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【N/S高政治部】 前明石市長 泉房穂さんと考える『こども政策』を通じて

はじめまして! 
N/S高 政治部4期生 Eチームの小夜子と申します。

今回の記事は、政治部4期では最後となるテーマ別講義「こども政策」について、私が考えたことを書いています。
今回は、ゲストとして前明石市長 泉房穂さんをお招きし、ご講義いただきました。拙い文章ではありますが、最後まで読んでいただければ幸いです。

※講義動画はこちらからご視聴いただけます。

講義に向けて

昨年はこども家庭庁の発足や異次元の少子化対策の提言など、政治において社会的マイノリティとされやすい、「こども」にスポットが当てられた年だったと考えています。そのため、「明石市といえばこども政策」というイメージが定着するほど、様々な政策を実行されてきた泉さんから、ぜひお話を伺いたいとの思いが強くありました。

また、初めに記事やインタビュー等を拝見した際は、基盤となる考え方はロジカルで、発信する際の手段として情熱的に語っている印象を受けました。しかし、講義終了後はその見方が一転し、意見の述べ方についても新たな気づきを得ることができました。

思い込みと優先度

「お金がないは嘘。」
貧困化について報道するメディアに日々触れていくうちに、財源の使途や身近な生活との関連性など詳細を調べもせず、「日本は貧しい国だ」と思い込んでしまっていました。事実について調べる習慣を身につけていなかったことも問題ですが、自国が「貧しい」かもしれない状況に、指を咥えてただ見ている意識の低さを、私は改める必要があると感じました。

さて、現状に「心から満足している」と自信を持って答えられる人は、一体どのぐらいいるのでしょうか。おそらく多くの方が、多少なりとも悩みを抱えていると思います。だから、自分の理想とするものを実現させるために、意見を発信し、働きかけていくことが大切であると考えます。

ですが、この作業には膨大な時間と労力がかかります。そのため100%とまではいかなくとも、80%は満足しているから「別に良い」、特に不満もなければ要望もなく「普通」といった意見の人もいるかもしれません。それもまた1つの生き方だと思いますが、泉さんの講義を聞いて私は、一度きりの人生に全力を尽くし、後悔なく一生を終えたいと決めました。

幸せを求める権利、そして幸せになる権利は誰もが持っています。今一度、「諦めの精神」を捨て周囲の意見も気にせず、本心と向き合ってみることが必要だと感じました。

思い込みを捨て自分の理想が明確になったとき、ようやく手段について検討する必要性が生じると思います。ただ「満足度100%」を目指すといっても、現実的には様々な制約があります。
よって、最も実現させたいことは何なのかを具体的にし、それに向かって出来うる限りの施策を講じたかという捉え方が大切だと考えました。ここで、泉さんからお話いただき、非常に学びになった「4段階の優先度」についてご紹介します。

「4段階の優先度」
①Must(マスト)…しなければならないこと。
②Better(ベター)…した方が良いこと。
③May(メイ)…してもしなくても良いこと。
④Don’t(ドント)…してはいけないこと。

本来、政策は状況に応じて必要なものが実行されているべきです。
泉さんの素晴らしいところは、May(メイ)にあたる政策は全て「しない方針」をとったことだと思います。人間は変化を嫌う生き物であるため、今まで行われてきたことに対して無意識に執着し、変革しようとすれば少なからず反感が生まれます。反感を恐れた結果、「これまでやってきたことを維持しながら、新たな取り組みを行おうとするため、お金が足りなくなる」というのには、大いに納得ができました。

私も、より効率的にできる方法が分かっていたのにも関わらず、長年教えられてきた方法だからという理由だけで、濫りにマニュアル通りのアルバイトを続けていた事がありました。
しかし、物事を行うにあたって重要なのは、「なぜそれをする必要があるのか」という根本だと考えます。泉さんはそれをきちんと踏まえていたからこそ、反感を恐れずに改革を進められたのだと痛感しました。根本部分を明確にしておくことは、政策提言の際にも極めて重要なことだと思うので、私も意識して取り組んでいきたいです。

