建設機械発達の概要(ケーブルクレーンなど)

1.コンクリート打設用機械

 ケーブルクレーンは戦争のため製造が中止されて以来、終戦後は昭和25年になって製造が再開され、大小のダム工事に利用されるに伴って4.5tから25tにわたり各種のものが製作されている。

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(↑)日立 25t ケーブルクレーン


 型式についてみると、従来からあった固定型走行型および孤動型に加えてブライドル式準固定型斜走行型両孤動型等が作られた。すなわち神通川第一ダム工事では主索軸線が走行レールに対して63°30°の交角をなす例があり、また鹿野川ダム工事では両塔の走行距離が1:2という両孤走行をなす例がある。
 ケーブルクレーンの走行路の土木工事費は巨額に達するので、走行塔をなるべく低くして、その幅を狭くすることに努力が払われた。特に孤動型においては固定塔側にエンジン室を設け、走行塔を尾塔とする方式が多く採用されるようになった。
 ケーブルクレーンの主要部分である巻上げおよび横行ウインチは、2~3の例外はあるが、多く2電動機式、すなわちブライヘルト式できわめて能率のよいものとなっている。その巻上げまたは横行速度は著しく高速になって、巻上げ200m/min、横行500m/min(田子倉および黒部第四の各ダム工事用)に達している。
 かくのごとく横行速度が大きくなるとキャリヤとボタンの衝突による互の損耗が激しくなる。大体横行300m/min以上になると事故も頻度を増し、破損部品の落下によって直下の人員に危険を与える結果となる。米国ではパインフラットダムの工事において600m/minの横行速度を採用して摩擦駆動式キャリヤが用いられ、この中古品が佐久間ダム工事用に輸入されて高速キャリヤの問題が一層真剣に研究された。かくして摩擦駆動式キャリヤが糠平ダム工事用18t(6m2)×420m/minクレーンに初めて使用され、またキャリヤとトロリが常に一定比の関連運動をする、4日ープけん引式キャリヤが小河内ダム工事用25t(6m2)×370m/minクレーンに初めて取付けられた。いずれ年の製作にかくるものである。
 主索は現在ロックドコイルが用いられている。国産は昭和26年に始まった。昭和32年になって25tケーブルクレーン用径100mm、F型、長さ600mのロックドコイルロープが完成された。
 コンクリートバケットは小形はローラゲート手動開閉式であるが、3.0m2以上は空気開閉式に改良されている。また最近トランスファーカーが利用されるようになったが、バンカー線に接岸させるときにバケットが大きな衝撃を受けるのでバケット外殻の補強に特に意を用いてある。

 トランスファーカーの使用は最近のことであるが、コンクリート積込みに要する時間を短縮するためにバケットはクレーンに吊ったままとし、コンクリートをトラスファーカーからこれにあけて、バケットの取替え操作に要する時間を節約せんとするものである。トラスファーカーはコンクリート積載量3..0m2~6.0m2で、ディーゼル機関または電動機によって駆動される。・コンクリートの締固めには各種のバイブレータが用いられているが、大規模現場にはバイブレータドーザ等も出来た。

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(↑) 日立トランスファーカー

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(↑)バイブレータドーザ

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