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もっとファンタジーを! 第三章「May be」

目が覚めると薄暗い部屋にいた。
 なんだか全身が微妙に痛いしなんだかめまいの様な感じがしている。
 なんとか状態を起こす。

 だんだん周りが見えてくると、どうやら牢屋のような場所に居るらしかった。
 ん?なんで?
 多分雷に打たれたのだろうと思ったが…。
 生きているのはラッキーだとしてもここは病院には見えない。
 窓もなく檻の前にある廊下の向こうから微かに入る光のみがこの中を照らす。目覚めて既に暗闇に慣れてるということは運ばれてかなり時間が経っていそうだ。
 もう少し情報が欲しい。頑張れ俺の稈体細胞…‼
 荷物の中にスマホがあるはず!
 と思って探したものの、俺が持っていたはずの荷物はどこにもない。
 しばらく部屋の中を手探りで歩いてみたりしたが本当に何もないようだ。そして、構造は5m四方ほどの小さな正方形で、壁の材質は大理石の様な温度感と質感だが不明といった感じ。謎しか残らん。こういう時に多少の知識があると冷静に対処できて良い。
 
 またしばらく時間が過ぎた。体感にして2時間ほどだろうか?
 もはややることがなくあれこれ思考していると遠くの方から足音が聞こえてきた。
 二足歩行で硬い足音なので靴を履いた人間だろう。そう思ってこちらに近づいてくるのを待った。
 音が近づくと共に明かりも強くなっていった。
 そして、俺の牢の前に人が立つ。
 その人が持っている明かりで部屋の大体の状態と相手の顔が見える。
 そこには同い年くらいの金髪の女性が立っていた。
 顔立ち的には西洋人っぽく、容姿端麗だ。
 すると、向こうが喋り出した。
 「@#$%`+○▽=×?」
 知らない言葉だ。
 だが、文章の最後が上がり口調なので多分疑問文なのだろう。
 敵意はなさそうだし、こちらにも敵意はないことを示すためにとりあえず両手を軽く上げて「さあ?」伝わりませんよーと伝える。
 すると向こうは理解したようで、またなにかぼそぼそ言っている。考え事のようだ。
 そして、相手が手を差し出すポーズを取った。
 俺がなにもしていないでいると、執拗にそれを繰り返す。
 「あ、手出せってことか。」
 俺は牢屋から片手を出す。
 すると。
 「○@&%=+>#‼」
 次は相手が何か叫んだ。次の瞬間俺の体を青白い光が包んだ。
 「うおっ」驚き思わず声が出て咄嗟に後ずさるがその光は俺の体から離れない。
 数秒後、光が止んだ。
 「これで通じるかな?」
 ん?
 「おーい」
 ??
 女性の声だ。
 「失敗かな…」
 どうやら目の前の女性から発せられているようだが。というかそれしか考えられないが、先ほどまで知らない言語で話していた人がいきなり日本語を話している。というかさっきの光はなんだ?
 理解が追いつかな過ぎてやばい。
 俺がほぼ思考停止で思考している中、まだ向こうは「おーい」やら「本当に通じてないー?」など聞いてくる。
 少しして向こうが諦めて帰ろうとする。
 これを逃すとますます疑問しか残らない‼
 そう思って声を発した。
 「ちょっ‼通じてる!けど!」
 久しぶりに発したような変な声だったが、向こうがこちらに戻って来た。
 パッと笑顔で目の前に来た彼女。
 「やった!成功してる!」
 「ちょっと状況が理解できないんですけど、ここはどこ?」
 そういうと彼女は説明を始めた。
 ここはどこかの城の中にある牢らしい。どこか、というのは場所が聞き取れないからだ。さっき話しかけてきた時に言っていた謎の言語が会話の途中で混ざるので、そこが上手く伝わってこない。とりあえずどこかの国?の城?の中らしい。
 相手は名前をウェンティ・L・ディフェンディアと言うようだ。
 この名前からだいたいここが西洋だということは分かった。
 向こうに名前を聞かれたので「出花赤城だ。」というと、「変わった名前ね、」と言われた。
 そして、俺が牢屋に居る理由だが、俺は突然この城に現れたらしい。
 しかも、ちょうど国王が亡くなったタイミングで。
 城内が国王の死に暮れる中、突然王座の前に光と共に俺が出現したようだ。
 そして、記憶にないが初め俺には意識が合って少し話したらしい。すぐに気絶したみたいだが。
 しかし、その言葉は誰にも伝わらず、格好も意味不明なただの侵入者だったのでとりあえず牢に運ばれた、と。
 確かに俺の最後の記憶は下校中で今も制服だし、目の前の女性は古代ローマのような恰好をしている。
 とはいえなにも理解できていない。
 俺はもう一つ気になったことを聞く。
 「なんで急に俺の言葉がわかるようになったんだ?それにあの光は?」
 「ん?魔法よ?翻訳の。」
 「魔法?」
 「使えないの?」
 「使えるの?」
 「え、あなたどこから来たの?」
 「日本?」
 「ニホン?」 
 ダメだ、こちらの情報は何一つ理解されないし、魔法だと?
 「翻訳の魔法って?」
 「あー、普段は×@#$とか高等な生物とコミュニケーションをとるための呪文よ。君が知らないコトバを話すから試しに使ってみたの。その様子だとこっちの言葉はそっちの言葉に当てはまるように翻訳されてるみたいね。」 
 「ああ、さっきの高等生物の名前もわからなかった。」
 「×@#$のこと?」
 「うん、やっぱわからない。それにここの名前も。」
 「不思議ね、同じ人間のはずなのに。訳せないものはそのままなのね。」
 「うーん、マジでさっぱりわからない。混乱だよ。」
 「私の推測だと君はワープ系の魔法で飛ばされたんじゃない?なにか覚えてる?」
 「あー、下校中になんか雷に打たれた?みたいな感じだったと思うけど…。」
 「ゲコウ?はわからないけど、多分それがなにかしらの魔法ね。」
 すると向こうはまたなにか考え事を始めた。
 少しして
 「ちょっと良い?」
 「ん?」
 「また君に魔法使うね」
 「害がないなら構わないけど。」
 「多分大丈夫!じゃあ手出して」
 「多分て…。」
 渋々また牢屋から手を出すとまた向こうが俺に魔法?をかける。 
 「サーチ‼」
 今度のはわかった。
 再び俺の体を青白い光が包む。しかしさっきと違って俺の輪郭を照らしているようだ。眩しくはない。
 すると、突然。
 「わかった!多分!」
 と言ってどこかへ行ってしまった。
 唖然としたが、少しして。「謎だらけだぞー‼」「置いていくなー‼」と心の中で叫んだ。
 
