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トライアスロン復帰2連戦所感

5月28日の長良川ミドルトライアスロン、6月4日のスペシャライズドカップに参加しました。レースまでの経過とレースの所感を記載しておこうと思います。
基本的には自分の練習日誌を公開するような形なので、冗長な文面をお許しください。

春の練習

3月9日に渡良瀬遊水地にてBike145km、Run26kmの実戦練習を行いました。
冬場はこの練習を目標にベーストレーニングを積み、当日はランで熱中症(電解質異常)をきたし終盤で垂れたもののBike41.3km/h、Run4'18/kmでまとめることができ冬場の練習に手ごたえを感じました。
3月19日のしろさとTTは当該週に重度の花粉症症状が出たためDNF。その体調も考慮し、3月は一度冬場に蓄積した疲労をリフレッシュすることに重点を置きました。
4-5月は8月のコペンハーゲンに向けた年間スケジュールにおいても高強度の練習に取り組み出力の天井を上げる期間として設定していたため、予定通りBikeではVO2Max、RunでもVO2Maxに刺激を入れながらLT2を底上げするCVペースでの練習を中心に行いました。
また3月初からはSwimの練習を開始し、4月末からはスクール(Sunny Fish)の朝スイムに週1-2回参加し始め、そこでのワンポイントアドバイスをもとに週ごとに成長を実感していました。

Bikeは高強度域の練習への反応がすこぶるよく、5月下旬の時点で自覚的にはWmax(Ramp testの最後1分間パワー)は明らかに史上最高の値。
Runは右下腿の違和感と付き合いながらも5月後半には徐々にCVペースが向上し、一定の手ごたえを感じていました。
5月11日に改めて渡良瀬遊水地にてBike145km、Run26kmの練習を実施。パンクの関係でBike117km、Run34.5kmと変更を余儀なくされましたが、それぞれ41.9km/h、4'14/kmのペースを前回よりはるかに余裕をもって達成することができたため、高強度に振りながらも長距離耐性を落とさずに進んでいることが確認できました。

レース前の目標

4-5月はもとから高強度の練習に取り組む予定だったので、その効果判定としてある程度高い強度でのレースを求められるミドルトライアスロンは最適だと考えていました。
8月が本番であるため練習量を減らさないようテーパリング期間は設けず臨み、その中で安定したレース運びをするというのが大まかな目標でした。
トライアスロンに出場するのが2021年の99T以来1年7か月ぶりだったので、3種目を通じて形にするということはコペンハーゲン前には必須だと考えていたため非常に妥当な目標だったと思います。

もう1つ、レースにおいて一定の結果を出すという目標設定もしていました。順位は自分でコントロールできない要素なので本来興味はありませんが、本番でサブ9という具体的な目標を達成するにあたり、経過はどうあれ何らかの結果を形にするという練習は実戦的な意味で非常に重要だと考えていたからです。
長良川ミドルトライアスロンでは優勝と4時間切り(前日のコース変更をふまえ)、スペシャライズドカップでは現行フォーマットでトレーニングパートナーの星くん、菊池くんしか達成していない3時間20分切り、および2位以内を現実的かつ挑戦的な目標としました。

長良川ミドルトライアスロン

フォーマットはSwim2km、Bike80km(例年長い)、Run20kmのトータル102km
数値設定は
Swim:川ということもあり1'45/100m以内
Bike:風を考慮し260wで43km/h台中盤
Run:4'00/kmを切る
35分-2.5分-1時間55分-2分-1時間20分 の3時間55分ちょい

レース前日にTPUチューブがパンクを繰り返し非常用のブチルチューブに切り替え。さらにビードが上がらず四苦八苦。そうこうしているうちに夕方から風邪症状が出現し咳で一睡もできず、当日朝も固形物が摂れずヨーグルトとみそ汁を飲んでごまかすという状態でスタートしました。
この時点で既に記録を望むことは絶望的でしたが、本当に風邪なのかもまだわからなかったのでひとまず設定どおりの動きをしてみてどうなるかを確認しながらアジャストすることとしました。

