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デリバリーフェーズ改善──チームが短いフィードバックサイクルを実現するまで

この記事は、GLOBIS Advent Calendar 2024 の12日目の記事です。

はじめに


GLOBISでエンジニア兼スクラムマスターとして従事している伊藤です。
GLOBISではスピード感を持ってユーザーに価値を提供するために「GLOBIS 学び放題」 という一つのプロダクトを複数のスクラムチームで開発しています。
私はその中の1チームに属しています。
今回は特に、デリバリーフェーズにおけるチーム間連携の改善 についてお話ししたいと思います。

前提


チーム編成

イメージしやすいように、チーム編成を記します。

  • PO: 1名

  • エンジニア: 1名

  • デザイナー: 1名

  • エンジニア兼スクラムマスター 1名

開発の流れ

開発は以下のようなフローでリリースまで進めています。

UXリサーチ → 要求定義 → 要件定義 (ディスカバリーフェーズ)
↓
ワイヤー含むデザイン → 開発 → QA & PO/デザインレビュー → リリース(デリバリーフェーズ)

特に 「開発→QA & PO/デザインレビュー」の部分に焦点を当てていきます。

課題だったこと


「開発からデザイン確認」までフィードバックサイクルが長かった

以前は、開発した成果物をこまめに確認してもらうのではなく、ある程度のユーザーストーリー単位でデザイナーにフィードバックを依頼していました。
その結果、開発完了後しばらく経ってからデザイン修正の指摘が返ってくる状態になっていました。

この状態で発生していた主な問題点は2つ

  • エンジニアがすでに別のユーザーストーリーを開発している段階でフィードバックが来るため、コンテキストスイッチが頻繁に発生すること

  • 修正の粒度が大きくなりがちで、1度のフィードバックで大きな工数を要してしまうこと

これらの問題が生む無意識下の影響

  • 不要なコンテキストスイッチによる開発工数の膨張

  • 粒度が大きくなることで、フィードバックを出す側・受ける側ともに認知負荷が増大

  • 認知負荷が高いため、修正時に漏れが発生しやすくなる

改善の方向性

改善の方向性は至ってシンプルです。
「フィードバックループが長い」のであれば「短くする」。
これだけだと記事にならないので、私たちのチームで実際に取り組んだ具体的な方法を紹介します。

  1. エンジニアも基本的なFigmaの使い方をキャッチアップ

  2. 画面を開発したPRで、GitHub上でデザイナーがデザインレビュー

  3. GitHubとSlackの通知連携設定を整備し、全員が同じ情報を即時に共有

1. エンジニアも基本的なFigmaの使い方をキャッチアップ

デザイナーからFigmaのDevモードというものを教わりました。
デザイナーがどのような視点で画面を確認しているのかを理解し、認知負荷を下げるための取り組みを行いました。
これにより、デザインフィードバックにおけるやりとりがスムーズになり、不要な認識齟齬を減らせます。
開発モード: デザインから開発へ| Figma

2. 画面を開発したPRでは、GitHub上でデザイナーがデザインレビュー

画面が出来上がったタイミングで、PR上でデザインレビューを行うフローに切り替えました。
なぜこのタイミングなのか?

  • 開発中のPR内で会話するため、エンジニア側のコンテキストスイッチが発生しづらい

  • レビュー内容が履歴として残るため、次回以降の改善点が明確になる

デメリットも存在します

  • 動画や画像ベースのレビューのため、実機確認より正確性がやや劣る可能性

  • レビューが増えることで、PRのマージが遅れる可能性

  • フィードバックの往復が増え、レビュー回数が多くなる

ただし、これらデメリットへの認識は以下の通りです

  • 動画や画像ベースでの確認は多少誤差があっても大きなバグや重大な表示崩れには繋がりにくい

  • 指摘の数を減らすためにツールの使い方をチームで揃え、エンジニア側も可能な範囲でBest EffortなPR作成を心がける

  • フィードバックサイクルを短くすることで、小さな手戻りに留め、大きな手戻りを回避できるメリットを優先する

3. GitHubとSlackの通知設定で、全員が同じ情報を即時に共有

最後に、これは「ついで」の改善ですが、GitHubとSlackを連携させました。
GitHub + Slack
幸いチーム内には「メンションがあればなるはやで対応する」文化が根付いていたため、以下のステップで対応しました。

  1. GitHubとSlackを連携し、依頼はGitHub上のメンションで行う

  2. 通知を受け取った人が確認(従来と同様)

改善後の効果


  • UIの指摘が減少:PR段階での細かな修正が可能になり、後工程での大幅な手戻りが減りました。

  • コンテキストスイッチの減少:リアルタイム性が向上することで、エンジニアは今取り組んでいる開発タスクに集中しやすくなりました。

最後に


今後も小さな改善を積み重ね、よりスピード感を持って「使いやすい」「導入して良かった」と感じていただけるプロダクトを目指していきたいと考えています!

グロービスでは「学びの未来を作り出し、人の可能性を広げていく」というミッションのもと、toB,toC領域で、学びを通じて、新しい行動につながるようなサービスを目指して、開発に取り組んでいます。
少しでもご興味をお持ちいただけたなら、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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