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いろ日記 8【4/24-4/30】 -日記小説-

ある人の ある4月の日記です。


●4月24日 「 ルビー色 」

食パンをトースターで焼いて、いちごジャムをぬりました。
ルビー色の香りで目が覚めました。



●4月25日 「 白いまま 」

何もない一日だと思いたくなくて、
美しい色があればその日を美しく思い出せる、
そう思って日記を書き始めました。

でも、
白いページを白いままにしておきたい日もあります。



●4月26日 「 黒い円 」

今日は、一日、雨が降りそうで降らない、どんより暗い空。
空からずんと重しをされているみたいで、頭が重たかったです。

少しでも晴らしたくて、帰ってすぐに前髪を切りました。
ついでに顔を洗ってすっきり。
洗面台には切った髪の毛が点線みたいに続いて黒い円を作っていました。



●4月27日 「 サックスブルー 」

後ろから名前を呼ばれて、驚いて振り返ると、ハンカチの方がいました。
(まさか、私の名前を覚えていました。びっくり。)
(私も覚えています。ハンカチの人は、坂野さんです。)
「いつもきれいですよね」とほめられました。
(掃除のことです。はぁ、びっくりした。)
いつも心地よく仕事できるそうです。
(今日はロビーで会ったので、手にハンカチは持っていませんでした。サックスブルーに白のドットのネクタイでした。)

うれしさと同時に気が引き締まる思いでした。
中田さんが残してくれた「きれい」をどこまでキープできるだろう。
中田さんが退職されてもうすぐ1か月。お元気でしょうか?



●4月28日 「 黒と黄色 」

すぐ目の前を何かが通りすぎて、ヒッと声が出ました。

アゲハ蝶でした。
黒と黄色の羽をひらりと、私の頭の上で一周回って飛んでいきました。

はぁ、びっくりした。



●4月29日 「 空色 」

今日は朝から雨の音がずっと聞こえていました。
夕方、風の音が聞こえると思って窓を開けると、雨は止んでいて、つめたい風がさわやかに吹き込みました。
流れていく雲の間に帯のような空色が広がっていました。



●4月30日 「 新緑 」

いつのまにか、緑の季節がやってきていました。

公園のベンチにすわっていると、新緑の輝きに包まれて、私の中の空気がすっかり入れ替わったような気がしました。

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