~読~『小説 日本婦道記』
祖父母の遺品整理の最後にのこったのは、二振りの日本刀。
博物館で展示されているような、黒々と光を放つ鞘や精緻に彫り込まれた鍔(つば)に目を惹かれるような逸品ではない。いたって簡素で地味・・・というかつまり、観賞用ではなく、実用向きに用いられた刀なのであろう。
じっさい、骨董品としての価値はほぼナシと判明しているわけだが、祖父が大切に床の間に飾っていたからには、わが一族にとってはそれなりの意味をもつものなのだろうと深慮してみる。
さて、これを機に処分するか、後世に引き継ぐか。