脳生理学(その1)

心理学の誕生

心理学と脳生理学 20世紀の初頭、現代の科学を飛躍的に進化させた知の巨人達が多く排出されている。まるでカンブリア紀の海中で、生物が爆発的に増え始めたように、なんの前触れもなく、20世紀の知の巨人達は突然そのするの頭角を世に現す事となる。 物理学ではアインシュタイン。量子力学のハイゼンベルク。
そして、心理学ではジークムント・フロイトだ。 『マザコン』や『ファザコン』という言葉は、この男が居なければこの世に産まれていない。正式には『エディプスコンプレックス』と呼ぶ中の亜製種だが、ギリシャ神話の実の娘を抱いてしまう「エディプス王の悲劇」に由来するその名を付けたのも彼フロイトだった。 他には『無意識』や『リビドー』もそうだ。Mr.Childlenの唄に『es』という曲があるが、この『es(欲望の壺)』もフロイトが作った言葉だ。

『夢占い』という本を書いたのは、彼の弟子筋にあたるユングという男で『無意識』と『超自我』との壮絶な戦いの果てに残るのが、我々が見る夢なのであると解釈した。 つまり、我々の生活の中には、フロイトの作った言葉達が日常的に使われ、そして市民権を得ており、既に独り歩きを始めているのだ。 知の巨人と呼ばれ心理学という学問は、彼が現れる以前にはその発芽の気配すら無い。心理学の基礎の全てはフロイトが、彼自身の『心の深淵にまで迫り』『覗き込み観察』し、『考察し解析を加え』『心の流れを論理化』をし『説を創り』そして『学問にした』。

心のアルゴリズム

ヒトはなぜ自我を持つのか?
ヒトはなぜ不安を感じるのか?
ヒトはなぜ不安に苦しむのか?
そもそも、不安の種は何者が撒くのか?
そして、不安の種はどのように発芽し、どのように育ち、どのように花を咲かすのか?
どのような心のメカニズムが働いているのか?
これら心の動き(喜怒哀楽)のアルゴリズムを矛盾なく説明付けようとした。そして、人類史上初めて、人間の心の闇に松明を持ち込み、人間の心の深部に灯りを持ち込み、心の深部を覗き探索を行った。
人間の心の動きの複雑さや、巧妙な仕掛けを世に知らしめて、当時の知識人たちの好奇心を刺激し、彼が解説するヒトのココロの中で蠢く欲望のあまりの醜さに驚き、そして彼の創り出した心理学という学問は世界中が受入れ、そして絶賛した。

フロイト心理学の終焉

さて、ここで残念なお知らせだが、
このフロイトは、現代では科学者という看板を外されている。
文筆家、或いは哲学者という評価であり、心理学という学問は科学ではない。とされている。
看板を外した犯人は、脳生理学という新しい学問だった。

脳生理学の発芽

ココロ?そんなものは存在しない。
ココロなんてものは幻であり幻影である。
全ては脳内で起こる化学反応の結果で、
我々の脳が感じているココロとは
生理的な化学反応の代謝の結果得られる、脳内で発生する電気信号が見せる幻影なのである。
心理的なアルゴリズムなど存在しないし、意図的に変えられるものでない。依ってカウンセリングなど無意味である。
そのように主張する脳生理学が現代では圧倒的な支持を受けている。 
そして、心理医療の世界は激変した。
フロイトの心理学は、アレは学問ではない。
巧妙に練り上げられた小説であり、好意的に解釈してもあれは哲学だ。フロイトなどが行っていたカウンセリングによる治療など必要ない。
何故ならヒトの心は脳内で作用する科学物質(セロトニン)でコントロール可能で、そして、それが全てだからだ。
その結果、脳内の化学物質をコントロールする薬物療法が突如支持され、半ば暴力的に開始された。

次回は、何故このようになったか?を説明したいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?