 再び冷静になる時間が来たわけだが、どうやらここは地球ではないという線もありそうだ。
 いや、ないんだけどね?普通は?
 アニメとか好きだからと言って流石に「異世界転生だ‼」とはならんよ?
 でもさっきの魔法?を見たら流石に俺の知っている理ではなさそうなんだよな…。
 とりあえず、とんでもないことになったな。うん。

 また少しするとさっきのウェンティ?が他の人も連れて再びやって来た。
 「この人よ!」
 ウェンティが俺を指さし、周りの大人に向かってそう言った。
 「なにを馬鹿な。今はそれどころではないと言っただろう。」
 森の賢者みたいな超髭が長いおじいさん言った。
 「だから、ちょっと見てて!」
 そう言うとウェンティが牢に近づく。
 「ねえ、アカギ、あなたやっぱ魔法使えるよ!さっきわかったわ!」
 「は?」
 「しかも、あなた、国王の魔王を継承してるわ!」
 「は??」
 「やってみて!」
 「は???」
 するとさっきの森賢者が「そいつは魔法が使えるほど魔力がないぞ。」と言う。
 「きっとここに来るときに使い果たしたんだわ!」そうウェンティが言う。
 「また手出して!」
 「はいはい」
 「ギフト!」
 再びウェンティが魔法を使うと、俺の体がまた光る。
 光が落ち着くと、なんだか体がポカポカするような感じがした。
 そして、瞬間。俺は自分の体に起こったことを理解した。
 自分の体のことは自分が一番よくわかる、的なあれだろうか?
 自分の身に起きたこと、自分が出来るようになったことを瞬時に理解した。
 俺、魔法使える。
 とはいえ魔法、というよりかは漫画とかで見る“能力”の方が近いらしい。
 