Swim:実測2002m 34:08(1'42/100m)
1000m2周回のコース。水温が低いという声もありましたが、自分としてはこれより冷たいほうが助かるというような感覚で気持ちよく泳ぐことができました。ボディポジションを意識し足が下がらないような泳ぎを心がけ、1周終了時点で17分ジャスト。距離も短くないようなので思わずガッツポーズ。身体症状も泳ぎながら時折咳き込む程度だったので、もしかしたらなんとかごまかしていけるかもという気持ちでスイムを終えました。
川は非常に穏やかでしたが、リザルトを見ても決してスピードが出やすい環境ではなさそうだったので、3か月である程度の泳力を身に着けることができたという好印象を受けました。

T1:4:03
ウェーブ7番手と驚くほどいい順位でスイムアップできてしまい浮かれていましたが、ほかの選手が2分程度で済ましたT1に4分もかかりました。トライスーツのファスナーが一向に上がらず、かつトライスーツの上半身を脱いでスイムしたので着ることに難渋しました。実はファスナー問題は5月の渡良瀬練習会T1でも同様の事件が起こっていたため対策不足を痛感。
決してT1でカップラーメンを作っていたわけではありません。
トライアスロンの大会に出ておいてよかったです。

Bike:実測83.1km 1:58:02 (42.2km/h)
自分の体調がまだわかりかねていたこともあり、まずは予定通り260w程度での巡行を開始しました。1周は10kmちょっとだったものの普段からは考えられないほど長く感じ、心拍数が上がり主観強度も非常に高かったです。一方で筋力としては適正か少し物足りないパワーだったので出力をしばらく維持していました。
前半1時間は平均259wでしたが、心拍数は170を超えBikeにおけるLT2ゾーンをオーバーしている印象でした。補給をしようとすると吐き気がして、ドリンクを走行中に初めて吐くことに。公式の写真を見てもどう見ても顔色が悪く、我ながらよく自転車こいでるなと慰めてやりたい雰囲気でした。
後半はもう水分を多くとることもできなさそうだったのでパワーを自然と下げ、トータル平均252wで着地しました。パワーに対するスピードでいうと、昨今のパワメの高振れ傾向、前日のタイヤトラブルの差分は空気圧の問題を含め0.4km/h程度と考えるとコース状況的に最低ラインは達成していたかなと思います。
きつい状態においてもある程度エアロポジションを意識し続け、向かい風での減速を抑えられている印象があったのは収穫です。

T2:1:51
もともと自分はT2は一息置きながら落ち着いて、ラン序盤で極端に心拍数が上がらないよう意識しているので、ほかの選手と10-20秒程度の差であれば許容だと思っています。ファスナーはついに全く上がらなくなり、ヴェイパーの靴ひもを結びなおさなくてはいけなかったので今後はひもを変更しようと思います。(ひもが緑じゃないのが気に入ってなかったのでちょうどいいです)

Run:実測20.3km 1:28:04  (4'21/km)
2連戦におけるキーポイントの1つとして、バイクを高強度で走った後にランをある程度のペースでまとめられるかどうかというものがありました。渡良瀬2連戦の経過をみるにミドルトライアスロンで4'10/kmより遅く走ることはないだろうと考えていたため、T2の時点では4時間は切れないもののまだ辛うじて優勝するつもりがありました。(優勝された藤井選手が5分以上後ろだったということもあり)
しかし、トランジションを出た時点で脆くもその希望は崩れ去りました。4'10/kmより速く走ろうとするとLT1ゾーンを明確に超えている印象があり、その場合もう補給をまともにできない現状では走り切れないという感覚だったため目標を完走に切り替えました。逆に言うと、維持できると想定したペースで落とさずに最後まで走るということ自体に意義があると考えられたため一定のリズムを意識しました。4’15/km前後で走りつつ、給水のたびに飲めるだけ水を飲み大量の水をかぶり、ファスナーが下りてることを注意され安全ピンで仮止めするなどエイドでは大変お世話になり、エイドで使用した水の量ではしっかり優勝して帰ってきました。
エイドでしっかりと時間を使うことでダメージを最小限に抑えることに成功し、終盤までペースを落とさずにゴールすることができました。ペースが落ちなかっただけで明らかにめまい感はあり、終盤すれ違ったひらめさんに意識がぼぉっとしていたのではと後で指摘された程度には消耗してました。

