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「ミュージカル俳優」と「アーティスト」の境目 井上芳雄のA面/B面(井上芳雄byMYSELF×Greenville Concert 2024 感想)

 「それってもう“人生”ってことじゃん!」って2日目の途中から感極まって泣いたりしてた。「ミュージカル俳優」の芳雄さんを圧倒的なヒーローのように思ってしまう私だけど(ダークヒーローも含めて)、『Greenville』の楽曲を歌う「アーティスト」の剥き出しな芳雄さんは心の機微が露わになっていて、中学2年生の面影が残ってるのかなと感じたりした。
 芳雄さんの、ミュージカルでのセリフと歌の境目が曖昧になる瞬間とか、どちらかなんて決めなくても空間が成り立つその表現力と求心力がとても好きなんだけど、そういう表現のグラデーションに惚れるのと同じように、「ミュージカル俳優」と「アーティスト」の立場を自由に行き来する、ボーダーレスなコンサートだった。いや、A面/B面の二つで語れるものではないほど、魅力の引き出しを無限に持ってるからかな。
 とはいえ、「ミュージカル俳優」と「歌手」(しかも「人生の10の困難をテーマにオリジナルアルバムを作った歌手)が見せてくれる景色って、両者で全然違うんだ。その違いまでもが演出、つまり“エンタメ”だと思うか、その違いまで含めてその人自身なのだから“人生”だと思うかは受け取る者次第。昨年のムーランルージュの終盤、芳雄さんって“生きるエンタメ”だなと認識し始めたけど、ラグタイムやベートーヴェンを経てからは、役を通して“人生”を見てるんじゃないか?なんて錯覚したけど(そういうテーマの作品だったことも影響しているとは思う)、今回は私は後者だった。
 何を語り始めたんだろうって感じだけど、もう少し言語化するね。2023年1月の博多座エリザから幕を開け、芳雄さんもファンの方々も走り続けた怒涛のミュージカルイヤーに間に合えたので、私も5作品観劇できたことはとても光栄に思っていて、その集大成のようなコンサートだったな。20年以上追っている先輩ファンの方々と見える景色が同じはずはないけど、私にとってもプチ走馬灯のようなコンサートでした!

 コンサートの様子については公式で詳細なレポートがアップされたのでそちらに譲るとして…(ここでお戻りいただいても大丈夫です!この詳細レポートに誘導できたことで果たせた役割があると思うので…)

 そうは言ってもやっぱり本編が見たいよ〜って方はなんと8月にWOWOWでの放送が決まってるのでそちらを待っていただくとして…(本当に嬉しい!!!)

 余韻に浸りまくってるこの2日間のコンサートについて、「ド新規ファンの私でもめっちゃくちゃ楽しんでしまったよ〜最ッッ高でした!」という点に重きを置いた感想文を続けますが、それでもよろしければお付き合いください。


1.充実のセットリスト

 上記の公式レポートにも載っているけど、ゲストコーナーの曲目も含めたものをここにも記載。初日終了後、長蛇のグッズ列に並びながらセトリを壁打ちし、フォロワー様にも1曲教えていただいてふせったーの中で完成させたもの。Greenvilleの各曲のテーマとも並べて、交互に歌われたミュージカルの楽曲とセットとなる位置付けから生まれる対象的な関係性や、親和性を噛み締めた。

【前半】
芳雄さんは“これが芳雄Greenだ!”な衣装で登場
①Prelude (Greenville)
②よろしく絶望(ベートーヴェン)
③私を燃やす愛(エリザベート)
④天使も悪魔も(Greenville)
⑤El Tango De Roxanne(ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル)
⑥タイムテーブル(Greenville)
⑦Lost In The Night(Greenville)
⑧Chandelier(ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル)

【ゲストコーナー(4/23)】
浦井健治×井上芳雄 Luck Be a Lady (ガイズアンドドールズ)
マリ・ブラウン(田代万里生)×井上芳雄 初めて知る想い(ガイズアンドドールズ)
プリンスメドレー 
・僕はママの鏡だから(エリザベート)
・すべてはあなたに(マリーアントワネット)
・本当の愛(シンデレラストーリー)
・明日への階段(ルドルフ・ザ・ラストキス)
プリンセス・ハート
 歌唱:田代万里生、浦井健治、大貫祐一郎
 1フレーズずつツッコミ&最後だけ歌唱:井上芳雄

【ゲストコーナー(4/24)】 
石丸幹二×井上芳雄 田園(玉置浩二)
明日海りお×井上芳雄 初めて知る想い(ガイズアンドドールズ)
エリザベートメドレー
・愛と私の輪舞(石丸トート×芳雄トート)
・闇が広がる(石丸トート×芳雄ルドルフ)
・私が踊る時(明日海シシィ×石丸トート)
・私だけにRep.(鏡の間)(明日海×石丸トート×芳雄フランツ)