 俺はすべて理解した。魔力が足りずに発動していなかったものが目覚めた。
 なので、手始めにサブ魔法で牢屋の中から檻の外へワープする。
 手をかざして檻の外へ行くイメージ。
 しかし、なにも起こらない。
 「あれ?俺今完全に出来ると思ってたんだけど…。」
 するとウェンティが何かに気付いたような表情で話す。
 「あ、その牢屋、魔力の影響を遮るの!ごめん、忘れてた!」
 そう言いながら彼女は俺を牢屋の外へ。
 そこで俺は改めて能力を使ってみることに。
 視線の先、廊下の突き当りを見据えて頭の中で能力の使用をイメージする。
 次の瞬間、俺はろうかの突き当りに瞬間移動した。

 完全に理解した俺が驚く人々に説明を始める。
 俺はこの世界とは別の世界から飛んできた。別の次元だか別の宇宙だかまではわからないが、とりあえずワープした。
 きっかけはこの国の国王の死。
 国王はワープ・移動系の魔法に長けていた。その国王が死んだとき、国王の持つ膨大な魔力が爆発的に放出された。本来はその魔力がこの星に還元されるところが国王の魔法の性質か次元に干渉し、別の星である地球に干渉した。その魔力が俺に雷のごとく落ち、俺をここへ飛ばした。ということのようだ。
 俺の持つ魔力は本来身に宿っている物ではなく国王由来のものなので、その能力も継承し、意思も感じ取れたらしい。
 そして元々魔力がない人間だったので、ウェンティの魔力を貰うまではそれが自覚できなかったらしい。
 そして、自分の能力も理解した。
 サブの魔法はさっきのような単純な移動で、視界の中なら移動可能だ。
 そして、メインの魔法は、「別の次元にワープする」という能力だ。
 次元に干渉できる魔法。そして、この様子。
 つまりここは地球ではない。
 そして、俺は帰れる希望が見えた!
 ウェンティは先ほどの「サーチ」でこのことをなんとなく理解したらしく、王室の人々をここに連れてきたのだ。
 一通り話し終えて周りの人たちを見たが、大混乱といった様子だった。
 無理もない。俺も驚きだが、別の星からやって来たのだ。意味不明だろう。
 見た感じこの星は見ての通りの古代ローマのような恰好で地球程文明が発達していないらしい。そもそも宇宙を理解しているかどうかといった感じだろう。
 
 その後はやや渋々といった感じで解放され、荷物も返されて、なんと食事を振る舞ってもらった。
 牢屋があったのは地下三階で、そりゃ窓もないわな。と言った感じだった。
 一階へ出ると今はお昼ぐらいの明るさだった。
 案内されるままに大きなテーブルのある部屋へ。
 見たことのないものばかりが並ぶ食卓。
 だが、基本的に地球の人間と同じように雑食性らしく、何やら肉、何やら野菜、何かのスープみたいな感じだった。
 見た目も匂いもよかったので食べてみるととても美味しく、味成分も地球のものとあまり変わらなそうだと思った。
 食事の初めはそれこそ理解が追いついていなそうだったが、地球の話をするととても興味深そうだった。そしてやはり宇宙のことは理解しておらず、ほとんどの人は信じなかった。どうやら空を飛べる人は多いのでこの星が球形であることは理解されていたようだが、宇宙に行くことはできないのでそれは理解されていなかった。
今度は向こうにこの星のことを教えてもらおう。
 俺の荷物の中身は当然意味不明だったようで、解説をあれこれとした。どこまで理解されたかわからないが。
 スマホは使えなかったが、機能を説明すると「魔法みたいだな!」と感心され、学校のことを話すと「教えるだけで楽な仕事だな」と言われた。ここでは親が教育するのが当たり前だそうだ。
 食事が終わると大人たちは国王葬儀の準備でどこかへ行った。忘れていたが、俺がここへ来たのは国王の死の直後。逆に食事まで用意してもらってなんか申し訳なかった。
 葬儀の準備の間はウェンティが街を案内するとのことで一緒に城を出た。

