記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

ダンガンロンパV3 ネタバレ感想

 はい、私が『ダンガンロンパV3』をプレイするまで私3年かかりました。

 理由は、私が重度の先延ばし癖だというほかにも、ネットでの評価が色々と不穏だったから。
 ネタバレされない程度の情報はたまに流れてきましたが、そこから推測できることとして「V3は賛否両論」だということでした。

 遊ぶことが怖かったです。賛否あるということは、場合によっては劇物になりかねないということ。大好きなシリーズの中で大嫌いなナンバリングを生み出したくなかったのです。
 『1』も『2』も今なお心に残る超名作として認識しています。このまま両作の楽しい記憶だけで私の中の「ダンガンロンパ」は完結しても良いんじゃないかって。2のストーリーで何を見てきたのか。

 そんなこんなで、プレイする気はないくせに『V3』のネタバレは避けていたので、まともにダンロン関連のネットサーフィンもできないまま3年が経ちました。
 ようやく『V3』に着手した理由は至ってシンプル。ネタバレに気をつけながらネットを触る生活が限界だったからです(笑)

 前置きが長くなってしまいました。本編をクリアしてきたので、記憶の整理や定着を兼ねてシナリオをネタバレフィーバーで記事にしていきます。この先ネタバレ規制は通じません。それと個人の感想です。

プロローグ

 とある学校のロッカールームから出てきた赤松楓最原終一。記憶が混濁する中ひとまず廊下に出てみたら謎の巨大ロボに襲われます。逃げるうちにたどり着いた場所は体育館。そこには赤松さんら以外に14人の高校生がいました。

 何がどうなっているのか、プレイヤーも作中キャラも分かりません。そこに現れたのはご存じモノクマ…ではなくモノクマーズという色も性格もカラフルなモノクマ五匹組。誰もが思い出すは希望の戦士…。

 例によってコロシアイをさせられるみたいですが、どうやら16人の高校生は自らの才能を忘れている様子。「思い出しライト」を浴びた後、一番最初の教室、ロッカーに戻ってきてしまいます。
 おまけに体育館までの一連のイベントをすべて忘れてしまっています。しかし、超高校級の才能だけは思い出していました。今更驚かないけど、ここまで「記憶」をおもちゃのように扱うゲームって中々ない。

 学校の各エリアにいる仲間と会話した後は、赤松さんは入口の扉から外に出ようとします。当然のように出られな…くはありませんでした。
 扉の向こうは外のようで外ではありませんでした。360度巨大な檻で囲まれているこの学校は才囚学園といい、出ることは不可能だとモノクマーズに告げられます。こういう"謎"の千本ノックは序盤ならでは。

 体育館に招集をかけられ、再び集まった16人はついに学園長のモノクマと対面します。声が…ドラえもんからまる子になっているぅぅ。
 モノクマーズはモノクマの子どもなんだと。でもウサミはモノクマの妹なんかではありませんでした。つまり?

 ようやくいつもの流れに入ります。モノクマが彼らに期待することはコロシアイ。巨大ロボのエグイサルによってモノクマたちには逆らえない。さぁ、今作の16人はどのようなドラマを魅せてくれるのでしょうか?

チャプター1

 赤松さんの鼓舞もあり、希望を失わずにいた一同は出口っぽい場所を発見します。絶望のデスロードと呼ばれるそこをクリアすると出口にたどり着ける、と信じて挑戦しますがまるで歯が立ちません。
 もう一度、次こそは。赤松さんがそう言い続けていると王馬小吉がボロクソに赤松さんを責め立てます。

…いい加減にしてよ。
赤松ちゃんが諦めないのは自由だけど、それを押し付けるのは脅しみたいなものだよ?
無理だとわかってる状況で諦めちゃダメって言われてもしんどいだけなんだよ…
諦める事も許されなくて、しかも、正論だから反論すらできない…
そんなの、ほとんど拷問だよ?
赤松ちゃんは『諦めない』って言葉で仲間を追い詰めてるんだよ!