総じると、バイクは明らかにオーバーペースでその影響がランに出てしまった印象ですが、バイクのペースを抑えていても結局多分走れなかったのでトータルではベストのパフォーマンスを出せたように思います。順位的にも何とか2位に収まることができました。

スペシャライズドカップ

フォーマットはSwim2250m、Bike72km(+α)、Run15km のトータル89km

長良川後、風邪は2、3日で落ち着くと信じていましたが、その状態でレースをした影響が思ったより大きく金曜日までは動くことができずに過ごしました。ですが、ウイルスの排出は殆どなくなっているような自覚症状(咳喘息や気管支炎様症状)で人様に迷惑をかけないだろうということ、何より星くんとレースをして同日ハンブルグで偉業に挑む菊池くんに勢いをつけたいという(自分勝手な)気持ちが勝り、欠場は頭にありませんでした。
前週の長良川ミドルトライアスロンでは体調に対して明らかにバイクを高出力で踏みすぎたので、体調の現状がわかっていたスペシャライズドカップでは数値設定は設けず、とにかく完走することを目標にバイクは徹底的にパワーを抑えることにしました。

Swim:実測2240m 37:50 (1'41/100m)
長良川と比較しウエットスーツを着た時点での息苦しさが目立ち、スタート時点ではDNFの可能性をかなり感じていました。
スタート後はとにかくオーバーペースになりすぎないことを意識し、0.5周ほどしてからフォームを意識。終盤は腕が疲れてペースが落ちましたが、コースが光の反射含めわかりづらく水中の視界がほぼゼロの中1'40/100m程度でまたまとめられたのは大きな収穫でした。
体調が整ってウエットスーツにさらに慣れ、多少は視界のあるレースコンディションならば1'36/100mでは泳げることが現実味を帯びました。

T1:2:14
ファスナーが上がらない原因を確認し、対策をしてきたためファスナーはスムースに上昇し一安心。トライスーツの上も着たまま泳いだのでそちらの問題も解決です。ただ、そのせいか泳ぐ時に左肩とウエットスーツが干渉して明らかに泳ぎづらかったのでさらに対策を練っていきます。
これでもほかの選手より30秒ほど余計にかかっている模様ですが、自分のペースは乱さなくていいかなと考えています。

Bike:実測72.7km 1:43:52 (41.9km/h)
走り始めた瞬間から高出力を出すことを身体が拒否していたので230w弱で巡行を開始しました。アイアンマンでの目標パワーが230-235wなので、アイアンマンペースより5w程度低い感覚です。しかし、何度となく練習している渡良瀬のこの1周がこんなにも長く感じるのは初めてでした。いつも20周とか走っているので気づいたら5周程度は終わっているはずなのですが、今回は1周1周を噛みしめていました。
パワーが出ないことは週の半ばの時点で分かっていたので極端に肘の低いフォームを実験的に試しましたが、股関節の屈曲可動域の問題でパワーを維持するのが難しいことが確認できたのでポジションは再検討していきます。個人的には過去一で美しいフォームだと思いますがトライアスリートではなくタイムトライアルスペシャリストのフォームでした。
フォームは意識しますが、スピードにはこだわらず決して辛くならない強度、心拍数も150前後まで下げながら走りトータルでは平均227wで走破しました。その強度でもやはりげっそりするような感覚は残り、たとえランがなくても長良川のように250wを維持する走りは無理だったと感じました。