【ゲスト&芳雄さん退場】
本人不在のまま、Greenvilleのアルバムについてのインタビュー音源が流れる。

【後半】
衣装チェンジ 、ベージュの柄物のセットアップで登場。色んな衣装を拝めて嬉しい〜!
⑨無題の詩(Greenville)
⑩ジプシー(ジェーン・エア)
⑪Diary(Greenville)
⑫ライフ(Greenville)
⑬運命はこの手で(ベートーヴェン)
⑭Make Them Hear You(ラグタイム)
⑮記憶の庭(Greenville)
⑯The Only (Greenville)
⑰シャイニングスター(リトルプリンス)
⑱あなたに贈る海風(Greenville)

【アンコール】
衣装チェンジ。4/23はグッズの白Tシャツ(廣瀬さんデザイン)、4/24はグッズの黒Tシャツ。
⑲雨が止んだら
⑳ぼくは人工衛星

「これが芳雄Greenだ!」
今思うと“芳雄グリーン”って“Green”villeにもかかってたのかな。

2.井上芳雄のA面/B面 ー Greenvilleのテーマと共に

 立場に囚われない見せ方から生み出されるものはその人自身の「人生」だし、もっと言うと「光と影」。
 ミュージカルの楽曲を歌う上で、当時の思い出や役の面影といった見えないヴェールに包まれて。Greenvilleの楽曲を歌う上で、役を通さず、自身の経験から引き出された「10の困難」をありのままに。歌を聴きに来た現場だけど、そのどちらの光景も美しくて、ペンライトの海(芝生)の光も相まって目が眩んだ。
 コトリンゴさんと大貫さん、グリーンバンドの皆さん、KENNYさんの映像(歌う自分のバックに映像を入れたいというのは芳雄さんの希望だったとのこと)、自分の観劇歴でも何度も作品を拝見している小林香さんの演出、全てがベストヒットで、もう胸が一杯。

【生を受ける】 Prelude(Greenville)

 「出演者」として錚々たる方々が名を連ねていた日比谷のミューや、他の方のコンサートのゲスト出演時とは当たり前に違う、芳雄さんの名前がついたコンサートに参加するのは初めてだったけど、Greenvilleのアルバム1曲目のこの曲と合わせて神秘的な雰囲気で始まるコンサート。歌い出す前に手を振ってくれる芳雄さんにペンラを振ることで応える客席、という構図が出来上がったのが印象的だったな。初心者なのでわからないけど、「バイマイコンといえば」な恒例の始まり方とは違ったのかな。確かに2021年の裏切らない芳雄の時とは全然違う。歌唱後、「どんなテンションで始まったらいいのかわからないですよね〜(笑)」と語りかける芳雄さんがいつもの芳雄さんで安心したなぁ。

【試される】 よろしく絶望(ベートーヴェン) 〜私を燃やす愛(エリザベート)〜天使も悪魔も(Greenville)

 M2からM5までの4曲はMCを挟まず一気に。
 Greenvilleのアルバム1曲目の『Prelude』がM1になるのは自然な流れとして、M2に早速『よろしく絶望』を持ってくるこのセトリの強さよ。初日にこの曲名をMCで聞いた時は、比喩でなく思わず変な声出た(隣の人ごめんなさい。でもGreenville自体のテーマを考えると納得の選曲だな、と唸る。陰を拭いきれない、そういうセンスがとても好きだ。ベートーヴェンの楽曲として『愛こそ残酷〜Love is Cruel〜』はメディア出演時に何度か歌ってくれてはいたけど、他の曲も披露された嬉しさと、「冒頭にこのタイトルの曲持ってくるか…?」という意外性にやられた。ルートヴィヒは、絶望に対しても「やぁ、また来たのか」というスタンスで迎え入れてくれるところが強いんだと彼の精神的な強さを語っていたことと、ミュージカル本編と同じく「絶望よ、またお前か」「やぁ、絶望よ」の歌詞がセリフ混じりになり、「絶望」を実体化して迎え入れるような素振りの再現に、あの公演期間の昂りが蘇って全身の血が湧いた。そっか、「ミュージカルの楽曲を歌うこと」=「当時芳雄さんを通して出会えた役への再会」なんだ。とんでもないコンサートだよ…。
 「天使の歌は喜び 悪魔の歌は苦しみ」というフレーズから始まるエリザベートの『私を燃やす愛』は、次の曲に向けて「天使」も「悪魔」もキーワードまでもリンクしてるのよね。『天使も悪魔も』のR&B調に合わせるようなアレンジがめっちゃくちゃかっこよかった。トートモードになると怪しげに、そしてとても楽しそうな表情を浮かべる芳雄さんが好きだ。ラストフレーズの「皇后への愛だ」の前でGreenバンドの演奏がピタッと止まってこのフレーズのみ急にアカペラになるので、次に何がくるのかとゾワっとし、その後すぐ『天使も悪魔も』の前奏が流れ始めるオシャレなアレンジに鳥肌たった。
 『天使も悪魔も』はGreenvilleのリリース前の先行配信やうたコンでも披露されたりと、芳雄さんもこの曲を引っ提げてメディア出演されていた印象が強い一曲。「天使」と「悪魔」、両極端な強い言葉に思わず身構えてしまう。でも、僕と、君と、僕らの中に、天使も悪魔も生息していることを否定せず、折り合いつけてうまくやっていこう。そんな楽曲を「試される」というキーワードで作るセンスが見事だし、R&B調の楽曲に身を任せ、全身でリズムを取る芳雄さんが好きだなぁとなった。膝に重心を置く芳雄さんのリズムの刻み方、かっこよさと愛おしさが詰まってる。