 まだ諦めない仲間もいましたが、過半数は王馬くんと同じく諦めてしまい、その場は解散してしまいます。さっきまでリーダー風を吹かせていた赤松さんは一気に失脚してしまいました。
 でもここの王馬くんの言葉にはユーザーも助かったんですよね…。一生無理ゲーさせられるのかと思っていましたから(笑)

 動機のないところに殺人は起きぬ。モノクマは「最初の殺人を起こしたクロは無条件で卒業」という破格の特典に加えて「2日間後の夜時間までに殺人が起きなければ、コロシアイに参加させられた生徒はモノクマ総動員により全員死亡」という無茶苦茶な動機を発表します。かつてないほどの力技です。

 生き残ろうという意志が強くないハットリくん星竜馬は、自らを殺し卒業した生徒が助けを呼びにいけばいいと提案します。声と見た目のギャップがすごいキャラ()
 しかし、シリーズ恒例である「才能が明らかになっていない枠」の天海蘭太郎には「コロシアイを終わらせる」方法があるとのこと。そして赤松さんと最原くんも「コロシアイの首謀者を取っ捕まえる」ことで人を死なせずにこのゲームを終わらせようと画策していました。

 首謀者の部屋っぽいところを見つけた赤松さんたちは、タイムリミット寸前に首謀者はモノクマ量産のためにこの部屋を訪れると予測し、付近にカメラをしかけて証拠を残そうとします。
 そしてタイムリミットの夜。赤松さんたちの他には、最後の晩餐を楽しむ者やモノクマとの対決に備える者などめいめい行動を起こしていました。

 そして、独自で行動していた天海くんの末路は地獄行きでした。まだ才能が明らかになっていない天海くん。デブ十神のようなかませで終わるか、これからもう一華咲かすのか…。

 1章のハードルはものすごく高い。過去二作とも意外性に満ちた事件でした。でも、今作はそれすら超えていきましたよ…。
クロは主人公の赤松さんでした。彼女は最初から首謀者を殺す気でしかなく、最原くんと首謀者を捕まえる仕込みをしている中でいそいそと殺人のトリックを仕掛けていました。ええ、視点は赤松さんで合っています。つまり1章は叙述トリックなのでした。

 学級裁判の途中で最原くんが疑われた際に彼は一切反論しませんでした。それはこの時点で赤松さんの犯行に気づいていたため、弁解することが辛かったからです。

 赤松さんの動機は単純明快。首謀者を殺してコロシアイを終わらせ、みんなで帰りたかっただけなのです。けれど天海くんを殺してもコロシアイは終わらなかったので、彼女の殺人は「仲間を延命させた」以外に価値はありませんでした。

 赤松さんはおしおきされ退場。仲間が意気消沈する中、百田解斗は辛気臭いぞと仲間を元気づけた後、モノクマに刃向かうことができない最原くんを臆病だと殴りつけます。彼は物語を正しい方向に案内する枠、ですかね。

 さて1章終わり。ボリュームは過去一でありとてもドキドキしました。人数が多いってことは容疑者も被害者もその分誰か分からないので、序盤ほど事件は面白い傾向にあります。

 心ないことを言いますが、赤松さんは良い人なんだろうけど同情できません。殺すという選択をあまりにも簡単に選びすぎてると思ったから。「みんなで友達になる」ためなら殺しても良いのですか…? タイムリミットでみんな死ぬなら自分がやるしかない、というガンダムのような意志がもっと表れていたら見方も変わったかもしれません。

チャプター2

 学級裁判を乗り越えたご褒美にモノクマーズからアイテムをもらいます。それを使用すると、行けるエリアが拡大し「超高校級の才能を持った生徒のための研究室」へと足を運べるようになりました。ちなみにチャプター1の時点で赤松さんと入間美兎の研究室は解放されていました。
春川魔姫さんは「超高校級の保育士」とのことですが、性格も研究室の風貌もまるで保育士には見えません。そして部屋に入ることも拒まれてしまいます。これは重要キャラかぁ、ヒロインが舞園さんから霧切さんに変わったみたいに、赤松さんに代わるメインヒロイン枠かぁ??

