下垂体腺腫摘出術後1年の受診を終えて
下垂体腺腫摘出術後1年が経過しました。もうすっかり慣れっこのMRI検査を受け、再発兆候なしの結果でした。教科書で見かける、文字通り下向きに小さく垂れた「下垂体」が、そのものの形をして、ちょこんと写っていました。先生にお願いして術前の画像を見せてもらいましたが、何が何やら分からないもこもこの腫瘍組織が鎮座していたのを改めて感じ入りました。
今はそんなことあったっけ、と言うほど元通り以上に元気に暮らしています。今さらながら、術前、術後はそれなりに大変だったなぁと思い返してみます。
眼科の先生に「おかしい」と言ってもらうまで、全く自覚症状に気づいていませんでした。手術前から後にかけ、「あれは腫瘍のせいだったのかも」と思うことがありました。無関係かもしれませんが…。
頭痛持ちだから、ということにマスクされていましたが、それにしても頭痛が多かったです。目が見えていないとは気づいていなかったけれど、老眼が進んで眼鏡をかけても錠剤の刻印が見えず、監査がしづらいと思っていました。おばあさんパートが置いていった虫眼鏡を使うこともありました。腫瘍との診断がついてから入院までの間に、端っこの字が潰れて見えていることに気づきました。今は、眼鏡をかければ刻印は見えますから、やはり視野に障害があったのでしょう。そして、手術を終えて腫瘍を取り去ってもらってから、正に付き物が取れたように、怒りっぽくなくなりました。非機能性腫瘍ではありましたが、何らか影響があったのかなかったのか。そして、手元から陶器が滑り落ち、何個か割っていました。視野のずれがあったのかもしれません。
術後はそれはそれはしんどかったです。鼻の間鼻中隔を切るなんて、そしてそれを術後は磁石の力でくっつけようとするなんて。しばらくは鼻の中に切った後が見えていました。ネットを見ると「元通りになる」とありました。傷は?と思いましたが、今は全くわかりません。
術後、窓ガラス1枚を隔てた外界で日常生活を送る人々が見え、1枚の差でこうも状況が違うのか、今の私は何もできない、立つこと、歩くことすらおぼつかない、と思ったものです。外を歩く人のスピードがとんでもなく速く思えました。「仕事が忙しくてしんどい」という投稿を見て、確かにとても大変だろうけど、しんどくなれるほどの元気があるということだろうなぁ、今の私は動けなくてしんどいなぁと思いました。
自宅での療養も、ひと通りのことはできているつもりでしたが、今思うとまだまだ本調子ではなく、頭もしっかりしていませんでした。大きな声でしゃべると「頭が疲れる」という感覚がありました。退院して帰ったその日に、職場に診断書を送ろうと封筒に宛名書きをしようとして驚きました。手に力が入らない…もう一度入院か?と思いましたが、しばらくそういう作業をしていなかったからかもしれません。それから私は、カープ選手の背番号と名前を、写経よろしく書き出してはリハビリもどきをしていました。1か月の療養を経て職場復帰してしばらく、やはり立ち仕事は厳しかったです。慣れるまでに少しかかりました。
いつの間にか、スタスタと歩けるようになり、職場の主かと思うほど偉そうにはびこっています。まだ1年以内のことなのか、と改めて謙虚に仕事をしないといけないなと思い直したところです。当たり前の生活は当たり前ではない、今一度、振り返って反省しています。
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