大ヒノキ帝国 ヒノキ暦創設原案

帝国の建国に当たり、暦を作成することになった。

暦は、一年の帝国民の暮らしを律する重要なモノであり、暦を支配することは国家を支配するも同義である。

よって、帝国の安定的な統治、国家占星術(現代で言うと数学や科学技術ね)の発展のために帝国暦 ヒノキ歴を制定することとなった。

参考記事

暦の数学、60進法の魔法


・原案1 ~バビロニア暦~

シュメール人、(紀元前21世紀)ウル第三王朝のシュルギ王が定めたウンマ暦と呼ばれる暦である。またバビロニアでは60進法を用いた数学も盛んである。1年を3季節とし、12か月とする。一月はだいたい29~30日である。だいたい月の満ち欠けによって、月の日付を知ることが出来る。しかし、月が地球を1周するのは29.5日というクッソ微妙にやりづらい周期なのである。暦の修正のため、閏月を設けたりする

1月 𒌚𒁈 Araḫ Nisānu ニサンヌ
「聖なる月」牡羊座(Agru)
2月 𒌚𒄞 Araḫ Āru アル
「雄牛の月」牡牛座(Gu)
3月 𒌚𒋞  Araḫ Simanu シマヌ
双子座(Maštaba)
4月 𒌚𒋗 Araḫ Dumuzu ドゥムズ
「タンムーズ神の月」かに座(Alluttu)
5月 𒌚𒉈  Araḫ Abu アブ
獅子座(Nēšu)
6月 𒌚𒆥 Araḫ Ulūlu ウルル
乙女座(Sisinnu)
7月 𒌚𒇯 Araḫ Tišritum ティスリトゥム
「始まりの月」(後年の始まりであることから)てんびん座(Zibānītu)
8月 𒌚𒀳 Araḫ Samnu サムヌ
「土台を据える月」さそり座(Zuqaqīpu)
9月 𒌚𒃶  Araḫ Samnu キスリム
射手座(Pabilsag)
10月 𒌚𒀊  Araḫ Ṭebētum テベトゥム
「水が間もなく来たる月」山羊座(Suḫurmāšu)
11月 𒌚𒊭𒉺𒌅  Araḫ Ṭebētum サバトゥ
水がめ座(Gula)
𒌚𒊺 Araḫ Ṭebētum アダル
「アダルの月」魚座(Zibbātu)

この場合、19年を235か月としなければならないのだが19 * 12 = 228で7か月足りない。
そこで3、6、8、11、14、19年目に「閏月」を設け、一年の日数を調整する

閏月 𒌚𒊺𒂕  Araḫ Addaru Arku アダル・アルク
(ウルルの月とも(𒌚𒆥))


で、1週間を7日とし、7日を休息日とする(7は素数だからクソだと思う)、そして、満月の日には「満月祭(sa-bat サバト、休息の日)」を設け、肉を興じて祝う。
(サバト、サバス、多分、楔型文字で書くとこんな感じかな 𒊓𒀊𒁀𒌅(サバス sabbath、サバト sa-bat) これ、中世の魔女祭のことだよね)

60進法あたりはなかなか使えそうなのだが、いかんせん閏月がめんどくさい。

・原案3 ~ナイル暦~

古代エジプトで使われていた暦である。シリウス星の観測を元に、ソプデト信仰の中で神官が作成し、ナイルの氾濫を予言していた。

しかし、致命的な欠点がある。10進法なのである。
完璧にクソなのだが、一応検討しよう
一週間を10日とし、これを「1デカン」とする。そして、一か月を3週間とし、30日で一か月
季節を3つとし

 「ナイル川の水かさが減って暑い時期=シェムウ」
 「増水がはじまってから終わるまで=アヘト」
 「水が引き、畑をつくる時期=ペレト」

とし、シェムウ 第三月 アヘト 第一月とかいって、一年の月を決める。た。しかし、このままでは既存の暦365とずれる訳だが、なんと、

計算できなかった5日はビールを飲んで忘れる
というクソのようなカレンダーである。

年末の5日はオシリス神、ホルス神、セト神、イシス神、ネフテュス神の5神の誕生日とし、大いに飲み明かす。

しかし、やはりクソはクソ。一週間が10進法だし、閏年の記述もなかったナイル暦は次第に実際の季節とズレていった。

しかし、ナイル暦は神から賜ったモノ、変更できないのである。神官は「神の予言でアヘトにはナイルが氾濫するから、種まきの準備しとけよ」とか言うけど、全然季節違うし、でも神官の予言は、神のお告げだから逆らえないしで、グダグダになった暦である。

実際には、農民の間で、勝手にシリウスが観測され、その家々、村々で暦が出来ていたようだ。
こんなんじゃ預言になんないよ~

やはり十進法はクソ。

・原案3 ~天保暦~


日本の最後の太陰暦である。中国の授時暦を元に、日本で改良に改良を重ねて加えられた最終バージョンである。明治維新時にグレゴリオ暦が導入されたと同時に廃れた。
1年を4季節に分け、12月に分ける。そして1月を節気と中気に分け、公転360°を24気に分ける暦である。