 そしてご褒美はもう一つありました。学園に収容される前の記憶を取り戻せる「思い出しライト」です。つまり章を進めるごとに研究室が解放され、記憶を取り戻すというのがV3の基本的な流れですね。

 今回の動機は「動機ビデオ」というアイテム。直球すぎる! 無印一章とほぼ同じものと考えてよさそうです。違う点は自分のビデオが手元にあるとは限らないこと。
 最原くんが見た映像は百田くんのものでした。映っていた人は祖父母。両名の生死を確かめるためにも外に出ろ! という内容。普通すぎる!

 次の日、動機ビデオの処遇を話し合います。動機を知らなければコロシアイも起きないのでビデオの交換はしないという結論になりました。けど星くんと王馬くんは交換したい派でした。王馬くんは良いとして、星くんは生きる意志が強くないので、殺しというより生きるための動機がほしかったのです。

 最原くんは赤松さんのことをまだ引きずっていました。夜時間に部屋でウジウジしている中、インターホンを鳴らして押しかける百田解斗。彼を無理やり外に連れ出しトレーニングに誘います。目的は最原くんを励ますため。赤松さんのことに囚われている最原くんの悩みをすべて見抜き、完膚なきまでの正論で最原くんを立ち直らせます。ここで素直に百田くん良いヤツ…となれたら良かったのにな。

 次の朝、突然マジックショーを開くと宣言する夢野秘密子。彼女はいつの間にか、謎な雰囲気を纏う夜長アンジーに心酔するようになってしまいました。秘密子に対して明らかに「そのけ」がある茶柱転子はプンプンです。こやつらは前作でいうソニアサンドかな。

 最原くんら大多数は“昆虫博士”の獄原ゴン太によって捕縛され、昆虫でなごもう会に強制参加することになりました。実は王馬くんの差し金であり、複数人を集めて動機ビデオを交換することが王馬くんの目的でしたが、キーボの活躍もあり未遂に終わります。昆虫でなごもう会自体は、最早おしおきと比べても遜色ない地獄絵図でした…。昆虫で生き埋めになってるー!

 次の日は秘密子のマジックショーでした。さすがに日常編長いなーと思っていたら案の定ショーの最中に死体が発見されました。被害者は星竜馬くん。死に様がトップクラスにえげつない。

 学級裁判で議論を重ねて容疑者が百田くんと春川さんの二人に絞られた時、王馬くんがとある提案をします。その両名のみで、ボロが出るまで徹底的に議論し合うという方法。お分かりのように疑心暗鬼を推奨するやり方であり、当然否定されるべきなのは分かります。メインキャラとしての風格を纏いつつある百田くんは…。

「オレは犯人じゃないが、春川も犯人じゃねぇ!」
「なんとなくそう思うんだ!」
「ただの勘じゃねぇぞ、宇宙に轟く百田解斗の勘だ!」

 何の根拠もなく春川さんもシロだと言い張りやがります。しかし既に百田に絆された最原くんはそれを信じる決意をします…。僕が信じる人が信じる人を僕は信じる!

 結局百田の言う通り春川さんは犯人ではありませんでした。クロは東条斬美さん。“メイド”としてみんなに献身しており、誰からも愛されていた彼女がどうして…。

 例の如く理由は動機ビデオ。ウルトラ有能な彼女は総理大臣から「国民すべてに仕えてほしい」と依頼されていて、東条さんは実質的に真の総理大臣といっても過言ではなかったのです。
 国民を守りぬくという誰よりも生きる意志が強い彼女は、誰よりも生きる意志がない星くんをターゲットにします。
 生きる動機を見つけたかった星くんは、自らのビデオを視聴しますが、なんとそこには何も映っていませんでした。彼が大事に想う人、大事に想われている人がこの世に存在しないことを知った星くんは、自分の元を訪れた東条さんの目の前で背を向けました。彼ほどの男が東条さんの殺気に気づかないはずがない。そう、彼は自ら命を捨てたも同然なのでした。

 彼女が生き残ることに執着している理由に同情したメンバーは、自分が代わりにクロになりたい、そもそも投票が間違っていれば良かったといいます。真実を突き止めたことは間違いだったのかと疑う最原くん。
 そこでメンター百田。生きてるだけでみんな偉いとかどうとか言ってみんなを立ち直らせます。…ここまで人間的な“正解”ばっかだと怖いぐらいだよ。

