いろ日記 9【5/1-5/6】 -日記小説-

ある人の ある５月の日記です。

●５月１日　「 白い切り取り線 」

今日から５月。

空にひこうき雲がまっすぐ伸びていました。
残されたひこうき雲はぽつぽつ途切れて、白い切り取り線のようでした。

●５月２日　「 信号機色 」

スーパーのレジ袋をゆらゆら下げて帰りました。
偶然そろった赤・黄・緑。
袋の中で、信号機色が揺れています。

おいしいサラダができそうです。

●５月３日　「 白の香り 」

歩いていると、けむるような甘い香りに包まれました。
香りのする方をたどってみると、フェンスに広がるように白いお花がたくさん咲いていました。
またこの道を散歩しようと思いました。

●５月４日　「 やさしいはいいろ 」

いいお天気。
洗濯物のゆれる影は、やさしいはいいろでした。
私も一緒にゆられていました。

●５月５日　「 しゃぼん玉色 」

今日も公園でぼーっとしていたら、子どもたちが次から次にやってきて、にぎやかな声が響きわたりました。
これが平和なのかもしれない、なんて思っていたら、どこかからフワフワとしゃぼん玉が飛んできました。

●５月６日　「 気高き白 」

どこかの窓からピアノの音が聞こえてきました。
聞いたことのあるメロディだと思って聞いていたら、「エーデルワイス」でした。

昔、映画で見た美しい景色がよみがえってきました。

エーデルワイスの花、いつか見てみたいな。