【感想】水野学 いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書

感じたことを思うままに書いているまとめ。

全体を通して意味が分からなくて読み返すといった箇所がほとんどなかった。比喩、感情による抽象的な表現、専門用語などが少なかったからかな。章立ての仕方も整理整頓されていて理解しやすかったし(段取りの手順にもあった通り大枠からディテールへという流れ)、気持ちではなくて理論的なところがとてもよかった。気持ちで時間を計らない、とかそういうところ。やるべきことが明確だなと好感が持てた。

内容の備忘録
https://note.mu/graphicbba/n/ncb88cabb8c67

基本的に段取りのことについて書かれているのだが、印象に残ったのは茅乃舎(かやのや)のリブランディングの、ロゴマークの発想の部分。

明治創業の老舗の食品メーカー「茅乃舎」が、人気の高まりを受けて、今後のブランディングを考えたいという話しがあったが、もともとのロゴがブランディングの方向性としてあっていたという。
それと同時に水野氏は、現状の親しみやすさやかわいらしさよりも、これからも長く続くブランドとしての将来を考えると、洗練された上質さをあらわすものにした方がいいような気もしていたそう。

新たなロゴの発想のもとになったのは“旗艦店を大変な思いでオープンさせた日、店舗の後ろの山間に満月が出ていた”という社長の話。そこから地図を調べ、レストランとショップの間に天照大神をまつる神社があることから、「茅乃舎は月と太陽に守られている」と思い至り、そこから発想して完成したロゴ。

●丸をモチーフ
●皆既日食のように月と太陽が重なっている
●世界展開のため地球をイメージする円
●禅の円相(迷わずに本質を作り続けるという考え方に通じる)

円の下が少し膨らんでいるのは醤油(だしじゃなくて醤油だったとおもう)の一滴をあらわしている。


(画像リンクから水野氏のサイトの久原本家のページへ)

元のロゴを知らないので、デザインについては特にコメントしないけれど、このエピソードが、書籍にもあった「まずは知るところから」の章のことそのままで、とても印象深かった。

自分もクライアントから茅乃舎の社長のようなエピソードを聞き出せる人になりたいし、それが大切な話しだと気づき、きちんとリサーチしてデザインに落とし込めるようにしたいと感じた。デザインとは本来そういうものなのだけど、最近失っているように思って再確認できたような気がする。


水野氏は発想のチャンネルを変える、ということをよくしており、有名なくまもんも、はじめは「熊本のこんなところがすごいよ!」という土産品に貼るシールのキャンペーンロゴ制作の依頼だった。が、サイトやロゴをつくってキャンペーンがそんなに盛り上がるのか、シールより宣伝マンがいいのでは?というところから生まれたそうだ。他にも、農場への集客の案件では、そもそも農場への集客自体が難しいので農場を「公園」としてみるとかとか....

発想って鍛錬かなと思うので、クセをつけたい。

WEB業界に転職してから、グラフィックに比べて携わる職能が多いこともあり、分業が激しいなとおもう。デザイナーなのでデザインをしているわけだが、渡された構成をデザインしていくだけでは考える力が退化してしまいそうな気がする。ベースのスキルをかためつつ、WEBでも思考する・提案できるデザイナーになりたい。


段取りの部分では、「気合いでどうにかする時代は終わった」とかそのあたりのくだりがとてもよかった。
時流もそうだが、若い頃は体力にまかせてなんとかしていたことも、ずっとそんな風には働けないので、頭をつかって仕事をしないといけないなと特にここ数年感じていた。そのためにも、取り入れられることは取り入れて効率よく働きたい。

効率化といろんなところで言われるけれど、わたしの中では効率化とデザインがうまく紐付かないので、そのための段取りを効率化することが大切なのかなと思っている。


あと余談だけど、水野氏もビジュアルをイメージするために画像検索しているみたいでホッとした。ゴールをイメージし、正しい目的地を定めるためには効果的とのこと。

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