ビネガーシンドローム
四年ほど使っているHP48GXの液晶画面に、いつの間にか黒い影が見えるようになっていた(上の写真)。調べてみるとビネガーシンドロームというらしい。
元々、写真用フィルムにおいて、そのベースとして使われていた三酢酸セルロース(TAC)が空気中の水分によって加水分解されることで生じる劣化をそう呼んでいたようだ。
液晶画面には偏光フィルムとしてTACが使われていることが多く、写真用フィルムと同様にビネガーシンドロームに罹ることがあるらしい。高温多湿な環境に長時間晒すことで起きると言われるが、経年劣化と言っても良いと思う。
この、HP48GXという電卓は1993年から2003年まで発売されていたモデルであり、私が大学に進学した2018年に父親から未開封の状態で譲り受けた。我が家にはHP48GXが少なくとも5台あり、今でも2台は未開封で保存されている。
父親に連絡を取ると、実家に保管されていた電卓にも同様の症状が出ていることがわかった。写真は無いが、未開封で保存していた分までビネガーシンドロームに罹っていたらしい。どうやらほとんど同じタイミングで液晶画面が劣化しているようだ。
この電卓はすでに生産されておらず、新しく買ったとしても間も無くビネガーシンドロームに悩まされることだろう。別の電卓を買えば良いのかもしれないが、そもそも逆ポーランド記法(RPN)を採用している電卓自体が少ないこともあり、ここまで使いやすい電卓はなかなか見つからない。今はSwissMicrosのDM42の購入を検討している。
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