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サマソニ東京2016 雑感ライブレポ 初日編

タイトル通りです。

長い短い、セットリストあるなしあるけど、思い出し書きで書き残しておきます。

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SANABAGUN

足下は泥 小雨は降る 初見多し アウエーな状況でしっかりとヒップホップ&ソウルの流儀で躍らせてくれた。

ストリートにジャズのエッセンスを散りばめ・・・とは彼らの言葉である、東京インディで流行っているシティポップに通った雰囲気で推されることもあるが、彼らはオシャレというよりは泥臭く、ピジっとしたフォーマルな感覚よりは砕けた風体で、見ているこちらをアッパーに攻め立てていくステージングを見せてくれた。

ボーカルの高岩遼とMCの岩間俊樹のキャラがグイグイと観客をアジテートしていったが、彼ら2人がより強いキャラクターを持てればより鉄板のアクトになれるだろうか。

①板ガムーブメント②M・S③BED④大渋滞⑤デパ地⑥SANABAGUN.Theme⑦人間⑧まずは「墓」。 

Digitalism

今年5月に発売した新作を引っさげての来日公演、2007年以来のサマーソニックでのアクトだ。2人でDJ機器やミキサーなどなどのコンソールで操作をしつつ、金髪のイェンス・モエルがヴォーカルを務めていた。

4つ打ちハーフビートに留まらないリズムを示しつつ、EDM/エレクトロ/DJアクトが多い中で凶悪なエレクトロ&ベースサウンドをDJスタイルで矢継ぎ早にブッ刺してくれていく。ステージ演出が少々寂しく、例えばUnderworldやAlesso、翌日同じステージに登ったCASHMERE CATでもVJを使ってよりド派手な演出にしていれば違っていただろうか、そこは惜しかった。

LiSA

サマーソニックに出ているようなバンドとかミュージシャンとかが好きで音楽始めて、アニメとかテレビに出させてもらったり、色々やってきて、LiSAっていう音楽でここに立ってます

飛ぶ鳥を落とす勢い、といえば本当にそうなのであろう。シンガーとしてデビューした2010年以来、彼女は一時も足を止めずに駆け抜けてきた。その勢いそのままに初参戦となった今回、ヒットシングルはほどほどに、ニューシングルにアルバム楽曲を入れ込み、彼女自身のフェイバリットであるポップパンク色の強い楽曲群でグイグイと観客をひっぱっていく。

サマソニの担当の方から『LiSAさん、サマソニ出ませんか?』と言われた時は嬉しかった、ワタシが一番盛り上がっていたし待ち望んでいたよ!。でも正直、客が3人とかだったらどうしよう、もしもそうだったら土下座しかない・・・と思ってました、でもこれなら大丈夫そう!!

この後のライブアクトと比較してしまえば、深夜帯に行われた同一ステージのDinosaur.Jrと遜色が無いくらいの観客の入り、アニソンファンだけじゃない人までにも刺さっていく存在に、彼女がのし上がってきたのを端的にしめしているように思える。

今日のことを覚えていてくれますか?今日みんなが見ていくライブを覚えていてくれますか?今日このステージに見に来てくれたLiSAのこと覚えていてくれますか?

というMCから、まさかのバラード曲「シルシ」だ。

『じっと見つめた きみの瞳に 写った僕が生きたシルシ』

先に話したMCからアカペラでこのサビフレーズを歌い上げる、ここまでのMCからの流れでいくと、涙を誘う選曲に大号泣か大顰蹙かしか出てこないが、自分が憧れる舞台に初めての参加、ポップパンク楽曲を様々に発表してきた人間が、あえてここでバラードを選んだ意味を十二分に理解してもいいだろう。

LiSAの音楽は、なにもポップパンクのルールに寄り添った軽快にドライブしていく楽曲だけではない、彼女自身のボーカルもまた一つの武器だ。ボーカルが唄ったり話す言葉がマイクを通じて、ここまで明瞭に聞こえるものなのかと驚かされる。LiSAは、ソプラノの伸びやかなハイトーンで自分が唄った言葉をより深く聞き手にぶっ刺していける、稀有なタイプのロックシンガーとしてこの日のステージに立っていた。

『願い星掴んだ 汗だくのTシャツが光って この目に飛び込むのは いまも夢色の空』

サマソニに出るバンドに憧れていた女の子が、いま観に来ている人たちに向けて唄う『未来へ向かうためのポップパンク』≒LiSAの音楽をかました、レインボーステージをほぼフルに埋めた万感のライブアクトだった。

終演後、後ろを振り向くと友人のアニソンDJがいた。彼はこういった

「草野さんwwwwwwwwめっちゃ泣いてるじゃないっすかwwwwww」

①Brave Freak Out②say my nameの片想い③DOCTOR④Empty MERMAiD⑤Rising Hope⑥シルシ⑦Hi FiVE!

Alesso

これぞEDM!これぞプログレッシヴハウス!白を基調に瞬くVJを背にしてかまされていく名曲連打。今日イチの黄色い歓声と『かっこいい…』の嘆息するのは男女問わず・・・DJして髪をちょっといじるだけで様になる、本当にそれだけでカッコイイ。

踊らせるために進化をつづけたプログレッシヴ・ハウスが、R&BもHIP-HOPなどのポップソングの流儀を詰め込んだことで爆発的にウケるようになった・・・おおよそEDMに対するイメージはそういうものであろう。

フラットに考えてみると、4つうちハーフビートの上であれやこれやとアイディアを詰め込んだ奇形的かつ強烈なEDMの姿は、この後のステージをつとめたUnderworldとはやはり似て非なるものだ。

『ここで、この音を入れて、客を楽しませようとするのか!』というアイディアが、瞬発的に観客をダンスさせることに繋がる。大合唱を薦めるようなボーカルラインも特徴的なEDMは、やはりみんなでワイワイと騒ぐのに向いている音楽だろう。

「This summer gonna hurt Like a MOTHERFUCKER!!」

「Nothing can stop us now!」

こんな歌詞が流れてきたら、やっぱりテンションあがるよ!

