がやってくるとナースさんに付き添われてオペ場に入室。散瞳されてるのでややぼんやりした視界で手術台の椅子に座ります。
入室時チェックで名乗ったりは当然するんですが、ここで執刀医に向けてナースさんが再度わたしの名前や術式、患側などを伝えてくれます。「はい喜んで」系居酒屋スタッフの声量で。なんで??いや、患者確認は基本中の基本だし重要だから何度でもやっていただいて有難いですが、腹から声出すぎじゃない??スタッフの名札にニックネーム書いてある系の居酒屋の声量じゃん??ナースさんによるのか先進会さん全体のルールなのかわかりませんが、笑いを噛み殺すのに必死でした。

厳密に時刻見てはいないですが、手術自体は両眼で10分程度で終わったと思います。開瞼器かけたりオイフかけたりしてる時間込で10分ですから本当に速い。術中の痛みもまったく無いです。ナートとかでキシロ使う時に「触られてる感じはずっとありますが、痛みは無くなります」って患者さんに説明するじゃないですか、あれ、マジです。本当にその通りで、眼球押される感触はしっかりありますが痛みはゼロ、皆無でした。点眼麻酔ってすげ〜〜〜。押される感じはあるんですがこれに負けて眼球が動いちゃうとレンズ挿入がしにくいかなと思って、無理に力まずに頑張って正面視を保持するという二律背反の実現に努めました。正面の光がやたら眩しく感じられるのだけが辛かったですが、眩しさから目を逸らすと眼球が動いてしまって事故の元なので気合いで見つめ続けました。
ちなみに笑気麻酔も(オプションとかではなく)全例併用してくれるので、口元にマスクが置かれました。出来る限り口呼吸してみましたが、オイフの下でちょっとズレたりしても置き直す訳にもいかず、笑気がどれほどわたしのリラックスに寄与していたかは謎です。

術直後

ぜひSNSにもアップしてくださいね〜とか何とか言われながら、オペが終了してオイフ剥がされた直後にわたしのiPhoneでスタッフさんが写真を撮ってくれました。後から見返すと意味わからなくてめちゃくちゃウケる。こっちは術直後で目の焦点も合ってないから椅子の上で虚ろな顔してて、背後で執刀医の先生とか器械出しのナースさんとかがピースしてる写真、おもしろが過ぎるので皆に見せて回りました。

手術が終了すると点眼薬がレボフロ、フルオロメトロン、ジクロフェナクの3種類渡されます。術日は数時間おきに、翌日からも1日4回点眼する必要があるのでこれまた遵守します。くどいようですが眼内炎は予防第一、病院の指示は絶対厳守!徹底的に真面目にやろうと思って、1種点眼したら5分おいて次を差してました。複数種類の点眼時はせめて1分は空けた方が良いと聞くのでご参考までに。ダダダッと3滴落としても最初のは流れていくだけですからね。ちょっとダサいですが保護メガネも勿論装着するんですよ。自身の怠慢で合併症起こしたら悔やんでも悔やみきれませんからね。

ちなみに内服のレボフロとロキソニンも渡されまして、レボフロは予防内服何するものぞと思いながらも飲みましたが、ロキソニンについては術中から現在に至るまで痛みを感じることがそもそもありませんでしたので飲まずに置いてあります。

翌日も午前中に術後診察があり、どうせ洗髪や洗顔もできないしと近くのホテルを取っていたので、リントンズでお茶を飲んでから帰りました。術後必須の保護メガネを早速かけていたのですがそこまでジロジロ見られるようなこともなく。花粉シーズンの入り口だったのも幸いしたかもしれません。

リントンズの紅茶とサルタナクッキーは神

術後しばらくは視界がぼんやりしているんですが、あれは術後の影響というよりシンプルに散瞳のせいだろうなと思います。ホテルでネットラジオとか青空朗読とか聞いて目を使わない方法で暇をつぶしていたら、効果の切れてきた数時間でみるみるピントが合いました。顔から離して持ったiPhoneの画面がくっきりしてて、読める!読めるぞ!って狂喜する様はさながらムスカ大佐。慣れるまでに必要な時間は個人差あるでしょうが、わたしは数時間でしっかり視力出てて当日夕には早くも感動を味わえました。ウェットシートみたいなアイテムで顔など拭いて早々に就寝。汗をかかない冬場の施術、この辺が楽なのでお勧めです。

翌日以降

鈍感族なので保護メガネをかけながら熟睡していました。 起きた瞬間から世界がくっきり見える感動よ。術後診察で異常なしのお墨付きをいただいてから帰宅し、3日間の引きこもりライフを経て日常復帰しました。
最短でお願いしたら木曜オペになったので木金と有給を取ったのですが、洗顔や洗髪に制限がかかる時期がぴったり週末にかぶるので結果的に最高のスケジューリングだったと思います。金土日と自宅で引きこもりライフをエンジョイして日曜に風呂解禁、月曜に「無事にサイボーグになりましたイェイ」って言いながら出勤した感じです。冬場の木曜、オペ日にもってこい