一月節 立春
一月中 雨水
二月節 啓蟄
二月中 春分
三月節 清明
三月中 穀雨
四月節 立夏
四月中 小満
五月節 芒種
五月中 夏至
六月節 小暑
六月中 大暑
七月節 立秋
七月中 処暑
八月節 白露
八月中 秋分
九月節 寒露
九月中 霜降
十月節 立冬
十月中 小雪
十一月節 大雪
十一月中 冬至
十二月節 小寒

そして、一月の初日を「新月」末日を「晦日(みそか)」とする。
しかし、その何時を立春朝とするか、のような基準がすさまじくめんどくさい。
実際の太陽の位置を計算し、黄道の位置を計算するのである
そして、一つ問題があるのが「黄道」という発想自体が、地動説を元に作られた時代のものだからだ。
「黄道」とは「地球を中心とし、太陽がその星座のどの位置にいるかの観測」その順番である

画像1

そして、実際には、太陽は「黄道」を通っていない。
太陽の周りを地球が回っており、我々は太陽の等直線状の星座を見ている。

画像2

そして、黄道の動き360°を四分割して
黄道0度の白羊宮 (おひつじ座)を春分
黄道90度の巨蟹宮 (かに座)を夏至
黄道180度の天秤宮 (てんびん座)を秋分
黄道270度の磨羯宮(やぎ座)を冬至
とし、季節を24に分ける。360/24=15だから、だいたい半月で季節の変わり目だよね、と言う暦
そして、コレももちろんズレる。ズレるのだが、そのズレる理由が地獄のように難しい。大学の物理学レベルである。

・原案3の弱点 ~立ちふさがる西洋天文学~

まず、「地球は太陽の周りを公転している」と言うのが前提の一つ。これは太陽の引力によって引き起こされているのだが、もう一つ重要な物理現象で「ケプラーの法則」と言うモノがある。

ケプラーは天体観測によって、「惑星は、恒星の周りを、引力に引き付けられて回っている」ことを発見した、これがその時に発見された法則である

ケプラーの第1法則:楕円軌道の法則

地球の公転は楕円である。惑星は、太陽を焦点のひとつとする楕円軌道上を動く。よって、惑星の位置は、太陽質量と万有引力定数の積から計算式で求めることが出来る。
(ここで焦点の一つと書いているのは、太陽の引力は絶大だが、実際は他の星によって、公転はズレることがあるからである)

ケプラーの第2法則:面積速度一定の法則

惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である。コレは直感的には分かりやすい。地球は太陽の周りをグルグル回っているのだが、「公転軌道は楕円であるから、太陽の引力と、地球の遠心力は常に一定ではなく、公転速度は太陽からの位置によって変わる」ということである。
具体的にはこんな感じ

画像3

これは、地球の公転周期のシミュレーションである。
余りそうは見えないのだが、これは「同じ時間だけ、地球が公転した軌跡と太陽とを三角形っぽくつないだ面積」
そして、この赤、青、緑の面積は全て等しい
というのがケプラーの第二法則である。
そして、見てわかる通り、黄道十二宮の考え方からすると赤色の角度と緑色の角度が全く等しくないのである

~天保暦の話に戻すよん~

そして、天保暦も閏月を設けて、暦を修正するルールを定めていた。 閏月は以下のルールで定める

1'. 冬至を含む暦月を11月、春分を含む暦月を2月、夏至を含む暦月を5月、秋分を含む暦月を8月とする。
2'. 次の冬至まで13暦月ある場合、中気を含まない最初の暦月を閏月とする。

こうすることで、修正が可能なのだが、
実際の天体運動を計算するとの、この「ケプラーの第二法則」に基づき、秋と冬の間が極端に短い年が存在する。それが2033年である。
そして、このように黄道十二宮の計算からすると、2033年は秋分と冬至の間が一か月しかなくなるのである
つまり、2033年の暦はこんなことになる

秋分の日 8月 → なんとか月 → 冬至 11月

ということで天保暦は2033年に3か月もズレてしまうのである。却下(´・ω・`)

原案4 ~世界暦~

最近、グレゴリオ暦ではなく、世界暦を使って暦を図ろうという動きがある。その暦はとても単純。
一年を364日とする暦である。だいたいこんな感じ

1. 1、4、7、10月の日数を31日、他の月は30日とする。
2. 1年の最後に、週に含めない「週外日」 1日を置き、この日は世界休日とする。
3. 閏年には、六月の最後に 2と同様の週外日 1日を置く。この日は閏世界日とする
.4. 1月1日を日曜日にする。

この世界暦のいい所は、「全ての年で曜日が変わらないこと」である。
しかも364 / 7 = 52 一年はちょうど52週で、3か月はちょうど91日になる。

何これ無敵じゃん^p^

結論 ヒノキ暦が決定しました

大ヒノキ帝国世界暦を改訂し、ヒノキ暦とする。
以下の改定を加えることとする

1.1年の最後に「曜日に入らない日を設ける」 この日は帝国の祝祭。大森林祭とする。森と山の恵みに感謝し、お酒とか飲む。
2.うるう年の6月に「曜日に入らない日を設ける」 この日は帝国の祝祭。大温泉祭とする。山々はヒノキ風呂に感謝し、温泉を楽しむ。

正確な天文法で預言もばっちり。

「そろそろ雨が降るよん」とか預言者としても君臨できる。マジヤバい。完璧じゃん
ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。





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