宝塚歌劇団内のハラスメントの報道を受けて

※週刊誌の報道(課金部分は読んでいません)及び歌劇団の公式を読み、「演出家が団内でハラスメントを行ったこと」を事実として捉えています。

「清く正しく美しく」だなんてどの口が言えるんだろう。許せない気持ちを抱きつつも、こんな最低な存在から生み出された作品を愛してしまってたのだなという自責の念にも駆られ続けています。報道等から数日経ち、そのままTLに流すのは憚られるのでこちらに。(観劇の思い出を残しておくために使っていた場所だったので、本当はこの手の話題には相応しくないのかなと思いつつ、長文でタイムラインを占拠することは避けたくて。)

考えれば考えるほど地獄なので、言及するのもやめておこうかとここ数日思っていたけれど、このまま逃げると自分が宝塚から離れ、ましてや演出家と演者という関係性が存在する演劇の世界からも離れてしまいそうだったので。何に怒って、何に悲しくて、何が苦しいのか書いておく。来年以降も、それを許さない自分でいたいので。

この件は幾重もの地獄が交わり合ってると思ってて。まず単純に、ハラスメントを行った者への怒り。被害に遭われた方のことを思うととても辛く、居た堪れない。立場を利用した非道、許せません。徹底的な制裁を受けてほしい。もう二度と演劇には携わらないでほしい。次に、自分が好きで夢中になって心の支えにしてきたような世界でハラスメントが存在した無念さ。最後に、これまで自分が感動して最高だなと思って愛でてきた作品が、最低な演出家が携わったものだと認めなきゃいけない苦しさ。好きな生徒やOGが出演してきた作品だと尚更しんどくて、手放しに作品を楽しんでた自分を責めたくなる。

歌劇団が認めた時点で事実だとわかり、公式が見解を示した姿勢は評価したいけど、公式は報道を遺憾に思う前に、ハラスメントがあった事実を遺憾に思うべきなのでないのかな。被害にあった方が声を上げなければ、ハラスメントがあった事実さえ明るみにならなかったし、週刊誌が取り上げながったら劇団は退団の事実を公表すらしなかったかもしれない。週刊誌の記事には課金していないので全てを読んだわけではないけど、被害は演出助手の方だけではなかった様子。今回の件は、これは歌劇団内部に存在する膿の、氷山の一角だと知らしめられたような怖さもある。同じ演出家からの被害がもっと沢山あったかもしれない。それだけじゃなく、他の演出家、もっというと生徒同士だって。セクハラに限らず、パワハラだったら数え切れないくらい存在してるんじゃないか。今は、公式にあったとおり歌劇団が「ハラスメントを受けた方の心情に寄り添い真摯に対応」していることを信じるしかない。

歌劇団には生徒だけが属するわけではないけど、ここでは生徒を例にあげます。スター制度のある歌劇団なのだから、ちょっとしたタイミングの印象がひとつの評価となり、自分の進退が決まるような厳しい世界だと思ってる。内部の体質的に、その評価方法を今更変えることはできないとしたら、劇団が先日公式で見解を示したような「研修やアンケート調査の実施、相談窓口の設置」は効果があるのだろうか。声を上げることが自分のキャリアの足を引っ張るリスクがある中で、「先生にハラスメントをされました」と言えるのかな。それは演出家と演出助手の関係でも同様。

どの世界にもハラスメントなんてあってほしくないけど、夢を売るような仕事だと尚更、幾重にも地獄。どれだけの人の心を傷つけ、思い出に影を落としたのだろう。泥を塗らないでほしかった。傷つけないで欲しかった。被害にあった方の尊厳を。清い心で真摯に宝塚歌劇を担う方々のプライドを。その方々が作り上げる、「清く正しく美しく」の枕詞がぴったりの宝塚歌劇を。宝塚歌劇を愛する全ての人たちの夢を。煌びやかな憧れや思い出を壊されることほど、しんどいことはないよ。

厳しさと理不尽は全く別物だと思ってる。今年の春、さくらちゃんの大学院進学の記事を読んだ頃から考えてるけど、もう私は「人格を否定されるほどの理不尽な指導の元に成り立つ舞台」を美しいと思えないし、感動できない。衣装や舞台セットに携わる皆様、演出家、演出助手、そして生徒。上級生と下級生。舞台に関わる全ての人が互いに尊敬し、尊重し合える環境で生まれる作品に出会い、ずっと愛していきたいです。

今年は自分で控えていたこともあり、宝塚を観劇したりスカステを視聴する機会が、ファンになってから一番少なかったけど、退団後も宝塚を愛し、尊敬の気持ちを持ち続けている大好きな贔屓のおかげで、もう一度宝塚に向き合いたいと思い始めたところでした。『蒼穹の昴』を先日観劇し、配信で大千秋楽と最高のトップ娘役のサヨナラショーを涙ながらに見守り、宝塚に対する気持ちが更に高まり、そんな矢先に報じられた不祥事。宝塚歌劇団の内部の環境が、来年はより良くなることを願っています。おわり。

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