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病気を経てからの職場復帰に思うあれこれ

何とか、職場復帰した。いつも仕事で使っている印鑑の日付は1か月前で止まっていた。

「今日からまたよろしくお願いします。」

せめてものお礼に菓子折りを持って出社した。久しぶりに会う職場のみなさんの顔が懐かしい。

「大丈夫ですか?」
「無理なさらずに」
「顔が見られて良かったです」
「ちょっと痩せられたんじゃないですか?」
「いろいろありました。聞いてほしいことがたくさんありますよ」

みなさん、気を使って、いろいろ声をかけてくださった。自分だったらどうだろう。気持ちを伝えたいが、白々しくなるのも嫌だし、言葉に表すのはなかなか難しい。みなさん、それぞれの言葉で労わりと心配の気持ちを表してくれて、ありがたい限りだ。そんな中、最もうれしい言葉があった。

「おかえりなさい」

何だか胸が熱くなった。普段、それほど会話を交わすほどでもない距離感の人から、思いがけずもらったこの言葉。ここが私の帰って来てもいい場所なのかな。こんな私に、こんなうれしい言葉をありがとう。

久しぶりに仕事をする。何の肩書きもない。論文を書くわけでも、勉強熱心なわけでもない。実績なんかない。ただ長く居るだけのしがない一薬剤師。

電話が鳴る、対応できる。来てほしいと要請があれば行って対応できる。用紙がない、インクリボンがない、と機械が騒げば、補充方法がわかる。製剤のことを聞かれたら、答えられる。ここをやってと言われたら、はい、わかりました、と言える。知識以外の部分で、人手となり、他のみなさんが働きやすいように役に立っているような気がする。みなさんの助けになることで、引いては患者さんの役に立っているのではないか、と、働く喜びを、これまた久しぶりに感じている。

病気が見つかって、他の病院に入院して、そこでも医療スタッフが頑張っている姿を見て、もし無事に復帰できたらこうしたい、と思い立つことがあった。

歳を重ねて、世間的には、管理したり指導したりする年代と言われる。しかし、その存在自体が、漬物石のように重くのしかかり、若手や脂の乗った中堅のやる気を削いでいないか。自分一人の力ではどうすることもできないが、せめて自分は、みんなが働きやすいように、若手が伸び伸びできるように、自分のできる範囲でできることをコツコツしていきたい。その姿勢だけでも伝わったらいいなと思う。

退院後、復帰まで3週間ほどあった。徐々に活動量を上げ、最後の数日でさらに体力が回復したと思ったが、やはり仕事はハードだ。

…やっぱり疲れるね。

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