 街へ出ると国王の訃報が入って様々な感情が流れていた。
 「普段はもっと活気があるのよ、でも今は仕方ないわ」
 「ごめんね、わざわざ案内してもらって、ウェンティも悲しいだろうに。」
 「私は平気よ、街の人は知らないけど城内では闘病していた国王を見ていたもの。それに死はすべて悲しいわけじゃないのよ?」
 「どういうこと?」
 「死んでも星に還元されるから悲しいことは悲しいけど、みんな繋がっていつか戻ってくるから。」
 ある種の信仰があるのだろうか?
 「なるほど…。」
 「てか、アカギは元の世界に帰らなくていいの?」
 そういえば忘れていた。俺は地球のみんな視点だと雷に打たれてその直後いなくなったのだ。心配、というか不可解すぎてニュースになっている可能性すらある。
 家族やみんなに心配かけるのは良くないが…。今は目の前の世界にとても興味がある。
 どうせ戻っても誰もこのことは信じてもらえずに記憶障害とかで処理されるだろうからもう少しここを堪能したい。
 ていうか、ここの時間の流れと地球での時間の流れに違いはあるのか?
 体感では同じような感じがするが、そんなわけない。
 俺が地球から飛ばされたとき、地球は夕方だった。だが、俺がここに来たのは早朝らしい。
 時間の流れが同じなら今地球は真夜中のはずだ。
 考えあぐねたが、もう少しだけこの世界を見てから戻ることにした。そもそもちゃんと地球に帰れるのかもわからないし、ここに戻ってこれるかも確定ではないからだ。
 その旨をウェンティに伝え、もう少しこの世界のことを教えてもらう。
 
 街を散策しながら色々と話した。
 街の様子もなんだか想像通りといった感じで、まるでRPGの世界に迷い込んだような感じだった。
 そしてわかったことがいくつかある。
 まず、この世界の人は生まれる時すでに魔力を持っている。なんでも、そもそもこの星の生物はすべて星事態と繋がっているらしく、この星自体の魔力を持って生まれ、死ぬとその魔力が星に還元されるようなのだ。先ほど言っていたのは信仰とかではなく本当のことらしい。そして、生殖行動はあるものの、生まれる際には魔力を持っている。使える魔法の特異不得意は遺伝的で、ウェンティは風系の魔法を得意とするようだ。そして、特異なもの以外でも習得すれば色々と出来るらしい。想像通りの魔法使いだ。なので、ウェンティ曰く俺も練習すれば色々出来るかもしれないということだった。
 ただ何となく直感でわかる。俺に他の魔法は使えない。だからあえて“能力”と呼ぼうと思う。
 そして、驚いたことだが、この星の人間はだいぶ平和主義的と言うか、とてもいい意味で適当でのほほんとしているようだった。
 ウェンティに「この国の名前はなんというの?」と聞いたら「ん?名前?ここの?」と疑問に思っていた。詳しく聞くと、固定された国の名前はなく、「○○国王の統治する場所」的な意味の言葉が使われているようだった。単語は聞き取れなかったが。
 さらに言うと星自体の名前もなかったし、さっき同様に宇宙やこの星自体、そして星の内部のことなども理解が進んでいなかった。

