いろ日記 10【5/7-5/12】 -日記小説-

ある人の ある５月の日記です。

●５月７日　「 うすオレンジ 」

少し開けた窓から風が入って、カーテンが呼吸をしているみたいに、ふくらんだりへこんだりしていました。
カーテンと同じリズムで息をしていたら、ペースが合わなくて苦しくなった５月の夕方。
カーテンの向こうに、うすオレンジの雲が流れていました。

●５月８日　「 うつし絵紙色 」

半分の白い月が空に透きとおっていました。

空を見上げることは多いのに、月を見たのは久しぶりでした。

何だかうれしくて、うつし絵紙のような色に見とれました。

●５月９日　「 空色 」

坂野さんがおみやげをくれました。
固まっている私の手にちょんと乗せてくれました。

私がお休みをどう過ごしていたかも聞いてくれて、
公園に行ったことを話すと、
僕も公園好きなんですよ、と。

きれいな空色の小さな四角をテーブルの上にちょこんと飾りました。

●５月10日　「 黄色と赤色 」

今日の夕飯はオムライス。
テーブルの上のおみやげを眺めながら、黄色と赤色を一緒に食べました。

おみやげ、明日開けようかな。

●５月11日　「 瑠璃色と空色と乳白色 」

おみやげ。今日やっと開けました。
瑠璃色のリボンをほどいて、
空色の箱をそっと開けると、
透け感のある白い紙で包まれた美しいクッキーが入っていました。

白っぽいクッキーを食べると、ほろりととけて、やわらかな気持ちになりました。

うれしい。

●５月12日　「 月の色 」

今日もクッキーがあります。
まんまるお月さまみたい。ふふふ。
おいしい。