術後経過

そんなこんなで1週間後検診や1ヶ月後検診も無事に終え、はや術後半年、合併症なく経過し両眼視力1.5をキープしています
憧れ焦がれた念願の裸眼生活をついに手に入れた感想ですが、端的に言って最高〜〜〜〜〜、です。
趣味の観劇でコンタクトの乾燥に気を取られることもなければ、旅行時や当直時の荷物も少なく、温泉で裸眼は危険……メガネ……コンタクトつけっぱは良くない……と悩むこともない。用あって初夏にハワイに行ったのですが、海遊びができる!!??!?裸眼で!!??!?となって感動しました。度付きゴーグルの煩わしさもコンタクトの感染も気にせず身ひとつで波に向かって行ける幸せよ。当直日のコンタクトいつ外すか問題からも解放されました。当直がある人種はこのメリットが相当デカいと思うんだよな。視力いい人達って課金ゼロでずっとこの生活な訳でしょ??ずりぃ〜〜〜課金で追いついたから良いけど〜〜〜。

合併症とは言えないですが、ICLのデメリットとして一般に言われる、いわゆるハローグレアは確かにあります。光を見ると周りに輪っかが見えるやつですね。暗い夜道で街灯を見る、のようなかなり光源がキツい状況でないと見えず、見えてもあるなァと思うだけで普段の生活に困ることはないです。日中は見えたことないし、夜道含めて車の運転も不便なく出来ています。段々慣れて消えると言う人もいますが、わたしは半年経っても変わっていないような。困ってないので消えなくても別にいいです。

ちなみにわたしは術後1ヶ月程、感染が怖くて保護メガネをかけ続けていましたので、術直後は裸眼視力を手に入れた感動は薄かったです。裸眼で見えてるって頭では理解してるんですが、顔の前にメガネがある状態自体は術前と同じなもので……。合併症なく過ごせたので良しとします。

よく訊かれる質問

ということで長々と施術前後の所感を書いてきましたが、結論「わたしはICLやってすごく良かった」に尽きます。以下にICL検討中の方によく訊かれる質問と自分なりの回答を並べて、この記事の締めとしたいと思います。

  • 費用は??
    両眼中等度近視、両眼乱視あり、1年保証、医療従事者割引適用にして、検査代30000円+施術代662000円の総額692000円でした。医療控除でいくら返ってくるかな……

  • レンズがズレたりしないの??
    起こり得るリスクとしては挙げられます。わたしは接触スポーツをしませんし、どこかにぶつけたら…事故にあったら…とか言い出すとICLしようがしまいが生きていけませんので腹を括りました。

  • 何かあれば取り出せるんでしょ??
    レーシックと比較したメリットとしてよく言われますが、わたしは角膜内皮細胞のダメージなど考えるとリオペは御免蒙りたいです。まずかったら取れば良いし〜みたいな気軽なノリで施術を決めるのは勧められません。そういう意味でもクリニック選びから慎重に行なってほしいです。

  • 白内障になったら??
    白内障手術の際に挿入するレンズで視力調整ができるので、ICLは取り出したら御役御免となります。わたしには数十年単位で先の話です。

  • 術後の生活はどんな感じ??
    先進会さんでは、術当日も首から下はシャワーOKですが洗髪や洗顔は数日の制限がありました。その他スポーツや運転、メイクなど生活上の注意点が色々ありますので詳しくは病院からの説明を聞いて遵守してください。入浴関連以外はとりたてて不便はありません。正直術翌日から普通に生活できました。

  • 先端コワイ
    散瞳されてピントが合わないので手術中は何も見えないと言ってよく、眩しい以外の視覚情報はありませんでした。メスも外側から入ってくるものですし、視野の中央に刃先が来ることって無いので散瞳とか関係なくそもそも見えないんじゃないかなという気もします。痛みは前述の通り皆無でした。

  • 保護メガネって買った方がいいの??
    先進会さんは術後に必要な保護メガネを3000円で販売しています。手間だったら買っちゃってもいいでしょうが、医療用に販売されてる名古屋眼鏡さんのメオガードだってネットで2000円台ですし、そんな高いやつじゃなくても目さえ守れればと思ったら花粉症対策とかのもっと安いのあるし、わざわざ3000円払わんでもいいかなあと個人的には思います。わたしは自分でメオガード買って、使用後はICL受ける予定の知人にあげました。

  • 合併症が怖くて……
    確かに病気と違ってICLは「やらなくてもいい手術」です。メガネやコンタクトという視力を支える器具が他にある中で、わざわざ健康な目にメスを入れる必要があるかと問われれば、まあ医学的には無いです。合併症の確率が天文学的に低かろうが今まで0だろうが、自分が最初の1人になってしまえば自分にとっては生涯の大事で、死ぬまで後悔するかもしれません。そしてどんなに気をつけても合併症の起きるリスクは絶対に0には出来ません。だからこそわたしもメリデメは人それぞれだと前置きし、検討している人に個人的な体験談として話すに留めていました。リスクがある以上やらない、それもひとつ賢明な選択だと思います。
    でも、こうしてICLについて調べるということはメガネやコンタクトでは満たしきれない不便が生活にあるということです。その不便は自分の暮らしにとってどれほど大きいのか、不便が解消されるとどれほど人生が良くなるのか、そのためにどこまでのリスクなら許容出来るのか。これを天秤にかけて決められるのは自分だけです。よくよく考えて後悔の無い選択をされることを願います。

ほとんど何の参考にもならない長文をここまでお読みいただきありがとうございました。ICLを選ぶ方も選ばない方も、よき人生を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?