【使われる】 El Tango De Roxanne(ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル)〜タイムテーブル(Greenville)

 『よろしく絶望』を歌う前の芳雄さんが、MCではM5の曲名を明かさずに、「『天使も悪魔も』…、それともう1曲」と、曲名を明かさず言葉を添えただけだったのが本当にずるいなぁ。イントロで衝撃を与えブチ上がらせる作戦にまんまとやられた。何の前置きもなく、あのバイオリンの前奏が聞こえてくる『El Tango De Roxanne』の威力。その状況から察するしかない、もうそこに芳雄クリスチャンが降臨してるってこと。不意打ちでクリスチャンの狂気と嫉妬に触れたあの時の高揚感、忘れたくないな…。原曲でも日本語でも、「ロクサーヌ」と呼ぶ時の「ロ」で綺麗に拍にハマらずに前小節にはみ出すこのリズムが本当に癖になるんだけど、サティーンを追いかけてるようでサティーンに翻弄されているという事実や、焦点が定まらず足取りだっておぼつかないその危うさが、曲調にも反映されているようで大変にくすぐられる。あと照明!めっちゃくちゃかっこよかった。先月まで上演されていたメディア/イアソンでも使われていた、芳雄さんの姿を影絵のように真っ黒に塗り尽くし、赤い照明の中でシルエットだけを炙り出す演出。考えた人天才か…?全てを見せないからこその危うさ、焦燥感、息苦しさからの色気。ロクサーヌも、後述するM8の『Chandelier』も、この大きな会場で披露するのに相応しく、歌い上げが高らかであればあるほど、秀でた空間把握力が証明されるような曲だった。私は特別にムーラン・ルージュが好きなので自称ムーラン・ルージュ狂だけど、本当に嬉しかったな。あの昂りは忘れたくない。
 【使われる】というテーマで『タイムテーブル』とリンクするロクサーヌだから、本当はこの2曲を続けて歌いたかったけど、流石に大変なのでロクサーヌ歌唱後にMCを入れたとのこと。あの芳雄さんでも大変なことあるんだ…?ってちょっと人間らしさを感じてくすぐられてしまうよ。その後の『タイムテーブル』は雰囲気を一新、本当に【使われる】というテーマなの?と疑いたくなるほどポップだけど、「〜られる」と被虐的に捉えるのではなく、「時間を使われること(相手のために時間を使うこと)」を前向きに捉えてる曲で、キーワードひとつとっても思わぬ解釈があるんだなと、芳雄さんの歌唱だけてなく、音楽を生み出すコトリンゴさんならではの感性に触れることができたなぁ。

【晒される】Lost In The Night(Greenville)〜Chandelier(ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル)

 アルバムを聴いた時とだいぶ印象が違う、というかこの“生”だからの浸透力をみずみずしく感じるGreenvilleの数々の楽曲だけど、その中でも際立ってたのがこの曲と後半の『The Only』。
 『Lost In The Night』、軽快なメロディに合わせて心躍る気持ちでアルバムを聴いていたけど(あと全編英語歌詞だから意味を考えるというよりメロディを楽しむ方に傾倒していた)、コンサートでは更に疾走感に満ち、でも芳雄さんの発する言葉の一つ一つが粒立つので、流れていくことなく刻まれていくようで、さらされながらも軌跡を残す、確固たる証明のようだった。
 「夜の街を駆けながらトランス状態に陥るかのようだ」ということで、アブサンを飲んでわけがわからない状態になってしまう『Chandelier』をそこに重ねての選曲。ジドラーのさとしさんも松村さんもこの曲をすごく気持ちよさそうに歌っていたなぁとのことだけど、Chandelierを歌う芳雄さんの陶酔感ものすごかったな。歌唱力と空間支配力、そういう歌い手自身の力だけでなく、楽曲自体の力との相乗効果で、高揚感も背徳感もメーターが振り切れそうだった。しかし、この2曲にあてる言葉が「トランス状態」なの、嫉妬しそうになるほど上手い表現だなと唸る。