 2章のおしおきは毎回エグイ。東条さんは最後の最後まで諦めることなく、完璧超人だったキャラをかなぐり捨てた無様な逃走を始めます。しかし、逃げてというみんなの声も虚しく、彼女もまた命を落としてしまいました。

 自己と尊厳が守られたまま逝くか、おしおきによりキャラが崩壊するかで二分されます。前者のトップを無印江ノ島とすると後者のトップが東条さんだと思いますね…。ですが、彼女が生に執着するのは「国民のため」なのです。他人のためにあそこまで生き延びたいと思えるのはまさに「超高校級のメイド」だからであり、その点では彼女の誇りを感じられます。

 このあたりで公式とのすれ違いを感じざるを得ませんでした。向こうは「良いメインキャラ」として書きたいのであろう百田解斗のことを私はどんどん嫌いになっていました。
 不気味なまでに人間ができている点、不自然なまでに株を上げ続ける、過去キャラの中でも類を見ないほどのリーダーシップで主人公を完全に食っている点…。

 結局春川さんを信じる理由はガチの勘。それは好きにしろって話なんだけど、春川さんの無実を推理で証明する役目は最原くんなんですよね…。それでいて春川さんの目に良く映るのは、自分を無条件で信じてくれた百田という胸糞。

チャプター3

 前章ラストで王馬くんの手により「超高校級の暗殺者」ということをバラされた春川さん。そんな怖い能力の彼女に一同は怯えるようになり、春川さんは孤立してしまいます。
 …ここなぁ、少しは春川さんを信じる人がいても良かったでしょ。ゴン太は悩んでいる感じだったけど、女子に優しい転子まで圧制に乗り気なのはおかしいだろう。

 今回解放された研究室は転子とアンジーさん、真宮寺是清の三つ。そろそろお気づきかもしれませんが、被害者とクロは既に研究室が明らかになっているキャラから選ばれています。つまり、まだ部屋が謎の天海くんの出番はまだあるということです。メタ推理がはかどります。

 夜時間トレーニングに春川さんも参加するようになります。というより百田が連れてきたのですが…。
 この三人が、苗木霧切十神&日向七海狛枝のような今作のトリオ枠だということは明らかでしょうね。でもおかしい…一連の流れのどこを見ても最原くんと春川さんにフラグがあるとは思えない…。

 アンジー教は広がり続けていました。キーボくんゴン太白銀つむぎに加えて転子までもが教徒と化していました。彼女らはアンジーを生徒会長とした生徒会を結成し、生徒会独自のルールを設けて皆を統制しようとします。
 その目的は「コロシアイをしないこと。そのために学園を楽園にすること」 つまり彼女は脱出することを諦め、学園内で暮らすことを決めていたのです。セレスの方便とは違って今回はガチです。

 この章のアンジーはやりたい放題。学園の暮らしに外の記憶は要らないといって思い出しライトを破壊したり、外に出る手がかりである地下への道を塞いだり動機としてプレゼントされた今までの死人が蘇るというとんでもない代物である屍者の書を使おうとします。
 「仲間は多い方が楽しい」と言いつつ「もしもの(1章動機のような)場合に生贄になってもらう役」として蘇りを考えていたそうです。コワい。

 屍者の書を貰ってから百田の様子がおかしい。体調が悪そうな上にトレーニングも休むようになってしまう。つまり春川さんと二人きりのトレーニングです。なるほど??

 転子は洗脳されておらず、秘密子を正気に戻すために生徒会に潜入していただけでした。最原くん春川さん転子でアンジーの説得にかかるも馬耳東風。ちなみに百田の様子がおかしいのは、単にオカルトが苦手だからでした。心配して損した。してないけど。

 二度目の説得にアンジーの研究室に訪れると、彼女は聞く耳を持たないどころか既に喋ることすら叶わなくなっていました。

 すると真宮寺くんは、死者と対話して犯人を突き止めようとか言いだします。DL6号事件かな?
 アンジーを亡くして落ち込む秘密子と、秘密子が心配な転子、楽しそうだからと王馬くんも、成り行きで最原くんも参加することになります。

 霊の依り代役には転子が立候補します。秘密子とアンジーが話すには自分がやるしかない、と。転子ちゃん最期まで良い子だった( ノД`) …打ち間違いではなく転子ちゃんも儀式中に死んでしまいました。