最後には「HEROES」で締め。日本国旗を振りまくるAlesso、花吹雪に紙テープ、花火は打ち上げられないけども代わりに火花がバチバチ出てきて、バックの画面には日の丸!ピースフルな終幕でした。

(合ってるかどうかわからないけども、セットリストはこちらから おおよその曲はあってます)

ハイエイタス・カイヨーテ

昨年から数えて一体何度目だろう?というくらいの日本への来日、愛されてるなぁ!。お腹へってたし疲れていたしで遠目から見てた。

ネオソウルの向こう側へ、名状しがたいソウルフルで緩やかなグルーヴで会場をぽーんと別の世界に連れて行ってしまったかのよう。

リズム隊があまりにもシームレスにグルーヴを伸縮させて演奏していくから、<ダレる>瞬間がほとんどない。空気は緩やか、BPMは遅い、でもグルーヴはタイト。バンド・ミュージックの妙を感じざるをえないアクト。ゆったりと見られて良かった!ガーデンステージの雰囲気と海風にもマッチして最高でした。(セットリストどこにあるんだろーか・・・)

上原ひろみ×熊谷和徳

今回のサマソニ、個人的なベストアクトはこの瞬間だった。

なんで人は生演奏で音楽を聞きたがるのだろう?張本人と生で会いたいから?生と録音物は別々で違うから?録音物では物足りなくなったから生演奏で満足したくなったから?

ミュージシャン/バンド/アーティストを観に来た、もっと言えば好きな曲を聴きに来て快感を得たい、そういった一種のハコ/枠組みの向こう側にある『私はいま音楽でぶっとんでいたい!』という原初的な喜びを、このアクトは即興的なアプローチでえぐり出してくれた。そうだった、ぼくは『音楽でぶっとんでいたいんだ!』と思い出させてくれる、なんとも希有なアクトだった。

この2人の組み合わせ、ピアノ×タップダンス 打楽器×舞踏、音楽×ダンス、打突×足踏、それらには原初的な音楽の在り方……例えば祝祭の儀のような姿が透けて見える。

瞬間的なインプロビゼーション、与えられたテーマを解体→再構築を施し、自身が奏でる音でなにがしかのメッセージを相手に、同時に観客にも伝えていく。「こうしたいんだけど……」「じゃあこうしましょう!」「それで返しますか!」というような声を介さず音を通しての会話が、上原氏と熊谷氏の間だけに留まらず、観客側にも理解できうるものとして伝播される。言葉でのやりとりはない、全てその場の即興だ。

スラッと書くとセッション合戦、これがピアノ×タップダンスというバトルになるから本当で美しく見える。タップダンスは音楽だった?と思えてくる謎の感動は・・・いや謎じゃない、タップ音のビート感と微細な音色が音楽に昇華され、上原ひろみが鍵盤を叩き奏でる音色の多彩さとも呼応し、一つのサウンドスケープとなって会場中に熱量を広げていく

観客も声をあげて会場のボルテージがあがり、手拍子を一斉にすることで彼ら2人のアクトに擬似的に参加し・・・観客と一緒にライブを盛り上げていくということをまさしく体現していたのだ。

秀逸だったのは、アンコールでハナレグミさんを呼び込んで披露された「深呼吸」だ。

夢見た未来はどんなだっけな? hello again 明日の僕よ 手放すことはできないから あと一歩だけ前に

と歌い上げるハナレグミの永積崇の歌声も、スモーキーでこの雰囲気に非常に染みていったが、この日のアクトはこの歌詞と呼応しうる力があった、なにせ足踏をすることが音楽に消化される場、歌詞の中にある<あと一歩>を雄弁に語れる人間がいるのだ。

この瞬間、ステージには、言葉というベクトルが新たに加わり、明日への希望をモチーフにした歌詞が出てきたことで、熊谷和徳のタップダンスが持っていたであろう<無言の声>がよりダイレクトに響くようになった。激しく、やさしく、変な拍子で足踏みをすることで、熊谷氏のタップダンスがいかに様々な音色を奏でていたのかがより深く感じ取れるようにもなり。加えて序盤は非常に優しげなタッチで演奏していた上原ひろみが中途から熱を入れて演奏を始めたことで、非常にエキサイティングな光景が広がり、大団円を迎えた。

ピアノとタップダンスが一本調子ではなく、あれだけ沢山の音色で音楽として表現出来うること、多弁なまでに何かを訴えようとしていたこのアクトを、語弊を恐れずに言えば「リリカル」、文学的だなんて思えた。同時に、音楽のもつ力の底しれなさに、有り体に言えば感動すらしていた、きっと未来からいまを振り返っても、この日のライブアクトはきっと思い出して語るだろう。

今度昼間に会ったアニソンDJに会ったらこういってやるんだ

知ってるか?人間ってピアノとタップダンスだけで音楽ができるんだぜ・・・

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