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年始にエネルギー転換の10年の幕開けとエネルギー政策の迷走を考える

新年あけましておめでとうございます。

2020年を迎え、令和初の正月です。

昨年は、再生可能エネルギーへの注目が日本国内でも集まった一年でした。2018年はSDGsがキーワードとしてあちこちで聞かれましたが、2019年はRE100を始めとする再生可能エネルギー100%への転換が話題になりました。

ここから2030年に向けての10年間は、世界に何周か遅れて進む日本の再生可能エネルギー導入を、巻き返せるかどうかの正念場です。

2012年に始まったFIT制度も、大きな山場を迎えます。経済産業省が「国民負担」の呪縛に捕らわれてしまい、もはやFITもその先に予定されているFIPも、再生可能エネルギーの普及ではなく国民負担を抑制することが議論の主眼になってしまいました。

しかし、電力会社による「FIT電気」の仕入れ原価になる回避可能費用では、市場価格連動による単価の上昇もあって2019年度は買取費用の増加分と変わらない増え方になりました。FITによる電気の買取費用と、この回避可能費用の差額が消費者に転嫁される「再エネ賦課金」になります。そのため、2018年度から2019年度にかけての再エネ賦課金の増加は+0.05円/kWhに留まりました。

制度全体の見直し議論の一方で、既稼働の発電所の取り締まりには力が入り、新設の設備も含めた規制作りも熱心に勧められています。しかし、これまで「手抜き」の事業が含まれた導入コストの実績値で決められてきた調達価格は、その規制作りという方向性と齟齬を来しつつあります。規制に対応しようとすれば導入コストは増加し、しかし調達価格の決定にはそのコストが考慮されないため、結果として真っ当に事業をしようとする事業者が撤退を余儀なくされるという状況です。

バブルを終息させ事業を引き締めた先に、これまで以上の再生可能エネルギー事業開発を誰がどのように進めるのか、その絵姿がないままに個別政策だけが迷走している状態と言えます。

2020年代の始まりに、これまでの再生可能エネルギー政策の総括を図りつつ、今後の普及拡大に向けて課題を明らかにし方針を示していく。これがまず、2020年の我が国におけるエネルギー政策が取り組むべきものだと考えを巡らせつつ、年始を迎えました。

昨年に引き続き、政策に絡むアクションが増える一年になりそうです。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


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