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【シャニマス】「ダブル・イフェクト」の意味するところ【アルスト】

「ダブル・イフェクト」と検索すると、なんだか難しい説明が出てきます。曰く、

 二重結果論ともいう。 ある行為の帰結を 意図(intention)された帰結と予見(foresight)される帰結とに区別し、 行為者が責任を持つのは、前者の意図された帰結のみであり、 いわば副作用とも言える予見された帰結ついては責任が問われないとする説。 つまり「わかってたけどわざとやったのではないこと」 については責任を問われないわけである。

とのこと。これとアルストの「ダブル・イフェクト」の何が関係あるというのか。

それは、この題意が「堕天の肯定」である。ということ。

以下ご覧ください。

楽曲「ダブル・イフェクト」の概観

~人間に恋した天使の歌~

 まずは曲の内容を簡単に確認します。この曲にはある状況を示唆するような歌詞がいくつか出てきますね。「例えば二度と飛べなくても」「例えば翼失っても」、語り手は翼をもつ天使のようです(ジャケットでもアルストの三人に大きな翼が生えています)。また「キミのもとへ そっと 舞い降りるから」。……「キミ」は地上にいて=語り手と違って天使ではない、そして「キミ」のもとへゆくことは「翼を失」う、つまり堕天を意味するようです。ここに「天使と人間」「聖と俗」の対比が見えます。「天使」自体がキリスト教的存在ですが、神の遣いが禁断の果実を口にした罪深い人間たちの子孫と恋をするなど許されるはずもありません。それに背けば背中の翼は落ち、二度と天界へ戻ることはできなくなるでしょう。その意味でこの曲は「天使の禁断の恋」を歌っているのです。

 脇道に逸れますが、曲中に「マージナル・マン(境界人)」という語が出てきます。これは、子どもから大人へ、少しずつ移り変わる時期にその両者の間で不安定に揺れ動く青年期の様子を表す言葉です。天使から、(堕天して)人間へと変わるまでの逡巡のようなものを表現しているのでしょうか。

「二重結果論(ルール オブ ダブル イフェクト)」

 有名な「トロッコ問題」を例にこの理論をみていきましょう。ひた走る列車の前には縛り付けられた5人の男。しかしあなたの目の前にある転轍機のレバーを倒せば列車は進行方向を変え、男が1人だけ縛り付けられているほうの分岐へ進むことになる。————さて、あなたはレバーを倒しますか?という問題です。

 一般的には苦肉の策としてレバーを仕方なく倒す、という意見が多いと思います。が、あなたは確かに自分の手で1人の男を殺めています。しかしこれを擁護するのが二重結果論といわれる理論です。ここではあなたの「意図」した結果は「5人の男を助けること」で、それに付随する「1人の男を殺してしまう」という結果は「予見」、予めわかってはいてもそれを「意図」していたわけではありません。殺さなくてもよかったのなら当然あなたは殺さなかったはずです。このようにひとつの行為(ここではレバーを倒したこと)の結果をふたつ(「意図」した結果と「予見」はできていたというだけ結果)に分け、この場合後者については不問としようという考えなわけです。このようにして「レバーを倒した行為」は肯定できると考えられています。

 実はこの理論の起源はこれまた「キリスト教」神学にあります(トマス・アクィナス)。……アルストの曲にはキリスト教のタームがよく用いられていますね。甜花ちゃんはちゃんと意味をわかって歌っているんでしょうか。

曲との関係

 ではこの曲における「意図」した結果、「予見」される結果とは何なのか。それはおそらく「キミ」と添い遂げることとその結果としての堕天がそれぞれ当てはまるのでしょう。天使(たち?)の本懐である「キミ」への思慕こそが「意図」するところであり、それ故天界の禁を破り地上に降りた行為は肯定されうるのだと、曲の題名を以って主張しているのでしょう。

と、ひとしきりここまで書いて納得していたのですが、さらに少し深い含意がある可能性に思い当たったので、あとちょっとだけ文章がつづきます。お付き合いください。

「堕天」に二重結果論は適用できるか

 ここまで触れてきた「二重結果論」ですが、これが適用されるためにはいくつか条件があります。その一つとして、「行為自体が倫理的に善であるか、少なくとも悪いことであってはならない」という項目があげられます。この理論はもともと「大きな善のためなら小さな悪も許容されることがあるのではないか」という倫理上の発想であるため、最初から非道徳的なことをしようとするようなケースには適用できないのです。

 さて、では「堕天」は果たして善いことといえるのかという話になりますが、当然そうは言えないでしょう。むしろ天使にとっての禁則を犯す大罪といった印象です。それでもなお自らの行為を「ダブル・イフェクト」と言い張って己が恋こそが倫理に勝る法理であると主張し、ある種独善的な「禁断の恋」の風味を楽曲に与えている……のではないかと考えました。が、前段の考察ほど自信はありません。

おわりに

 考察のほうは正直合ってるのか合ってないのかよくわかりませんので、「ダブル・イフェクト」のここすきポイントを書きなぐって締めたいと思います。

・イントロのつなひきダンス(ライブの振付の話です)

・プリマ・ファキエは超雑に訳すと「一応の弁明」みたいな感じなので、Aメロのこの時点で「堕天」の決心?はもうついてるのかもしれませんね。

・「翼 失っても」の高音うつくしすぎる。天使か?(天使だった)

・甘奈がほんとに刺激的過ぎてビリビリしてくる、ほんとに全年齢かこのコンテンツ?(ショーパンはいかんでしょ……)

・甘奈の無邪気なのにどこか艶のある声がすきだ……すきだ…………。

・Cメロ→サビの盛り上がりいつ聞いてもブチ上がりますね……。




「永遠」を誓い合ってくれ………………。

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