T2:1:39
やはりヴェイパーフライのひもをほどかずに履くことはできず。ですが、体調的には一呼吸置いたほうが絶対によかったので結果オーライです。

Run:実測15.0km 1:00:16 (4'00/km)
完走を目標としてバイクでLT1を超えないように走ったので、ランでは代謝的に長良川のような厳しい状態でスタートせずに済みました。4'05/km程度から走り始め、周回ごとに現れる上り下りも問題なく対処できる程度の代謝的バッファを感じていました。一方でLT2を超える強度に一度達してしまった後それを整えるだけの体調には全くないと感じたため、安全に走れるペースが4'05/km程度でした。後半は身体がランニングの動きに慣れ、身体的余裕度も高まったため4'00/km程度で走り、最後の1kmほどを3'50/kmでまとめてゴールしました。ラストの感覚からは、本調子の場合、ミドルの序盤以降は3'50-55/kmでまとめられるだろうと感じました。

順位としては4位。このまとめ方であれば2位に入れてもおかしくないパフォーマンスでしたが、上位選手のバイク力が上がっておりバイク中に追いつけなかったことが印象的でした。非常に嬉しく感じています。
2連戦を通じてスイムで安定的に泳げたこと、2戦目に全体のバランスを修正して体調なりにランを4'00/kmでまとめて自信を回復したことが収穫でした。

2連戦のまとめ

まず一言で言うならば、万全の体調とは言わずとも普通の体調で出場したかった。これに尽きます。
特にバイクは相当の自信がある中で臨んでいたので、それを確認する機会を失ったのは非常に大きいです。
かつ、最初に記載した通り今回の2連戦で何らかの結果を残すということは自分にとって自信をつけるためにも重要だったので、それが達成できなかったことは不安材料になりました。
共にサブ9を目指し(皆様ご存じかとは思いますが菊池くんは達成しました)練習会をしている2人は、トライアスロンで実績もしっかり残している(菊池くんは2021年から完走したレースはいずれも優勝、星くんは去年からこのスペシャライズドカップまでで6回優勝)というのが僕との大きな違いです。
サブ9はタイムを追っているので速さが求められるような目標に見えますが、必要なのは速さではなく強さなのは実際に目指せば明らかですし、そうであることは2人がこれから記すことになるだろうnoteからもほとばしるはずです。
結果を出すための強さが自分に伴っているかに対する不安は出てきましたが、もうどうしようもない部分でもあるので、あと2か月半は1日1日その日にできることをしっかり積み上げて自信につなげるよう心掛けていきたいと思います。そして8月のコペンハーゲンで結果を出すことでサブ9に見合うものを積んできたということを(特に自分自身に対して)証明してみせます。

僕が知る限りでは、菊池くんは3月の渡良瀬練習会、星くんは4月の宮古島とそれぞれ本番レース2-3か月前に大きな課題を受け取る経験をしています。そして彼らはその経験を直視し確実にそこから修正を重ね、一回りも二回りも強くなっています。
僕にとってはこの2連戦がそれだったと思います。
振り返ると復帰後の大会でまともな体調で出られたのは乳酸を測りに行ったフルマラソンのBeyondだけです。(紅葉チャレンジは憩室炎、しろさとTTは重度の花粉症)
これは運や偶然なのではなく、レース前に仕上げすぎたり(ほっそりしたと結構言われました)自覚以上にストレスを感じていたりすることで免疫機能が低下していることが強く示唆されます。
これをもとに、レース3週前の8月の過ごし方を非常に重要視しようと思います。
スペシャライズドカップでは1週間ほぼ運動をしなかったことで、ランをかなりフレッシュな脚で走ることができた感触がありますし、8月の運動量は相当絞ったうえでリラックスしながら、体重が減りすぎないように注意していきたいです。
僕にとってはフィットネスを上げる以上に、コンディションを崩さないのが最大の障壁だという点から目を背けずにあと2か月半精進します。


僕たちはあまりにサクッと集合解散する(し僕が顔出さない)ので
実は3人で写っている写真がほぼない。
なのでこの写真はお気に入りである。

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