【抉られる】無題の詩(Greenville)〜ジプシー(ジェーン・エア)

 蓬莱竜太さんによると、この曲は舞台に立つ普段の芳雄さんをイメージして詩を書いたとのことで「俺、抉られてるのか?」って突っ込んでいたけど、自分が演じる役(ロチェスター)が別の役(老婆)を演じる、という二重の演技の上で成り立ってた曲を繋げてみた、とのこと。

 だからって、ここで『ジプシー』を選ぶ芳雄さんのセンスにもう完敗です。好きしかない。

【追い越される】Diary(Greenville)

 「胸内(きょうない)には愛なり」、とか言葉遊びのようなフレーズが続くのが本当に面白くて、そういう楽しみ方は言葉をまっすぐ明確に届ける芳雄さんだから私達の耳に届くまでに守られるし、相乗効果にもなるんだろうな。ポップで身近に感じる曲だからこそ、ほぐれた心が癒されて更に溶けていくのがたまらなかった。

【拒否される】ライフ(Greenville) 〜運命はこの手で(ベートーヴェン)

 「雨も涙も蹴散らしてやる タタン!」って改めて素晴らしい歌詞。ミュージカル調の楽曲だということで、アルバムを拝聴するだけで留まらずに直接聴けたことが一番嬉しかった曲かも。コトリンゴさん提供のこの楽曲、物語が進むようにメロディも展開も変わっていくのが本当に面白い。「誰か抱きしめて、なんて言ってさ、ハ、ハハハ、ハハハハ 、どうってことないさ」。喜怒哀楽を歌いながらもハハハと笑って何もかもに対して明るく立ち向かっていくような歌唱は、本当に元気が出る。「人生の10の困難」をテーマにしたGreenvilleは、困難を歌うというよりも、困難に出くわした後どうするかという出口の方に焦点が置かれている印象だけど、『ライフ』はまさにその代表のように感じるよ。

 ベートーヴェンの『運命はこの手で』、念願でした。 MCで曲名聞いた瞬間から涙腺おかしかった…(また隣の席の人ごめんなさい)。本編ではこの曲が、ルートヴィヒの心情の変化におけるキーポイントになるけど、唇に触れてトニを感じて、手を添えた胸の内(心臓)で生きる力を感じて、そういう一つ一つの仕草まで芳雄さんの血肉になってるんだなぁと懐かしくなってしまった。サビに向けて顔つきが変わってくる芳雄ルートヴィヒの強さ。胸に添えていた手を強く握りしめて、まさに歌詞のとおり「打ちのめされても立ち向かい掴み取ろう 運命をこの手で」を体現するんだ。少し話は逸れるけど、私がベートーヴェンのミュージカルの中で受け取ったテーマが、愛や恋だけでなく、自分の限界超えて進むための自己肯定力だったので、眩しいほどにそれを体現する芳雄ルートヴィヒとの再会ほど嬉しいものはないんだ。

【奪われる】Make Them Hear You(ラグタイム) 〜記憶の庭(Greenville)

 「たとえ大切な命が奪われようとやらなければならない事がある。次の世代に伝えていかなくてはならない」という説明が添えられて披露された『Make Them Hear You』は、一瞬にしてあの投降前のモルガンライブラリーに時間を引き戻してくれるし、当時よりもより“語りかける”コールハウスが印象的だった。 あんなに「さぁ、ゆこう」と呼びかけるようなことは本編ではなかったと思うし(私は東京公演までしか観られなかったので、大阪や愛知だとまた違ったコールハウスに出会えたのかもしれないけど)、「正義求める声 何千何百万も」は、暴力ではねじ伏せることができない叫びのようだった。

 バイマイに因んだ話をすると、ラグタイムでリトルコールハウスを演じた船橋碧士くんのお父さんが、芳雄さんやミュージカル界の多くの方がお世話になったものの亡くなってしまった船橋研二さんの息子さんだという、まさに次の世代へ受け継ぐ作品であるラグタイムとリンクするね、というトークが披露された回の芳雄さんの歌唱曲が『記憶の庭』だったので、ラグタイムと被せて聴いてしまうことが多かったのだけど、まさかセットで披露されるとは、衝撃と感動とでどうにかなりそうだったし、先ほどまでセンターで歌っていた芳雄さんが、上手側のコトリンゴさんのピアノに寄り添ってスツールに座りながら歌うその光景、そして語りかけるような優しい声、涙を禁じ得なかった。

【比べられる】The Only (Greenville) 〜シャイニングスター(リトルプリンス)

