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女子中高生にいいようにあしらわれた話

「全然、ダメだ…」

毎年、この時期にイルミネーション撮影に精を出していた。仕事の帰りに寄りやすいこともあり、全エリアの全灯撮影を目指して頑張ってきた。一番燃えていた昨年、Instagramキャンペーンに何点も写真を投稿、応募してみたが、箸にも棒にもかからず。
今年は少ししょげて、1日、1エリアだけ選んで撮影に挑戦することにした。事前にイルミネーション撮影に向くカメラ設定を確認して撮影してみるが、思うように撮れない。三脚、高価な広角レンズカメラ…。見た目とは程遠い撮れ高に落ち込み、三脚の前に座り込んでいた。



「すみませーん。すみません。」
「?」
冬休みに背伸びして遊びに出てきた出立ちの、3人組の女子中学生だか女子高生だか、娘と同じ年頃と思しき人たちに突然声をかけられる。
「3人でいるところ、写真撮ってもらえませんか?」

…こう見えても、写真撮影は大の苦手なんですゎ。仕方ないか、こんな仰々しい機材を持ち歩いているからなぁ。指が入ったり手ブレしたりするど。

「これ(お手持ちのスマホ)で撮ればいいの?」
「はい。お願いします。」

自信のなさとは裏腹に、平然を装い、1枚くらいならいいか、と三脚、バッグを地面に置いたまま立ち上がった。

「これ、ビデオモードになってるけど?」
「はい、今からこの中を3人で歩くんで、後ろからついてきて、後ろ姿を撮ってもらうだけでいいんで!」

(……だけ?…だけって。かなりの分量ですけどね。日本語の使い方、間違ってない?娘もこんな感覚なの?
しかも動画。余計に手ブレしちゃうよ。まぁ少々いいか。しーらない。)

早足でイルミネーションのトンネルの中を歩く少女たちの後を、なるべくブレないように、なるべく他の人が入らないように、早足過ぎるので少し追いついて大きく映るように努めて…。

私は一体、何をやっているんだ?

トンネルの途中で少女は振り返り、「もうここでいいです。ありがとうございます。」

……はいはい。

この子たちはなぜ私に声をかけたのだろう。ただのおばさんにしか見えないだろうに。お母さんみたいに見えたのかな。わからない…とりあえず声をかけやすかったのか?それ自体は悪いことではないかぁ。

……おっ!三脚と高価なカメラと、財布の入ったバッグを置きっぱなしだ!急いでその場に戻り、異変がないことを確認していた。元々、写真を撮ってくださいという依頼だったはずだが。

そこに再び少女たち現る。
「すっごいいい感じに撮れてましたぁ〜♪ありがとうございます!」
「はぁ」

スタスタと去って行った。

いいように利用されただけなんだろうなぁ。
帰って娘たちに聞いてもらったが2人とも首を傾げていた。うちの子たちとも感覚が違うようだ、と信じておくことにする。

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