こどもはこども

「こどもは1人の人間であり、尊重される権利がある」ということは、頭では理解できているつもりでしたが、実感を伴っているかと聞かれると微妙な感じでした。それは、こどもが1人の人間として大切に扱われている事例を、よく知らなかったからかもしれません。

今回、ノルウェーの事例について紹介していただき、「こどもはこども」という考え方に、実感を伴った理解が追いついたように思います。ノルウェーの離婚時の原則の中で特に良いと感じたのは、こどもの「通う学校が変わらない」という点です。

日本の場合は主要先進国の中で唯一の単独親権のため、親の離婚が決定すると転校というパターンは珍しくありません。自らの意思と関係なく環境が変化することは、とても複雑な思いであると想像ができます。
一方で、両親の保護下で生活している以上、仕方がないことなのかもしれないと感じている自分もいました。ところが、他国ではそれを仕方がないことにせず、こどもの人生を尊重していると分かり、日本社会もそのように変化してほしいと考えました。

また、飲食店でアルバイトしていた女子高校生からの御礼の話も、胸を打たれるものがありました。彼女が中学3年生だった当時、明石市は独自に、高校へ進学するための給付型奨学金を創設しました。当初は30人定員で予算が組まれていましたが、実際は予想を大幅に超える220人から申請がきました。一度は削減を考えたものの、泉さんは全員を救う決断をし、その結果、彼女は高校に通うことができたのです。

所謂上手な文章を書けなくても、高校に行きたいという自分の思いを一生懸命伝えれば、政策に反映してもらうことができたという体験は、高校進学の手助けにとどまらず、今後の人生にまでも大きな影響を与えたことでしょう。

私の所属するEチームは、若者の政治参加について興味を持って活動しているのですが、彼女のような経験を多く積むことが、「政治的有効性感覚」(自分の意見や行動が、政治や政策に影響力を持っているという感覚)を向上させるには重要だと考えています。
そのためには、「こどもが意見を表明できる機会」を多く設けることが大切だと思いますが、もとより「こどもの意見を聞こうとする社会」になったのが最近です。徐々に取り組みが実施されているものの、まだまだ改善点があると思うのも正直なところです。

高校生との出来事を思い出し涙ぐまれる泉さんを見て、「真の政治家」の在るべき姿を垣間見たように感じました。泉さんのような心意気で、こどもと向き合ってくださる方が増えたら良いと思いますし、増えるような社会にしていかなくてはなりません。

最後に

泉さんは講義の中で、「大人を信じてはいけない」と強く発言されていました。そこで改めて、「信じる」ということはどういうことなのか、疑問に思いました。相手の言うことを鵜呑みにし、無条件で肯定する行為は、ただの盲信としかいえません。

私なりの1つの結論として、「相手にも、自分にも素直でいられる」状態が、「信じる」ということではないかと考えました。判断方法として、自分の目で見て、耳で聞いて、考えるということはシンプルかつ的確です。もしも、信用に値しない人間だったとしたら、それは必ず悪しき行動となって現れてしまうと思います。逆に、信用に値する人間なら自ずと良い行動をするため、素直にその人自身を知ることができるのではないでしょうか。

思い込みに囚われて本心を見失うのではなく、1人の人間として、追求し続けていくという意識。様々な切り口や考えがある中で、自分が心から望んでいることを理解し、何を信じると決めるのか。
この講義を通して、こども政策についてだけでなく、今後の人生の生き様についても学べる事が多くありました。

政治部に入部し、多様な価値観に触れることができる喜びとともに、自分の未熟さを痛感する日々を過ごしておりますが、こんなにも成長させてくれる環境と仲間に出会えて、本当に良かったという思いでいっぱいです。
3月の成果発表会まで残り僅かとなりましたが、1日1日を大切にすることを心がけ、笑顔で終われるように尽力したいと思います。

最後になりますが、ゲストとしてご登壇いただいた泉房穂さんをはじめとし、今回の講義に携わってくださったすべての皆様、そして記事を読んでくださった方に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!

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