 Greenvilleの楽曲の中でも、構成がシンプルな『The Only』は、言葉も音楽もダイレクトに届くので、その状況の贅沢さを身をもって感じた。浴びるというか、包まれるというか。大きな会場でそれを味わえることの醍醐味。
 『シャイニングスター』の伴奏はピアノのみ、コトリンゴさんと大貫さんの連弾。コトリンゴさんが先行して弾くはずが、1日目は大貫さん提案によるじゃんけんで先後を決定(予定通りコトリンゴさんが先)、2日目はあっち向いてホイでコトリンゴさんが勝ってまさかの大貫さんが先行。リハなし一発勝負に挑むその度が胸すごいし、大貫さんはスカイマスターソン顔負けのギャンブラーだな…「やる気、元気、大貫!」を生で聞けたことも嬉しかった(笑)
 誰しも唯一無二の存在であるということの肯定として選曲された『シャイニングスター』。リトルプリンスには間に合わなかった私だけど、芳雄のミューや日比谷のミューのおかげで履修できていた曲なので、歌唱と演出、そして流れ星のような連弾に集中しながら結構入り込んでしまった。

【召される】あなたに贈る海風(Greenville)

 このテーマに関しては、具体的に思い描いている内容があるという芳雄さん。最近大切な人を亡くされた事をお話しながらも、その方がもう地上には居ないから今回のバイマイGreenvilleコンサートには来れなくても、「来ようとしていた」という過程が大事なんだという話はとても響いた。芳雄さんを追った2023年の1年間の出演ミュージカル5作品は全て誰かが亡くなる話で、それは芳雄さんが演じる役自身である作品もあったりして、死を考えることとは切り離せない1年だった。そういう意味でも、Greenvilleとミュージカルは、各楽曲ごとだけでなく全体としても通じる部分が多くあるのかもしれないな。
 清塚信也さん作曲のこの曲、芳雄さんの真骨頂の美声を極限まで堪能できる曲だと思ってて、Greenvilleのラスト、そしてこのコンサートのラストを飾るに相応しい曲。人はみんな、生を受けて天に召される。その自然の摂理に立ち帰りたくなる。

ゲストコーナー後に流れた芳雄さんのインタビュー音源で、「もう一度Greenvilleを訪れるとしたら?」の問いに、「本当にあった場所なのかな。今行ったら泣いちゃうかもしれない」と呟いてたのが印象的。ずっと閉じたままでいても良かっただろう記憶の扉を開けてでも、ぶち当たった当時の困難を逆手に10の楽曲を作り出してくれた、天使のような悪魔のような、集められた才能の結晶に感謝したい。

【アンコール】 雨が止んだら 〜ぼくは人工衛星

 どちらの曲も、2023年のミュージカルイヤーに発表された曲だというのも感慨深くて、Greenvilleや5作のミュージカルを含めて、このコンサートが2023年の芳雄さんの活動の総括という位置付けにも感じたな。
「桜井さんと亀田さんにちゃんと許可取ってます!」って宣言していた『雨が止んだら』は、魂が浄化されるようなメロディの清らかな印象と、芳雄さんの歌唱の力強さとの両方をくれる。
そして、昨年の「みんなのうた」にも起用された。完全なる持ち歌『ぼくは人工衛星』で締めるこのコンサート。持ち歌があることの強さを感じたし、今の芳雄さんの立場で「SNSで拡散して!」っていうことが滑稽にも感じてすごく不思議だった。
1日目の締めが「本当にすごい撮ってるね!笑」
2日目の締めが「ちゃんと撮れた?笑」
そんな終わり方あるかよ!?!(大好き)

1日目はバルコニー2Fから。傾斜があるからさすがに見やすかった!
モニターの芳雄さんと実物の芳雄さんのどちらを観るか格闘していた。だってプロの技でカメラで抜かれる芳雄さんも本当に素敵だったので…。
2日目はアリーナCブロック。上手モニターの真下から!
舞台の上の芳雄さんを撮ることは諦めました笑
でも1日目よりずっと近かったので、コンサート中はモニターよりも実物の芳雄さんをずっと観ていたなぁ。

3.ドキッ!公演時間との闘い 個性炸裂ゲストコーナー 〜サラ総選挙の行方は〜

Greenvilleとミュージカル曲の反復横跳びの中、突如として始まったこのコーナーは、芳雄さんめっちゃ愛されてるじゃん…っていう事実を盛大に実感する時間でした。
あと、ゲストとのデュエットだけでなく、ゲスト同士のデュエット(プリンセスハート含む)があったのもよかった!特に初対面の石丸さんとみりおさんによる『私が踊る時』はやばいって。

【4/23】「私の心が開演です!」バイマイコンの洗礼(ゲスト:浦井健治、田代万里生)