 研究室のメタ推理も含めればクロは割とすぐに分かってしまいます。真宮寺くんが今回の加害者でした。
 アンジーの後に転子が亡くなりましたが、実は計画殺人は転子の方でありアンジーは予想外の事件でした。転子の事件トリックを工作している最中にたまたま通りすがったアンジーは不運な被害者でした。

 「アンジーを先に殺したなら転子はもう殺さなくて良かったじゃん」と作中からもツッコミが入ります。真宮寺くんの驚きの答えは「せっかくだから」でした。コンバット越前

 真宮寺くん最愛の人は亡き姉でした。そんな姉にたくさんの友人を送るために、真宮寺くんは女性の殺人を才囚学園入学前から大量に行っていた正真正銘のサイコキラーでした。ヤバそうに見えて本当にヤバかった例。

 秘密子ちゃんは一度に大事な人を二人も失ってしまいました。そんな傷心の彼女に王馬小吉は…

夢野ちゃんはさっきから自分の気持ちに嘘をついて、ずっと何かをガマンしてるみたいだけど…
ねぇ、何をそんなにガマンしているの?
どうして、そんなにガマンしているの?

 この言葉は、生前の転子が言っていた「自分の感情を隠さないで」という言葉を思い出させました。糸が切れた秘密子ちゃんは大号泣。憑き物が落ちたように泣き続けました。
 いつものKY発言に見えて、秘密子ちゃんを救済した王馬くん。狼少年を地で行く彼の正体とは一体…。

 春川さんがダブルヒロインなのは予想通りだったんですが、なんで主人公以外のキャラとフラグ建てまくっているのですか???
 シリーズ三作目ともなればギャルゲーを期待するのは当たり前じゃないですか。ましてやメインヒロインともなれば、ナエギリやヒナナミのような本編で主人公との絡みも期待するじゃないですか。

 いやね、こちらが勝手に期待して勝手に裏切られてるだけなのは分かるよ。それでもさぁ、シリーズ恒例のトリオ内で、主人公を除いた二人でCP成立しつつあるのは悪趣味としか思えないよ。中盤は最原くん百田春川さんの三人組がフォーカスされていくけど、主人公置いてけぼりでフラグ建てまくられてて正直ムリすぎた。

 分かるよ、最原くんには赤松さんがいるんだって。無印で舞園さんは退場して以降音沙汰なかったけど、V3はちゃんと赤松さんを描き切るんだって。プレイ時の私はもう春川さんのことは諦めて、赤松さんの出番を信じ続けていました。そうでなきゃやってられなかった。

チャプター4

 今回公開された研究室は白銀さんとキーボくん、そして最原くんでした。残る人物は王馬くん天海くんそして百田。じゃあ百田は生き残るのかぁ()

 入間美兎はコンピューター室でとんでもない発明をしていました。仮想空間です。
 本人曰くコロシアイが起きない平和な世界とのこと。モノクマの手によりこの世界の謎を明かすヒントが異世界に隠されているということでもあり、一同は仮想空間にフェードインします。

 そこで殺人は起きてしまいます。被害者はこの世界を製作した入間美兎。クソビッチ肉便器ゲロ女でも、死んだら寂しいものです…。

 そんな同情もメンバーからはなくなってしまいます(笑) なんと入間美兎が殺人を起こそうとしていたことが判明したのです。彼女は異世界を自分本位の設定に仕立て上げ、王馬くん殺害の罪を百田に着せようとしていたのです。
 彼女はコロシアイの世界に負け、裏切りの恐怖に押しつぶされ、外に出るために凶行に走ってしまいます。シリーズで最も人間くさいクロ(もどき)といえるでしょう。

 凶刃から逃れた王馬くん。彼は入間美兎の犯行を事前に察知して、協力者と共に彼女を逆に殺してしまったのです。
 協力者とは獄原ゴン太。彼が実行犯でありこの事件のクロです。
 彼と王馬くんは異世界に隠された秘密、思い出しライトを浴び、外の世界で起きている絶望を知りました。ゴン太は外に出ることは絶望でしかないと思い、いっそ仲間が何も知らないうちに一思いに楽にさせてやろうという王馬くんの甘言に乗せられてしまったのです。

