平屋私庭日記#48 | サクランボの開花
ライツ社さんでの連載を卒業して自分のアカウントで平屋私庭日記を続けていくことになりました。
引き続きお付き合いいただけると幸いです!
サクランボの開花の不満
瓢箪山の平屋の庭で春一番に咲く花はサクランボ。毎年3月上旬あたりに咲き始めて早いなぁと思っていたのに、今年はもっと早く2月下旬に咲き始めた。
桜の代表格であるソメイヨシノや大島桜は人の春が来る感がちょうどいいタイミングで咲きはじめてくれるのに、サクランボはそこら辺の空気を全く読めていない。
そこに僕は少し不満を抱いている。
桜といえばやはり4月の新学期に咲きはじめ、週末には春っぽい少し薄着な服を押し入れから出してきて花見に出かける。(僕は大阪なら中之島かな)
他の植物たちも動きはじめ虫も見かけるようになり、街ゆく人々と陽気な気持ちを共有しながら散歩するから良いと思ってる。
なのにサクランボはもう咲きはじめてる。これでは春感がまったく無くせっかくの花を楽しみきれずに過ぎ去っていってしまってるように感じている。。
なんでもう少し待てないかなぁ、これでは授粉媒介者の虫もいないではないか。。と思いつつ、咲いてしまったものは仕方がないので毎年恒例の人工授粉をせっせと始めることにした。
人工授粉
100均に売ってる耳かきの裏のフサフサで雄しべと雌しべをちょんちょん触っていく。綿棒でもいいのだろうが僕的には耳かきのフサフサが気に入っている。
これをやり始めると植物に操られてるなと思ってしまう。
耳かきのフサフサが黄色くなってくるとちゃんと花粉を取り込めている安心感がある。
ちょっと触っているだけですぐに耳かきが黄色くなった。一本の木からこれだけ花粉が出るんだから、花粉症の悩むこの時期はとてつもない量の花粉が街の中に飛んでいるに違いない。
虫媒あらわる
そんなこんなでせっせと人工授粉に励んでいたある日、サクランボの木にたかるアブの集団に出会した。
これだけ寒いと虫も来ないだろうと思い、サクランボのためにせっせと働いていたのにアブが来ていたとは、。
このサクランボを授粉させてあげられるのは僕だけだと意気込んでいただけに悔しいような嬉しいような気持ちになる。
よくよく考えれば職人の僕は朝6時〜7時くらいに家を出て日が沈んだころに帰ってくる生活リズム。虫たちは日中の暖かいときに動いているんだから出くわさなかったわけだ。
どうやら僕とアブで受粉を繰り返し、サクランボの木からすると大忙しの毎日だったに違いない。
来年からは人工授粉をやらないというのもソワソワしてしまうので、僕の仕事を少し減らすことにしよう。
最後に
今年からどうやら花粉症になってしまったみたい。
数年前にカメラマンの友人MRから花粉症の小話を聞いたことを思い出した。
人はみんな体内に花粉を溜めるコップみたいなものを持っているらしい。そのサイズはまちまちで溜まる量ももちろん違う。そしてそのコップから花粉が溢れ出た時、人は花粉症になるというものだった。
その話が本当なのであればどうやから僕の体内花粉コップは満杯になり溢れでてしまったようだ。
花粉症で虫が苦手で寒がりな僕にとって庭師の仕事はますます険しいものになりそうだ。
園園. 庭師 中山智憲
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