Thank for your Indifference

生きてるって 何かを告白していくことだ

昔 そんなことを カリスマ歌手が言ってたような
本当に 辛い日々だ
二酸化炭素を 糞尿を吐き出すことで人間が生き続けてる証明のように
口から 何かを誰もが吐き出している
それが 告白 というなら 生きるとは告白なんじゃなかろうか

ただ 僕には誰かに語れるような、偉そうな告白は無い
というか 語りたくも無いし
自分から 吐き出たものを 誰かに見られたり 吸われたりしたくねぇよ
といいつつも こうやって 書き記しているのは 旅の恥はかき捨て
なんて日本人根性の表れか どうせ 俺ってバレないでしょうって、安易な感情からきてるのか

ただ こうやって仮面をして 何かを吐き出せるのはありがたい

さようなら さようなら さような

わがサーカス団から脱退者が出てしまった
それも有能な空中ブランコ乗り
残念です 残念です
とにかく残念です。
お客さんも嘆き悲しんでおります。
空中ブランコを楽しみに来たお子様になんと詫びればよいのでしょう
なによりも 座長は 空中ブランコ乗りに恋をしてたのでしょう
いつまでも 乗り手のいなくなった空中ブランコを見つめていました

彼女は二度とブランコに乗る事はないでしょう
彼女の体は二度とブランコに乗れない体なのです。
彼女はそれを座長に告げることはできませんでした。
最後まで言えなかったのは、きっと彼女にとって座長は特別な存在だったのでしょう
彼女は女将に相談をしてました。女将は静かに話を聞いていました。

彼女が居なくなった日
嘆き悲しむ座長に 女将ははじめて彼女の体のことや苦悩のことを話しました
もちろん それは彼女がサーカス団から去るための虚言だったかもしれません。
それは彼女だけが知る真実

ただ ただ 座長は 楽しかったあの頃を思い出して泣きました。
泣いた 泣いた

翌日から、彼女のコンビの馬乗りは淡々と仕事をこなしました。
座長は 馬乗りの気が解りませんでした。
姉妹のように育ったブランコ乗りが居なくなったことに対して何も感じないのか それとも 内面で悲しんでいるのか 全く理解できません。

座長はサーカス団を閉じる決意をします。
このサーカス団は 空中ブランコ乗りで支えられていた
いや 全くそうでは無かった 興行的にはそうでは無かったのだが
座長の精神的支柱は空中ブランコ乗りの成長だったのでしょう。

ただ
きっとこの感情も消えてなくなることも座長は知っています。
団員が居なくなることは 初めてでは無いからです。
きっと新たな空中ブランコ乗りや 他の花形が入団して
座長は 居なくなった空中ブランコ乗りのことなど忘れてしまう
そんな日が来ることも知っているのです

サーカス団は 旅から旅へ
次の土地を求めて移動していきます。
その中で団員が変わっていくのは珍しいことでは無く よくある事なのです。

座長は サーカス団の座長には向いてないのですよ
お客様の笑顔を見て 子供の楽しい顔を見て 満足して
美味い酒を飲んで 次の街を目指す。
そんな生活が好きで たまたま サーカス団の座長になっただけ

いつか サーカス団を解散して
一人で いままで回った土地を回ってみたいなぁ
と思いながら 泣きながら
今日も 興行を続けるのです


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