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二見くんの日々 2


電車で友人の住む町へ向かう。
途中の町で雨が降って、水滴とともに電車は進む。
この路線は、きっと乗客たちに愛されているんだろうな。
窓の下のアルミ台にたくさんの文字や模様が刻まれているから。
家族や友人と一緒に笑い合いながら、ひとりで物思いにふけりながら、ここにその時の思いを残していったんだ。

ペンでグシグシ削られるのはちょっと痛そうだけど、この溝は、これを残した人やそっと撫でる人になにか暖かいものを注がれていて。
だからこの電車に乗るとこんなにのんびりした気持ちになるのかも、と思った。

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