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堺化学工業 (4078):ニッチ技術による隠れMLCC恩恵銘柄

(日本時間2024/7/30時点)
時価総額:472億円
PER(予想):10.4 PBR(実績):0.6
配当利回り:4.5%
🟢高配当
🟢PBR1倍割れ
🟢村上ファンド関連
🟢ニッチ技術(無機微粒子粉体プロセシング技術)でMLCC材料などの製品で国内トップシェア
🟢MLCC需要拡大の恩恵→AI、データセンター、新型iphone関連
🟢高付加価値品へのシフト中


堺化学工業の事業概要

当社の事業部門

1.大きくは化学事業と医療事業に分かれるが、売上の~90%、営利の99%が化学事業
2.化学事業として、主に無機粉体材料を中心に多様な用途向けの製品を提供
3.25年3月期から、化学事業の「電子材料」、「有機化学品」、「化粧品材料」を中長期の利益成長を牽引する成長事業として位置づけ、売上拡大を目指す
4.特に、電子材料セグメントはMLCCのメイン材料のチタン酸バリウムや高純度炭酸バリウムを中心とし、業績への影響も大きいのに加え、株価の材料として重要
5.安定事業として「衛生材料」「受託加工」を挙げ、安定した売上と利益率を基盤に収益化向上に取り組む
6.効率化検討事業としては、「酸化チタン・亜鉛製品」、「樹脂添加材」、「触媒」を挙げ、採算改善や事業再編を目指す

MLCC(積層セラミックコンデンサー)需要の回復

1.スマホやテレビ、パソコンなどあらゆる電子機器は電圧を安定的に保持したり、電流から出るノイズを除去できる電子制御が必要
2.電子回路において電荷を貯めたり放電することで一定の電圧を保ち、ノイズを取り除く役割をする電子部品がコンデンサー
3.様々なコンデンサーの種類の中でも、MLCC(積層セラミックコンデンサー)が小型化かつ高度化する電子機器において主流かつ必要不可欠
4.ちなみに、LCCが電子機器の小型化かつ高度化に寄与できるのは、従来のコンデンサーのように1層だけで終わるのではなく、絶縁層と電極層を交互に積み重ねた構造。小型ながら電子容量を大きくできる(物理的な構造について細かいところは興味あれば調べてみてください)
5.MLCCの主な需要はスマホやコンピューター需要。例えば iphone出荷台数とMLCCの相関性は高い
6.既存の電子機器向けの需要に加えて、直近はAIやデータセンター投資拡大で半導体需要が急増。さらには自動車の電動化を背景に車向けMLCC市場も拡大中
7.ただし、需要先がどれも景気動向に左右されがち
8.さらに、MLCCはカスタム品より汎用品を注文する場合が多く、需給サイクルの影響が非常に大きい
9.(需給サイクルの例)
需要>供給→商品価格上昇→業績好調→増産→需要と供給が均衡化→在庫余る→価格下落→減産→業績不調→再び需要>供給→価格上昇→業績好調
10.2022年あたりにMLCCの在庫の積み上がりと減産のサイクルが到来し、2023年から需要回復が進んでいる

26年までの中計

1.24年までの中計から引き続き、事業ポートフォリオを変革予定

堺化学工業社の新中期経営計画発表より

2.特に、当社の強みである微粒子加工技術を梃入れできる「電子材料」「化粧品材料」「有機化学品」での成長を目指す

3.EV化やAI・データセンター需要を背景としたMLCC市場の拡大を見込み、電子材料での大きな成長を見込んでいる

直近業績

1.2024年3月期決算は前年比大幅な減収減益と減損損失の計上により赤字
2.成長事業として位置付けている電子材料のMLCC市況の回復が見込みより遅れたのが手痛い

2024年3月期決算説明会資料より

3.一方、来期予想として継続的な販売価格是正や電子材料を中心に数量回復を見込み、増益予想

投資アイデア

電子部品市況の流れの意識が重要

1.上述のようにMLCCなどの電子部品は需給サイクルの影響が大きい
2.MLCC需要の鍵となるiphone販売量やAI・データセンター設備投資に注意が必要
3.アメリカのハイテク企業の決算によれば、24年度はAI・データセンターへの設備投資がコストのほとんどを占めている
4.どの時点がAI・データセンターへの設備投資の頂点となるかは不明でも、ハイテク企業のコスト改善が始まるタイミングはMLCC関連産業への投資の引き際ではないだろうか(=Nvidiaの引き際でもあるか)
5.引き際を注視し続ける必要あるが、個人的予想としては来年度上半期までは安心していいのではないだろうか

PBR1倍割れ改善

1.5位の大株主が村上世彰氏の息子
2.24年3月末時点の当社のオフィシャル報告で明らかになったので、23年末~24年初頭のエントリーと推量
3.村上ファンドの本質的な投資哲学はPBR1倍割れ企業のPBR改善による企業価値改善
4.当社は現在、DOE3%を目安とした配当政策を中心に株主還元中
5.利益計画を上回る業績における追加の株主還元も検討中とのこと

目標株価

1.PER基準)電子部品産業の平均PER: 15が適正な水準と推量
年内の目標時価総額:680億 (~4,000円) 
2.PBR基準)PBR1倍割れ企業への株主価値向上策の発表があれば、PBR 0.9倍程度にまでは上昇可能と推量
来年度上半期までの目標時価総額:700億 (~4,200円)

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