 ウェンティは俺と同じくこのような話が好きらしい。話している半分以上は向こうからの質問だった気がする。
 俺があれこれ話したということもあるが、文化の違いに一番に食いつかれた。
 そもそもこの世界には機械的なものが無い。なので、車やらスマホには先ほど同様大変驚いていた。そして俺もウェンティも生き物への関心が高かったため、その話も盛り上がった。俺は向こうの単語はまるで聞き取れないが、向こうはこちらの単語を聞き取れている風だった。
 二人で考えた結果、地球では機械によって豊かさを実現しているが、この星ではそのポジションに魔法があるために別に発達する必要が無いのだろうという結論になった。これはなるほどなという感じだ。
 そして、そんな勉強熱心な彼女は王室賢者と呼ばれる役職の次期候補らしい。その証拠だという代々受け継がれてきた金色のネックレスを見せてくる。なんだか聖書の天使を完全再現したようなフォルムだ。そして、今の王室賢者は父がやっているそうで、もうすぐ継承するとのこと。「ウェンティ・L・ディフェンディア」の「ディフェンディア」は「守り」を意味しているらしい。この世界の人間はこのように名前の最後に自分の役職を付けるそうだ。なので「名前+苗字+役職」といった感じらしい。
 なんだかこの世界をもっと知りたくなった。
 もうすぐ夕方になる。地球では日が昇るころだろう。
 どうせなら明日の早朝にここを出よう。そうすれば夕方ごろに地球に戻るはずだ。
 その旨を話すと、それなら国王の葬儀に参列しないかと言われたので、快諾。

 国王の葬儀は盛大に行われた。
 城内にある何に使うかわからない体育館ぐらいある大きな部屋、その内外に人が溢れる。思ったよりもこの街の人口は多そうだ。
 最早お祭り騒ぎの状態。様々な感情が溢れている。国王の名前が何度も叫ばれていた。
 そして、この人々の様子を見ているとさっき聞いた魔力の還元の話は事実であって信仰ではないと思っていたのだが、どうやら事実が信仰されているといった感じなようであった。
 この世界での理をわかったうえでその事実は素晴らしいことだと認識している。
 特に国王は魔力量も膨大だと思われる。星への還元量は大きかったのだろう。
 その魔力が次のこの星のエネルギー、そして、そこから生み出された生物によってここの人間も生きながらえるという循環。
 人々は悲しみながらも感謝を、そして祝福を送っていた。
 
 翌朝、俺の地球に帰還する時間。
 昨夜は夜通し国王の葬儀のために街の中で悲しみ、喜びに溢れ、人々は歌い踊り、膝をついて泣いた。
 俺もそれを見ているうちに感情が揺さぶられ、ぐちゃぐちゃになり、最後はみんなで肩を組んで泣きながら踊った。
 王室の人たちもとてもよくしてくれて、いつのまにか寝てしまっていた俺を客室のベッドに寝かせてくれていた。
 なにかよくわからない朝食もいただいた。全くよくはわからないのだが、美味しかった。
 グミに似たとても味の薄い、微かに小麦粉のようね香りのものを食事の最後に食べるならわしがあるようで、それも面白かった。多分、歯磨きに当たるのだろう。
 そして俺はとうとう地球に戻る。
 自分の中の何かが確信的に地球とここの移動を可能にしているとわかってはいるものの、やはり不安は残る。
 ウェンティや他の王室の人も流石に次元に干渉したことは無いらしいので俺が万が一次元のはざまで迷子的な状態になっても助けられるか怪しいという。そんなことわざわざ言わなくても!と思うものの、正しいのでありがたいと思っておく。
 決心は出来た。
 俺はみんなに見守られる中、自分が出現したという王座の前の広間に行く。
 自分の能力は直感で理解できる。
 俺のメインの能力は次元間移動。
 その方法は、「能力を使用して右足で思いっきり地面を踏みしめる」というものだ。やったことは無いが直感的にわかる。
 まず俺は能力の使用を始める。
 俺の周りに空気の流れが生じ、俺の脚や体の周りにエネルギーの波が生じ、右足が結晶のように青く光る。見てみると中心の方は赤っぽく光っている。
 深部の足周りはルビーのように赤く、その周りは水のような水色の光が包み込む。とても綺麗だ。
 そしてこの状態になればもういつでも行ける。
 「みなさん、色々と本当にありがとうございました!」
 「アカギ、また来てくれるよね?」
 「もちろん!成功したらな!」
 そう言うと俺は右足を少し上げ、床を思いっきり踏みしめた。
 すると視界や感覚が地面を中心に回転する。
 グワン!
 そのような感覚が全身を襲う。
 感覚で言うと360度回転するアトラクションの強化版だ。
 頼む。地球へ‼


ぐんぐんどんどん成長していつか誰かに届く小説を書きたいです・・・! そのために頑張ります!