千葉加曽利

太陽光発電所への法定外目的税「事業用発電パネル税」問題@美作市

今年5月、再生可能エネルギー業界に大きな衝撃を与える事件が起きました。

岡山県美作市で、市内に設置された太陽光パネルの面積に応じて「事業用発電パネル税」を徴収するという条例案が、公表されたのです。

その課税額は年間50円/㎡という額で、発電事業者でないとその負担額がパッと実感しにくいと思います。一般的な発電所オーナーにとっては、年間利益の10%を持って行かれるくらいの負担になります。

この税の問題点はいくつも挙げられますが、太陽光発電所は設備そのものへの税金である償却資産税や、売電収入への法人事業税の収入割(「利益」に関係ない「売上額」への課税)を支払っており、太陽光パネルへの課税は二重課税になります。

これに真っ先に反応したのが自民党の秋本真利議員で、再生可能エネルギー普及拡大議員連盟の事務局長です。その時の記事が下記です。

この事業用発電パネル税が二重課税となること、再生可能エネルギーの主力電源化を目指す国の方針に反することなどを、細かく指摘されています。

条例案は5月に詳細が明らかになり、6月に美作市議会に上程されますが市の対応が不十分と言うことで継続審議になり、続く9月議会でもまた継続審議となりました。

しかし、何としても成立させたい市長の思惑もあってか、次の12月議会で採決に持ち込むのではという観測があり、市議会は市長派が半数程度ということもあって否決されるかは予断を許しません。

事業用発電パネル税が美作市で導入されれば、その後は全国各地の市町村が追随することが予想され、太陽光発電に留まらず全ての再生可能エネルギーを対象としてくる可能性があります。

私が専務理事を務める太陽光発電事業者連盟(ASPEn)では、この問題に対処するため11月27日に美作市で発電事業者を集めたシンポジウムを開催することにしました。

世界的に再生可能エネルギーの導入拡大がエネルギー政策の最重要事項になり、気候危機に対処するためにも迅速な普及を図る動きがある中で、日本だけが新たな税金を設けるという悪い意味で歴史に名を残すようなことにならないように、最大限のアクションを続けていきます。

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