#18めちゃくちゃマニアックな身体動作のてこの話
こんにちは!
YouTuber 兼 トレーナーの
草野球プレーヤーモトです⚾️
今回は
骨格筋のてこの種類について
解説します。
難しい言葉が多くなるので動画での説明を諦めました。この記事を読み込むことで理解出来るようになる内容かと思うので、ぜひ諦めずに何回も読み返して欲しいなと思います。
この内容を理解すると、より身体の事を理解することに繋がり周りの選手と少し差をつけることが出来るでしょう。
スポーツ動作で行われる身体の動作は、主に骨格筋によるてこを通じて起こります。
例えば、
8kgの重さでアームカールを行う場合、イメージとしては8kgの筋発揮をしていると思われがちですが、実際に筋肉が発揮している力は8kgではなくもう少し大きな力を発揮しています。
は?どういう事?って思う方もいるでしょう。
端的に説明するとアームカールで8kgのダンベルを持ち上げる時は筋力によって発揮された力によって、8kg以上のトルクが発生した時にやっと持ち上げることが出来ます。
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【てこ】とは?
てこは小学生が習う内容ですが、まずは基本的なてこのイメージ図はこんな感じです⬇︎
(ストレングストレーニング&コンディショニング P77.図4.2より引用)
"てこ"という言葉が何を表しているか説明できるでしょうか?
"てこ"とは棒の一点を支点とし、回転できるようにしたものです。骨、筋、腱で構成される関節はこの仕組みを利用して動かしています。
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身体動作と"てこ"の関係を理解するために大事となるのは下記の5つです。
①支点の位置
②筋力
③抗力
④筋力のモーメントアーム
⑤抗力のモーメントアーム
1つずつ解説します。
①支点の位置について(O)
これは言うまでもなく"てこ"の軸のことです。例えばアームカールを行う際は支点は肘関節になります。てこを表す図ではOと表記します。
②筋力(FM)
これはそのまま筋が発揮する力です。てこを表す図ではFMと表記します。
③抗力(FR)
持ち上げる物体の抵抗する力です。重力、慣性、摩擦などにより筋と逆の作用をする力のことです。(ex.ダンベルやバーベル等によってかかる負荷)てこを表す図ではFRと表記します。
④筋力のモーメントアーム(MM)
支点(O)から筋力が作用するまでの距離を言います。力を発揮する筋から支点までの距離と覚えると理解しやすいです。てこを表す図ではMMと表記します。
⑤抗力のモーメントアーム(MR)
支点(O)から抗力が作用するまでの距離を言います。④と同じく抗力(ex:ダンベル)が作用する点までの距離と覚えるといいでしょう。てこを表す図ではMRと表記します。
ここまででお腹いっぱいの方もいるでしょうか。用語を覚える必要はないのでご安心ください。
ざっくりと軸、筋力、筋力発揮する所までの距離、抗力、抗力が作用する所までの距離とイメージだけでも覚えておけば充分です。
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●てこの種類とは?
さて、てこが関節に作用するイメージは何となく沸くと思いますが、身体にかかる"てこ"は先ほどのイメージ図の剛体を置くような仕組みではなく筋肉という収縮装置によって発生します。
そうすると何が違うかというと、さっきの図だと重力を使って剛体が重力を使ってレバーを押す形でしたが筋肉なので引っ張る形です。
そのため、身体動作に関わる"てこ"の場合は必ずしも筋力のモーメントアームは抗力のモーメントアーム側の支点の反対側にあるとは限らないんです。
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パターンは大きく分けて3パターンあります。簡略図を書きましたのでご覧ください。
第一のてこ
筋力と抗力が支点を挟んで反対側で作用します。
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第二のてこ
筋力と抗力が支点からみて同じ側で作用します。筋力のモーメントアーム(筋力が発生する所)が抗力のモーメントアームより短いです。
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第三のてこ
筋力と抗力が支点からみて同じ側で作用します。第二のてこと逆に筋力のモーメントアームが抗力のモーメントアームより短い位置にあります。
第二と第三のてこがややこしいと思うので、簡略図をよく見比べてください。
3つの簡略図が頭に入ったら、さらに理解を深めていきましょう。
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第一、第二、第三のてこを理解するには子供とシーソーで遊ぶシーンを想像すると理解しやすいです。
ちょっと変な絵になってしまいましたが、
大事なのは支点の位置と抗力(子供)の位置、大人が引っ張っている紐がシーソーに付いている位置になります。
復習込みでもう一度説明しますが、
子供の位置は抗力のモーメントアーム(MR)で、紐のついている位置が筋力のモーメントアーム(MM)です。
上記の図を見たときに引っ張る人の力が必要な順(大変な順)はどうなるでしょう?