あまりにもヒートアップしすぎて若干記憶ないので早くWOWOW放送で答え合わせしたいよ〜!待ち遠しい!
東京公演が半分くらい中止になってしまった2022年のガイズアンドドールズ繋がり(だけではなく普段の親交のおかげだとも思うけど)でいらっしゃった、安心と信頼の浦井さんと万里生さんのおかげで本当に忘れられない時間になった。言い換えると、これがバイマイコンか…という洗礼を浴びて、私も芳雄さんのファンとしてレベルアップできた気がする(爆)

 コンサートグッズのステッカーを全種類ご自分の衣装のジャケットに貼り、胸ポケットには芳雄さんのアクスタまで忍ばせてきた、愛に溢れた浦井さんとの 『Luck Be a Lady (ガイズアンドドールズ) 』は、ギャンブラーとして一世一代の大勝負に臨む下水道でのクラップゲームが懐かしくなったし、余裕と焦燥感の合間で生きる、勝負を仕掛けるスカイマスターソンに再会できた嬉しさよ。浦井さんとのこの曲のデュエットは、博多座エリザ期間中のバイマイで秋山さんセレクトのミュージカルソング特集で聴いて以来かな。前奏かかった瞬間から全身の血が沸き立つほど大好きな曲なんです。
芳雄さん「何に見える?」
浦井さん「芝生!」
芳雄グリーンなペンライトを掲げる私達は芝生になりました。(または、翌日の『田園』のに備えて田植えの様子だったかもしれない)

そして、マリ・ブラウン(田代万里生さん)と芳雄さんで『初めて知る想い(ガイズアンドドールズ) 』のデュエット。と、同時に、「サラ総選挙」開幕 。
もう全ては田代万里生さんのブログを読んでくれ。そして、この曇りなき笑顔を見てくれ。最高だよ…

 2日目の本物のサラとのデュエット後、マリ・ブラウンとのデュエットで「だんだん不機嫌になっていった」と語っていたけど、そうは言っても万里生さんに対しても相手役を見つめる眼差しを向けていた芳雄さんを見逃してないので…相手役が誰であれ、プリンス力を惜しみなく使う芳雄さんへのときめき半端ないので…
万里生さんの凄いところは、ゲストという立場でありながら徹底した仕込みをしてくるところ。サラ総選挙参加にあたって衣装も新調して(というか、前回のバイマイコンでも新しい衣装で望んでる万里生さん)、後ろの腰のあたりに小さく輝きながら「PRINCESS HEART」と並んでるチャームを紹介するシーンで、カメラに抜かれる時に裏返っちゃってるチャームをちゃんとひとつずつひっくり返してあげてる芳雄さんにもきゅんです。万里生さんから特大矢印が出てるだけじゃなくて、それをちゃんと受け止めてるこの関係性の尊さを浴びた。これが“よしまり”…
本当は「愛してる」とか「なんて素晴らしい芳雄のいる世界」とか、ムーランルージュの曲を歌いたかったけど、日本語訳は本役しか歌っちゃいけない?とのこと。(真偽は不明) マリ・ブラウンだけでなく万里生サティーンに出会える日が来ると信じてる!

 ゲストの2人が恋人同士を演じてるカムフロムアウェイ(ここで自らが演じるケビンJを「卑猥な秘書」って表現しちゃう裏切らない万里生の勢い止まらず)だけど、
芳雄さん「2人は初共演だよね?」
2人「ガイズアンドドールズ!!」
(ステージの端っこに逃げる芳雄さん)
っていうまさかのくだりも発生したり。さっきまでデュエットしてたのに浦井ネイサンと田代ナイスリー(マリ・ブラウン)が当時揃ってたことを忘れちゃう芳雄さんも、人間なんだなとまた安心した。

 プリンスメドレーで印象的だったのが『明日への階段(ルドルフ・ザ・ラストキス』。前回のバイマイコン裏切らない芳雄のBlu-rayで聴いたこの今日を浴びられたことが嬉しくてわ。作品は違うけど皆ルドルフ経験者だし、誰にも止められないこの勢いをこの明るい歌詞に乗せてエネルギーに変えてくれることこそ、ミュージカル俳優たる皆さんの役目だし、その煌めきに惹かれてるからこそ私は劇場に行くんだよ、と気持ちを新たにさせられたなぁ。今回のセトリの中で唯一知らなかった曲が、シンデレラストーリーの『本当の愛』。ド新規の私がその一曲を知らないだけで乗り切れたという奇跡のようなセトリによって、今回のコンサートの内容が2023年の活躍に凝縮したものだったんだと改めて気付かされた。

 そして『プリンセス・ハート』 !!初めて聴けた!!やったー!!
『プリンセス・ハート』を知った側の人間になれた事がめっちゃくちゃ嬉しかった。そしてメロディも歌詞も本当に沁みる名曲。「私の心が開演です」は天才です、万里生さん。

