石炭露天掘機械技術研究組合について

1.目的


 石炭露天掘機械技術研究組合(以下「組合」と称す)は,わが国エネルギー政策の一つである石油代替エネルギー開発方針に沿って、海外炭の採掘合理化を図るべく、昭和58年3月に設立された。
 海外炭露天掘用建設機械の研究開発を目的として、組合はわが国主要建設機械メーカおよびタイヤ・油圧機器等主要コンポーネントメーカからなる11社で構成されている。
 当組合が目指す成果は、近年進歩の著しい各種先端技術を駆使し、時代の要請である省エネルギー、運転や保守整備の容易化安全性の確保を通して、高性能で信頼性の高い世界最大級の大型油圧ショベルと大型ホイールローダを製作することである。
 通産省ご当局のご指導のもとに、組合員各社の緊密な協力を得て研究開発中であり、以下にその状況を報告する。

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2.組織

 当組合の組織は、下記組織図のとおりである。

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3.研究開発の経緯

 昭和58年組合発足以来の研究開発の長期計画は図1のとおりで、大型油圧ショベル、大型ホィールローダ、それぞれ5年目、4年目に試作機が組立てられた。各部会の研究経緯は以下のとおりである。

3.1大型油圧ショベル部会

 試作機は実績のある160t級に比し、5倍の慣性量で、しかも1.7倍の寿命という要求に答えるため、制御システムの研究,大容量コンボーネントの開発並びに本体開発と3系列で開発を推進し、次の経緯をたどった。

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3.2大型ホイールローダ部会

 試作機は作業能力が現在世界最大であるとともに、電子制御システムによる操作性の向上・新油圧システムによる省エネ・全油圧湿式ブレーキ等による安全性の向上・数々の新開発技術による点検整備性の向上をはかった最新鋭のホィールローダで,次の経緯で開発を推進した。

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4.今後の予定

 現在までにコンポーネント試験、一般性能試験を実施してきたが、最終段階として実現場 における稼動試験を行って、個々の開発技術の 効果の確認だけではなく、マイニング機械とし て要求される総合的性能の評価を実施する予定である。稼動現場として、試作機の仕様・ねらいに適合するオーストラリアの石炭鉱山を選定した。

 この試験における評価のポイントは、次のとおりである。

(1)170トンクラスダンプトラックへの掘削積込み作業における生産量・省エネルギー効果
(2)長期間および種々の掘削条件下での稼動における信頼性
(3)鉱山現場の苛酷な環境条件への適応性
(4)長時間運転時のオペレータの居住性
(5)鉱山規制への対応、安全性

5.これまでの成果と波及効果

 仕様表に示すように、高性能・高信頼性が期待される世界最大級の石炭露天掘用大型掘削積込機2機種の開発により、大型ダンプトラックを組合せた「ショベルーダンプシステム」の採用が可能となった。
 電気ショベルのように高圧送電設備を要せず初期投資の少ない新規鉱山開発あるいは多重炭層、傾斜炭層での採掘技術の面で、鉱山施工法の改良もしくは効率の向上が図かれ、大幅な生産コストの低減に寄与できる見込みである。また開発機に採用された各種電子技術(制御・情報の処理・表示等),エンジン技術、従来の2~4倍の容量をもつ油圧機器や各種コンポーネント並びに要素技術、および新材料を使った製品技術は、各種産業機械分野で要請されている高機能制御・自動化・省エネルギー・低燃費・高信頼性等の実現に波及効果可能となった。

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