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生きる強さを持ったヒロイン/世界名作劇場 ペリーヌ物語

小さな子供を育てていると、親にテレビのチャンネル権なんて無いに等しい。

Eテレや幼児向けアニメは嫌いじゃないけれど、せめて何か作業をしている時くらいは好きなものが見たいなあと悩んだ結果、洗濯物を畳む夕方のひと時、子供と一緒に世界名作劇場を一話ずつ見るという習慣ができた。

はじめに、大好きな赤毛のアン。そのあとは、アルプスの少女ハイジ。

意外や、子供も文句は言わず、黙ってテレビをじっと見ている。今は、母親がアンを、ハイジを見る時間。と理解しているようだ。

さて、ハイジを見終わって、次は未視聴のものにしようかな、と思い、ネットで色々調べていると、好きな作品に「ペリーヌ物語」を挙げている人が多かった。よし、次はこれにしようと決める。

「ペリーヌ物語」は1978年の1月1日〜12月31日に放送された。
全53話で、世界名作劇場のシリーズでは最も話数が多い作品である。
あらすじを簡単に説明すると、
13歳のペリーヌ・パンダボワヌは母・マリと父・エドモンと一家に父の故郷・フランスに向かっていた。
しかし、ボスニアでエドモンは病死。
ペリーヌとマリはエドモンの写真技師の仕事を引き継ぎ、女2人(ロバと犬もいる)で旅を続ける。
ところが、アルプス越えでの無理が祟り、マリは体調を崩してしまい、パリにたどり着くも寝付いてしまう。
やがて、マリは息を引き取り、ペリーヌは一人、
祖父が住むマロクールを目指すのだが…。

ここまでがだいたい21話くらいまでのあらすじなんだけれど、とにかく長い!
サーカスの子供、マルセルが旅に加わったりして、明るい雰囲気の時はいいのだが、マリが病気になってからは、お金がどんどん底をつき、一緒に旅を続けてきたロバのパリカールを売ったりと暗い展開が続く。
アンやハイジには文句を言わなかった子供も、「みたくなーい」と言い出し、視聴が滞ったりしました。
正直私も、この雰囲気がずっと続くのかな…とちょっと不安になったり。

しかし、ペリーヌが一人旅を終え(この一人旅がまた暗くて長い)、祖父が経営する巨大な工場があるマロクールにたどり着いてから、物語は一変する。
祖父・ビルフランの厳しい表情を見たペリーヌは自分が孫娘と言い出すことが出来ず、(ペリーヌの父は結婚に反対されビルフランから勘当されている)名前を偽り、トロッコ押しとしてビルフランの工場で働きはじめる。
さらに、誰も使っていない狩猟小屋を、住みやすく改良して住居としたり、靴や下着を自分で作ったりと、逞しく、いきいきと生活していく。

ペリーヌは基本的に、感情を表に出すことをしない。何事があった時でも、まずはそれについて注意深く考え、ほぼ他人を頼らず、自分でとにかくなんとかしてみようとする。
ペリーヌのそうした性質は、長い旅で培われたものであり、今までの経験が彼女を生かしているということに気づく。
正直、誰か他人を頼ってよ!と思う場面もあるのだけれど、なんとか乗り越えていく彼女の強さと賢さに後半どんどん惹かれていく。

ペリーヌは、英語の翻訳能力や、馬車の扱い、そしてその思慮深さをビルフランに買われ、トロッコ押しからビルフランの秘書へと昇進する。
やがて、ビルフランはペリーヌを深く信頼し、屋敷に住まわせるようになり、そして…。

ペリーヌの長い旅を見守ってきた視聴者の願いは、ただ一つ。
彼女が幸せになる瞬間を見届けること。
前半の長い道のりがあったからこそ、味わえるクライマックスだと思う。
長い時間をかけて、物語をじっくり味わいたいという人にぜひおすすめしたい作品です。


ちなみに、ペリーヌの声優さんは、靏ひろみさん。「ペリーヌ物語」がデビュー作だそう。
透明な声とあどけない演技が本当に唯一無二…!
作中何度も「いい声をしている」と言われるペリーヌ。本当にハマり役だと思う。










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