 もう時間ないよ、って言われてるのにプリンセス・ハートを歌うことを絶対に諦めない万里生さんの足掻きは、まだ家に帰りたくない放課後の小学生感よりも激しかったし、「もう時間ないから歌おう!」って折れた芳雄さんまで仕込みだったんだなと後で(万里生さんのブログで)わかったの面白すぎた。最後の「プリンセス・ハート!」を一緒に歌ってたしね!「行列のできる〜」のサビでスレイベル取り出した万里生さんに対抗して(?)、楽器代わりに貯金箱(他の現場で「井上芳雄」の名前を出したら500円ずつ罰金)を取り出してシャカシャカ鳴らす浦井さんもラブすぎた。よしけんまりの平和な並び、永遠に続け〜!

【4/24】人の心を掴む天才達の共演 歴代トート役者による三角関係の“鏡の間”(ゲスト:石丸幹二、明日海りお)

 石丸さんとのデュエットは、玉置浩二さんの『田園』。ミュージカル界で活躍する同窓生として、「背中を追う者」「追われる者」が(結局本編中で絡みはなかったけど)共演を果たしたというのに、ミュージカルの曲ではなくこの選曲なのが新鮮。でも、前回のバイマイコンの中止によって叶わなかった石丸さんのゲスト出演のセトリをそのまま再現するという、エンタメに対してなんて誠実で粋な計らいなのだろうと胸が熱くなったなぁ。このコンサートでGreenvilleの楽曲と2023年のミュージカルの楽曲を真正面から受け止めてる最中だったこともあり、「生きているんだ それでいいんだ」の歌詞が沁みるんだ。割と全身でリズムを取る芳雄さんと、動きは抑え目の石丸さん(でもここぞという時に動くそのキメがかっこいい)、その対比も面白くて、石丸さんの横で嬉しそうな芳雄さんにとってもほっこりした。

芳雄さん「何に見える?」
みりおさん「ティンカーベル!」
芳雄グリーンなペンライトを掲げる私達は、 みりおさんのおかげで芝生からまさかのティンカーベルへ転生しました。
みりおさんのヴォイス・イン・ブルーに芳雄さんがゲスト終演した回の、
みりおさん「(ラグタイム休演日に登場した芳雄さんに対して)本物ですか?」
デュエット終わりの芳雄さん「本物だった?」
この、声を聞かせることで本物だよと解らせるやり取りが刺さりすぎて擦り続けてるんだけど、今回も
「今年初めての本物の芳雄さんだ!」
って喜ぶみりおさんが可愛すぎて、もうね、あなたがティンカーベルだよという気持ち。
でも当時のゲスト出演を「ムーランルージュの時だったかな…?」って記憶があやふやになっちゃってる芳雄さんに「ラグタイムです!!」って突っ込むみりおさん、という構図が新鮮で、89期のみんなのお兄ちゃんに弄られつつも手のひらでころころ楽しそうに駆け回ってるみりおさんがピシャッと訂正してて、芳雄さんも人間なんだな…って、このコンサート中何度目かわからないけどほっこりした。意外性のある芳雄さんのガチなおとぼけシーンに癒されてしまう。
『初めて知る想い(ガイズアンドドールズ) 』の圧巻のデュエットの後、芳雄さんの「優勝です!」がめっちゃくちゃ面白かった。サラ総選挙は明日海りおさんの優勝(投票数:1票、投票者:井上芳雄)。 公演中にも関わらず休演日に駆けつけたみりおさんの突き抜ける高音がめっちゃくちゃ良かったな。スカイとサラの、ハバナの熱気だけでは語れない2人の湿度が好きだ。甘いだけじゃなく、切なさとい色恋がないまぜになった湿度があって。

 初めまして同士なのに相手の心を掴むのが美味すぎる石丸さんとみりおさん。そこから逃げ出したくなってる芳雄さん、という並びも本当に新鮮!
そしてエリザベートメドレー 。全員トート経験者だけど、芳雄さんがトート→ルドルフ→そしてフランツと変遷していくのが見事。石丸トート×芳雄ルドルフの『闇が広がる』、トートからルドルフへと表情のスイッチ入れ替える瞬間は痺れたし、上ハモも含めてトートに喰らいつくルドルフ像がめっちゃくちゃ良かったな…。

 初対面同士の、明日海シシィ×石丸トートの『私が踊る時』、まるで異次元の高貴な舞踏会のようだった。その後ろでしゃがみこみながら待機してる芳雄さんの、酔いしれて満足気な表情も良すぎた。自他ともに認める完璧なコンサートですよね…
 明日海シシィ×石丸トート×芳雄フランツ、という、奇跡の三角関係の『私だけに(Rep.)』。エリザベート一幕ラストの鏡の間をこのコンサートならではの配役で見事に再現していて、こういう奇跡が起きるからミュージカル俳優同士のコンサートでの共演って最高だよ。

