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日本初! グリーンブック基準をクリアした 公演 「Pekku from Scotland」

スコットランドからこの夏日本にやってくるこども向け作品が、
グリーンブックのベースラインをクリアした作品だということを教えていただき、
京都の公演の観劇とクリエイティブチームにお会いしてきました!

公演情報

京都ロームシアター公演 2023年7月15日(土)~ 7月17日(月)
各日11:00開演/14:00開演
北九州公演 7月21日(金) 北九州芸術劇場
那覇公演 7月24日(月)~26日(水) りっかりっか*フェスタ 那覇文化芸術劇場 なはーと
山口公演 7月30日(日) 山口情報芸術センター

サスティナブルな公演製作を取り組んでみて〜プロデューサーのアリスさんに聞く

コンパクトな作品だったが、取り組むと色々と難しい問題があることがわかりました。例えば、今回使用している椅子はみんなとても気に入っている1970年台のビンテージの椅子なのですが、古いがゆえに一部壊れてしまった。それを交換しようにも、1点ものなのでなんとか修理して使っています。あるものを再利用するにしても、耐久性の面では新品には劣ります。また、舞台では全く同じ小道具を揃いで2個3個必要な場合、リサイクルショップなどで集めることには限界があります。

今回、スコットランドから日本へ7名のチームでやってきました。もちろん飛行機で移動します。そのCO2排出をどうチームで捉えればいいか、とても悩みました。まずはそのインパクトをチームで共有するために、今回の飛行機移動で発生するCO2排出量を計算し、陸上移動の場合と比較しました。そうすると7人飛行機移動は陸上移動の約100倍、700人分の移動に相当する排出になるということがわかり、その情報をチームで共有しました。

カーボン排出が大きいからといって、ツアーを行わないという極論もあるかもしれませんが、違う文化を体験するという貴重な機会を失わないことも同じく大切なことです。そこで、今回私たちが排出するカーボンをオフセットできないか、クリエイティブ・カーボン・スコットランドに相談して、植林を行っているNPO団体に相当額を寄付することにしました。

この公演のプロデュースを行なった、Red Bridge Artsの環境への取り組み
https://treesforlife.org.uk/groves/460355/

今後は、こうした移動で発生するCO2コストを主催者側とも共有して、一部お金をお預かりして、オフセットに効果的な活動を行っている団体に寄付していきたいとも考えています。また、他の劇団、劇場ともこうした考えを共有し、カーボンオフセット資金をコレクティブとして1箇所に集めて、より自分達が納得できる環境保護活動へ資金を提供する流れを作っていきたいと考えています。

プロデューサー:アリスさん(左)大島(中)ロームシアター京都プログラムディレクター:小倉さんとホール前で記念撮影

アリスさんも強調しておっしゃっていましたが、環境を配慮する事とクリエイティブなアイデアを形にする事、バランス感覚が大切だと色々な人からこれまでに何度も聞きました。環境負荷を数値化する事はとても難しい事です。なので、この値からはダメ!という単純な線引きはできません。自分達は作品を届けるために、可能な事から実現していく。できた事、できなかった事をチームで共有して次へ繋げるという考えかたが大変重要になってくると思います。

アリスさん以外にも、カンパニースタッフや演出・出演のアンディさん、みんなが自分が取り組んだ事やグリーン・ブックについて一生懸命私に共有してくださいました。ありがとうございます。

*カーボンオフセットとは
活動により排出されるCO2排出を、その分の吸収にかかる森林の植林や他環境保護活動などに投資することにより、温室効果ガスの排出を軽減するメカニズムです。具体的な活動や企業の排出量を計算し、森林再生や再生可能エネルギープロジェクト、二酸化炭素捕捉技術などのイニシアチブに資金を提供することで実現します。目標は、排出された量と削減または取り除かれた量のバランスを取り、全体の炭素フットプリントを中和することです。


ホール前の掲示板には、Red Bridge Artsでの環境への取り組みや
シアター・グリーン・ブックのTOPページが!

公演を見て (一部ネタバレあります)

自然の中でひとやすみしようと、男が一人やってきた。
自分の場所と時間を整えて、読書を始めようとした矢先、小さな生き物が男の元にやってくるのだが、、、

小さなお子さんにもわかりやすい、とてもシンプルなストーリーでノンバーバルな作品でした。作品のテーマとグリーンブックはしっかり結びついていて、作品を拝見した後に、カンパニーのみなさんがなぜこれだけグリーンプロダクションに熱心でいるのか、とてもよくわかりました。たくさんいたはずの生き物たちと共存せず、自分の空間を区切ってしまう男は、まさに現代社会に生きる人間そのものの姿です。そうした重くなってしまうようなテーマを、軽やかにかつしっかりとメッセージを届ける作品に仕上がっていて、大変感動しました。

私の前に2歳くらいの男の子が座っていたのですが、生き物がいなくなった途端
「こわい〜」といって泣き始めてしまいました。悲しい気持ちは小さなお子さんにも届くのだな。どうして大人はそんな気持ちを忘れてしまうのか?考えさせられる作品でした。

子供向けの作品はテーマも元々多様なので、環境問題を組み込み事は難しい事ではないと思います。グリーンプロダクションにするための実務的な取り組みも、プロダクションの規模が小規模なものが多く、これまでの作業の延長線上で取り組めるかと思います。青少年児童演劇におけるグリーンプロダクションの普及に期待しています。







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