 しかし、ゴン太には異世界の記憶が一切ありませんでした。彼はバーチャルへの接続を誤った影響でバグが発生して、異世界での記憶が引き継がれていなかったのです。ゴン太が殺人を犯したのは事実ですが、彼にその記憶は全くないという悲しさ…。

 この事件は完全に王馬くんの独壇場でした。仲間を信じたい百田も、裁判では邪魔者でしかなく、残酷な真実を受け入れるほかありません。

 2-1の狛枝以上に「クロ以外の悪いやつ」となった王馬小吉。嘘に塗れた彼が善なのか悪なのか分かりません。しかし「悪の総統」という言葉だけは嘘じゃなかったのかもしれません…。

 3-2と並んで印象に残るチャプターですね。ゴン太が可哀想だし入間美兎もまた極限状態に根負けしてしまった可哀想なキャラですから。

 俺が信じたい人を信じる、という百田の信条が打ち砕かれた回でしたが、それについて特に触れられなかったのは雑だな。少しは「思い通りになるとは限らない」ことを百田が受け入れる描写もあれば、見方も変わったかもしれないのになぁ。
 自分の信条に従うのは自由だが勝手にやってくれ、それに皆の命を巻き込むな、お前の感情論に従って王馬くんに投票していたらみんな死んでいたんだぞ? 2章の春川さんの時と違って百田は間違った人間を信じたんだから、それについての“裁き”がないと、裁判中に罵倒されまくった最原くんが報われないよ。
 最後の"最原"呼びも何??? ガキみてぇなことしてんじゃねぇぞマジで。あーダンロンでここまで特定キャラにヘイト溜まるとは思わなかった。

 春川さんのベタいラブコメヒロイン描写もくっさいね。あれが主人公に向けられたものだったら身悶え必至なんだけどね(しつこい)

チャプター5

 エグイサルを操っていたモノクマーズの全滅をチャンスと思い、一斉蜂起する最原くんたちと、ついに単独行動を始めた王馬くん。彼は入間美兎に作らせていた「絶望のデスロード」を楽にクリアするアイテムを最原くんたちに渡します。泳がされている感がするも素直にデスロードに挑む一同。

 効果はてきめん。ダンジョンを踏破し外の世界に脱出、、できるわけがありませんでした。
 確かに外ではありましたが、文明が崩壊した世界であり、酸素もない謎の空間でした。最原くんたちは息ができずに気絶。

 そこに現れた王馬くん。彼は遂にすべての真実を話します。今まで思い出しライトで思い出してきた記憶の答え合わせの時間です。

ゴフェル計画

 世界は突然の巨大隕石群により破滅の危機に見舞われていました。人類の滅亡を防ぐために政府は“ゴフェル計画”を立てます。超高校級の才能を持つ16人の生徒を宇宙へと飛ばし、人類が生存可能な星を見つけて人類種の保存を図ろうとしたのです。
 計画は順風満帆ではありません。まず16人の生徒は自分だけが生き残るわけにはいかないといい辞退するし、世界の終末を前にカルト集団が台頭(どこのペルソナ3だ)し、ゴフェル計画阻止のため超高校級狩りを始めました。政府は16人の生徒を死んだことにしてこれをやり過ごし、ゴフェル計画は実行に移されました。
 そう、才囚学園こそがゴフェル計画の母船だったのです。種の保存、学園にあるラブホ、あっ…(察し)

 しかし、計画に異分子が紛れ込んでいました。ゴフェル計画を阻止しようとしたカルト集団のリーダー…母船にモノクマを忍ばせコロシアイを起こし最悪の形で計画を失敗させようとした人物…3-1で赤松さんが殺そうとした首謀者…。すべての正体は王馬小吉でした。

 彼はエグイサルを自在に操り、激昂した百田を叩きのめします。ブチ切れる春川さんですが、生身の人間と機械の塊という実力差は才能だけでは埋まりません。

 コロシアイに飽きたという王馬くんはもうゲームを終了すると宣言します。モノクマももう現れない。学園で一生暮らしても良いし自殺しても良いといって、不穏分子である百田だけはエグイサル格納庫に連れ去っていきます。現場には絶望しか残されず…。