 芳雄さんは言わずもがな、休演日に駆けつけてくれたみりおさんや、ジキハイとハリポタをかけ持ちしていた石丸さんのエピソードなど、ミュージカル俳優多忙すぎて大丈夫かと心配になるけど、本当に、彼らの実力と才能をかお守りくださいね各種興行主の皆様、と祈るような気持ちだよ。

4.ド新規ファンでも充分楽しんだ2日間の総括

  • 「推し俳優のコンサート」という当たり前の楽しさ(この世の真理)

  • しかも知ってる曲ばかりだから解像度高いし(博多座エリザからのド新規オタクにとっても優しすぎる構成)、追わせてもらった軌跡を一緒に振り返る、追体験仕様のありがたさ

  • (ゲストのファンがいることへの配慮かもしれないけど)自分のことを好きな人が7000人集まっているのに、一曲ずつ説明を怠らない芳雄さんの優しさ

 これらを存分に噛み締めた2日間だったな。デビュー20年以上のキャリアの上澄みしか味わえていないけど、それでもこの昨年5作の濃度の高さを思い知った。ゲストコーナーのおかげで押しまくった1日目をよそに、なんと2日目も同じ終了時間だったのも不思議。「長くやれば良いもんじゃない」って芳雄さんが言っていたけど、長くなっても伝えたことを届けようとしてくれる、そのホスピタリティが嬉しいです。

 7000人収容×2日間を埋め尽くしてしまうような、またこういう大規模なコンサートの開催、いつまでも待ってます!

5.おまけ・推しまみれな2日間

①購入グッズ

充実しすぎてる。結局初日は買えなかったから2日目の先行販売に並んだり、開演前に並んだりして思い出になった!
でも肝心の芳雄一味は買えず…後日販売あると良いな。
ペンライトという名の芝生と、イケ散らかしてるパンフレット。芝生、バイマイで毎回芳雄さんが言ってくれる締めの言葉が英訳されてるのが良すぎる。お守りにしたい。

 事前通販で芳雄一味が売り切れた途端、じゃあグッズは会場で買えば良いか〜と諦めてしまった自分を殴りたい。グッズ購入の長蛇の列&完売の品多発だった。
このグッズの売れ行き状況を知った芳雄さんが「俺をみくびったな〜?笑」ってMCの中で制作サイドに呼び掛けてたけど、それが冗談だと思えないほどすっっっごかった……グッズの売れ行き状況を見ても「井上芳雄ここにあり」を体感。

②井上芳雄×TOWER RECORDS CAFE

 コンサート1日目参加→有明泊→翌日朝イチの回で渋谷のコラボカフェ→コンサート事前グッズ販売→コンサート2日目参加、という濃密な2日間でした。芳雄さんにまみれた2日間、本当に楽しかった〜!
渋谷の芳雄ランド(コラボカフェ)の写真を続けます。

入り口。ステッカーいただいたり大きい芳雄さんが出迎えてくれたりして高まる…
等身大パネル〜!上がるテンション天井知らずなおたくが対面。
店内。このメッセージを膝立ちで書いてくれてた動画が公式からアップされ、萌え転がるしかなかった…
「僕のいろいろ」に囲まれた…至福…
井上家に伝わるチーズケーキ。お祖父様のお姉さんが海外で得たレシピが受け継がれているとか。
オリジナルプリント抹茶ラテ!
写真撮りそびれたけどラベルビールも買い、ポストカードはダブりなく3枚引けたぞ〜!
ルートヴィヒの土台だけどうしても見つからなくて直置きという失態。

③これが「芳雄Green」だ!(一介のおたくver.)

 当日の服装に緑(エメラルドグリーン?)を取り入れることは諦め、ネイルや持ち物に取り入れてみた図。

一昨年のセーラームーン展で手に入れた、まこちゃんのチケットホルダーと、
ウィキッドのハンドタオル。
今回のコンサートと無関係にもほどがあるけど、緑のアイテムは意外と持ってるなぁ…
(セーラーネプチューンの方が色が近かったかもなぁと後で思った笑)

④お世話になりました

コラボカフェでも、コンサート会場のグッズ列でも、近くに並んでた方とおしゃべりできたのが嬉しくて!「どこから来たんですか?」「いつからファンなんですか?」の会話から生まれる楽しさよ…
そしてフォロワー様にも初めましてできて感無量ー!!

芳雄さんの現場は今までソロ参加が多かったので、ペンラを並べて撮影とっていただいて多幸感の極み。劇場出た瞬間から雨だったけど、大貫さんが語ってた「泉天空の湯」を背景に…!(笑)

ありがとうございました!
約15000字を読み切ってくださった方がいらっしゃるのかわからないけど、お時間いただき感謝です!おわり!


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