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なぜ今コモンズ?の話 頑張って働いてるのにモヤモヤするのはなぜ?

大阪で共助コミュニティを作る、大阪コモンズプロジェクトというのをやってます。

ていうか、コモンズって何?って方のために簡単に説明すると、コモンズとは水や食料、電気など生きる上で必要なインフラを共有資産としてコミュニティで管理運営することや、そのような共助のコミュニティ自体のことなどを指します。食べていくために雇われて、やらされ仕事に自分の人生の時間を使うより、共助コミュニティで将来の不安や生活コストを少しでも減らして、もっと自分を生きたい!という思いから大阪コモンズプロジェクトを立ち上げました。


で、そのスタートとして3/14(日)に「大阪コモンズ実験!」というイベントを開催しまして、なぜいまコモンズなの?という話とその具体的な事例の紹介をさせてもらったので、その内容をご紹介していきたいと思います。なぜ?の部分は斎藤幸平さんの書籍、事例は工藤律子さんの書籍を主に参考にしています。

1)雇用を失うこと=人生が終わること

こんなこと感じていませんか

今の社会って雇用を失うこと=人生が終わること、になっています。生きていくために必要なもののほとんどがお金がないと手に入らない、そしてお金は賃金以外に手に入れる手段がない。そのためにやりたくない仕事でも我慢するしかない。でも将来の不安は解消されず、会社の先行きやリストラ、老後のお金など心配は増えるばかり。それって幸せなの?このシステムから脱出する方法はないの?

2)なんでこんなことになっているのか?

資本主義って

資本主義というのは基本的に「儲け続けなければならない」構造になっています。設備を購入し人を雇い、そのコストと生産物の対価の差額を利益として得る。基本的には規模拡大、効率化、コスト低減を進めて利益を出し続けていかねばならない。

3)労働の無内容化

利益を増やすために

いろんな考え方や事業戦略はあるにしても、構造的には利益を出すのに手っ取り早い方法の筆頭はコストカットです。材料を安く仕入れる、安い労働力を使う。海外で生産する、パートやアルバイト、派遣社員を使う。ブラックなところでは残業代を払わない、ボーナスを出さないなどなど。

そしてなるべく効率よく働かせる。なるべく短時間でできるだけたくさん生産すること。それには労働者によって能力のばらつきがあると困ります。だから生産工程を細分化して分業にし、機械化して誰にでもできる仕事にする。個性とか関係なく、規格化し同じ基準で測り、そこにインセンティブを与える。そうして労働は無内容になっていきます。自分で考えて何かを作り出す喜びややりがい、達成感、充実感が失われていきます。

4)考える力の喪失

構想と実行の分離

そこで起きることは構想と実行の分離です。要するに、考える人と実行する人が別々になっていることを指します。例えば私が椅子を作るとします。私はこれこれの場所でこれこれの時に使うこんな椅子が欲しい、デザインはこんなのがいい、材質は、構造は…と企画し設計する、これが構想です。それを実際に作る作業、木材に線を引きノコギリで切り、組み上げる、それが実行です。分業というシステムでは構想と実行と実行が分離していきます。

構想と実行の分離の結果

構想から切り離された人は構想する能力を養うことができない、それどころか本来持っている能力をどんどん失っていきます。言われたことしかできない、単純作業しかできなくなっていく。ホワイトカラーには関係ないでしょ?と思われるかもしれませんが、例えば会社の中では「上が言っているから」で、素直に言われた通り働く人が職場で喜ばれたりするのも同じことです。「主体的に動け」とか「経営者目線で」とかよく聞きますが、これも限られた範囲の主体性。自分より上のポジションの人たちが決めたことは動かせなくて、指示命令されたことを遂行するために「俺の身になって考えてくれよ」、という都合の良い見せかけの主体性です。

それが正しいのだ、そうすることで評価されるのだ、という学習が進むと、自分の意志や直感で考えることをやめてしまいます。どんどん無自覚にそこに取り込まれていき、主体的・自律的に動くことが難しくなっていきます。やりたくない仕事を我慢してやっているが、NOと言うと仕事がなくなるかもしれないという不安と疲弊を生み出しているのです。

5)そしてなんでも民営化されていく

生活インフラの商品化

資本主義の商品化はどんどん加速しています。なんでも民営化され、生きていくために必要なもの、本来は誰でも使えるはずのものが、お金のない人にはアクセスできないものになっていきます。そしてより一層「雇用されないと生きていけない」状況に追い込まれていきます。経済全体は豊かになったように見えて、暮らしに困る人が増える、そんな歪みが大きくなっていきます。

だから今コモンズ

冒頭に書いた通り、コモンズとは水や食料、電気など生きる上で必要なインフラを共有資産としてコミュニティで管理運営することや、そのような共助のコミュニティ自体のことなどを指します。コモンズには、公営のインフラを市民が自主運営する、民営化されたものを再公営化するケースもありますが、新しいオルタナティブな選択肢として、自分たちで作ってしまおう!という動きも世界中で増えています。大阪コモンズプロジェクトも、国や行政が何かしてくれるのを待つより、もう自分たちで楽しく作っちゃおう!と思っています。全てのインフラは難しいかもしれないけど、とりあえずみんなが自分の得意なことや好きなことをお互いに分かち合うことから始めよう。そんな取り組みです。後編はスペインなどでの取り組みの事例をご紹介します。

(大阪コモンズプロジェクト 兼 ADS株式会社 コモンズ創造室)


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