答えは
第二のてこ➡︎第一のてこ➡︎第三のてこの順になります。感覚的にも理解できるかもしれませんが、しっかりと根拠があります。
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●力学的有効性とは?
第一のてこの実際の例は肘関節を伸ばすときの上腕三頭筋ですが下図のようになります。
(ストレングストレーニング&コンディショニング P77 図4.3より引用)
黄色い矢印のFRが抗力
青い矢印のFMが筋力です。
注目して欲しいのがMR40cmとMM5cmという、抗力のモーメントアームと筋力のモーメントアームです。
先程記述した根拠とは力学的有効性という力と抗力のモーメントアームの比の事です。
これを算出するには
筋力のモーメントアーム÷抗力のモーメントアームで計算します。
上記の例であれば
5cm÷40cm=0.125
数字が1.0未満であれば力の伝達には不利な状態です。
0.125は1.0未満ですので力の伝達には不利です。身体の構造上、支点と反対側に筋力の発生地点がある「第一のてこ」ではいずれも数字は1未満となります。
第三のてこはさらに力の伝達には不利な条件となります。例としては肘関節屈曲時の上腕二頭筋が挙げられます。
(ストレングストレーニング&コンディショニング P78 図4.5より引用)
第三のてこの場合は第一のてこの場合と比べても、抗力のモーメントアームより筋力のモーメントアームが小さくなるため力学的有効性の数字がより小さくなります。
第三のてこは3パターンの"てこ"のうち最も力学的位置関係が小さくなります。第三のてこには上腕二頭筋意外にもハムストリングが挙げられます。
では、第二のてこはいかがでしょうか?
第二のてこは唯一、力学的有効性が1.0を超えるパターンとなります。
例としては足関節底屈時の下腿三頭筋が挙げられます。
(ストレングストレーニング&コンディショニング P78 図4.4)
抗力(体重がかかる)のが黄色い矢印のあたりとしたとき、それよりも支点から見てより遠くに筋力のモーメントアームがある事が読み取れます。
仮に
筋力のモーメントアームを16cm
抗力のモーメントアームを13cm
と仮定します。
その場合、力学的有効性は16cm÷13cm=1.23です。
第二のてこは身体のてこの中でも唯一、力学的有効性が1.0を超える位置関係にあります。
力学的有効性が1.0を超える場合、抗力以下の力発揮でも筋肉を収縮させる事が可能となります。
つまり、下腿三頭筋は体重以上の力を発揮することなく背伸びをする事が出来るという事です!
言われてみると、確かに背伸びをする時ってふくらはぎが体重と同じだけの力を発揮してるとは考えづらいですよね。実は力学的有効性を利用した動きだったんですね!
逆に腕を伸ばす時や曲げる時は力学的有効性が1未満となるため、かかる抗力(重量)以上の力を発揮しなければ筋肉を収縮させる事はできません。
今回の話は身体の身体動作のてこの話の基礎の部分となります。
実際の運動中はモーメントアームと支点は連続的に変化することが多いので今日話した内容ほどシンプルではありません。
ただ、覚えておいて損はないので是非よく読んで理解してください。
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まとめ
●身体の関節はてこを利用している
●身体動作に関わるてこは3種類ある
●抗力のモーメントアームと
筋力のモーメントアームの位置関係に
よって力学的に有利か不利かの差がある。
この話が誰かの役に立てば嬉しいです。
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