建設機械発達の概要(タワーエキスカ)

1.タワーエキスカ

 スラックライン掘削機の一種である。昭和23年度に建設省は日立製2m2タワーエキスカを常願寺川に設置した。当時、河川改修事業用の大形建設機械としてはラダーエキスカがあったが、急流河川における玉石交りの土砂に対しては全く無能であった。またブルドーザは9~10t程度で大型機は無く、現今のような岩場掘削の例もなかった。構造その他に就ては、機関誌や要覧1953年版を参照されたい。
 常願寺川での水中玉石掘削が成功したので、北陸の急流河川である庄川、手取川・黒部川などに、また木曾川の支流藪川・雄物川等に昭和25~26年にかけて設置された。更に猿ヶ石ダム・五十里ダム・朝日ダム等における骨材採集用としても利用された。当時は天然骨材の採取が常道であったので、出水に悩まされることなく作業が出来ることが特徴であった。昭和26年頃まではタワーエキスカ・ブームの観を呈し、従来機関車土工では不可能であった中洲の掘削などにも利用される様になった(雄物川の例等)。製作には日立と石川島があたり、日立は2m2級、石川島は1.0~1.2m2級の製作を担当した。技術的な問題としてはレールロープの耐久性があったが、東京製綱、東洋製綱等の協力によって間もなく解決した。ほぼ同様の原理によるドラグスクレーパ(日立製)が千曲川の湯滝掘削に使用されて成功した。
 昭和28年頃より河川改修事業費の伸び悩みと共に河川事業におけるその後における大形タワーエキスカの新設は行われていたが、小規模な0.5m2級ドラグスクレーパは現在でも引続き利用されており、水中掘削の有効な手段となっている。

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(↑)日立タワーエキスカ(九頭竜川)

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