 これがエピローグなんだと理解した最原くんは、部屋で絶望と二人きり。どうせ絶望なら最後まで足掻くという春川さんの言葉により、なぜか湧いて出た思い出しライトを浴びる一同。

 そこで思い出した記憶は、自らが希望ヶ峰学園の生徒だったということ、自らが希望の象徴だったということでした。
 そして、江ノ島盾子のことも絶望の残党のことも(要はダンロン12の世界の内容)思い出します。カルト集団=絶望の残党と結び付けた最原くんたちは、王馬小吉こそが江ノ島盾子の後継、最も超高校級の絶望に近い存在であると確信します。
 世界の命運を託された以上は諦めるわけにはいかない、最原くんたちは再び希望を取り戻していきます。

 まずは百田救出に赴く一同。入間美兎さん特製の武器を携えて格納庫へとカチコみに行きます。…入間さんの性格がもう少しまともだったらチートキャラでしたね。

 格納庫へ突撃! しかし3作目ともなれば展開に予想はつく! 「どっちだ?」という疑問を胸に飛び込んできた映像は…プレス機にかけられ身元不明の被害者でした。そう来たか!

 百田のコートが死体から覗いているので、一見すると百田が被害者に見えます。しかし脳内百田畑の春川さんは不思議と冷静です。なぜ彼が死んだと簡単に受け入れているのでしょう?

そして始まる学級裁判。「必ず全員参加」というルールの元、裁きの祠に集まった人物はエグイサルに乗った誰かさん。最後の最後まで被害者が不明という前代未聞の学級裁判の始まりです。

 この回の春川さんがとにかくウザい。明らかに私情に囚われたような雰囲気であり、最原くんとの捜査もそっけなく断った挙句、裁判中も決めつけにより最原くんの妨害ばっかします。助けて赤松さん。

 その理由が判明します。なんと百田を殺したのは自分だと春川さんは自供したのです。
 彼女は百田救出もとい王馬殺害のために、入間さんの発明品を用いてエグイサルに乗り込み格納庫へ突撃します。彼女が放った毒矢は王馬くんに命中し、それでもヘラヘラする王馬くんに見切りをつけ、とどめを刺そうとすると、百田が王馬くんを庇いました。なぜなら春川さんを人殺しにしたくなかったから。その人暗殺者ですが()

 春川さんは急いで解毒薬を持ってきて百田に渡そうとしますが、王馬くんに奪われてしまいます。王馬くんが放った入間発明品により侵入も不可能になってしまい、どうしたらよいか分からなくなった春川さんはどうしようもなく、今に至ると。

 彼女が意固地にクロを王馬くんだと主張していたのは、不正解を選ばせ春川さんのみが生き残ることで王馬くんへの復讐を果たさんとしていたからでした。たとえ最原くんたちの命を犠牲にしてでも、百田が死ぬきっかけになった王馬くんを絶対に許せなかったのです。

 しかし、これで事件解決ではありません。真実とは見えないところにあるのです。
  死んだのは王馬くんで、クロは百田だったのです。事件は複雑に絡まり合っているので順を追って解説します。

 解毒薬は飲んだと見せかけただけで、春川さんが去ったあとに王馬くんは百田に施していたのです。何故か? 自身の恐ろしい計画に加担させるための脅しとして。
 王馬くんの目的は被害者もクロも不明な事件を起こすことでした。そのために、百田を脅迫する形で無理やり協力させ、自分を殺させる手伝いをさせたのです。彼とて最初は断りましたが、命を救われているのと、このまま王馬くんが毒で死ねば春川さんがクロになってしまうことから、協力せざるを得なかったのです。

 命を捨てるような真似をしたのは何故か? モノクマもとい首謀者にコロシアイというゲームで勝利するためです。そう、彼が首謀者というのは嘘でした。
 王馬くんの策により、今回の事件はなんとモノクマすら犯人が分からない状態でした。なので普段とは違い、最原くんたちの推理=モノクマの答えでもありました。
 間違ったクロを指摘した直後にエグイサルに乗っている百田が顔を見せ「やーいゲームマスターのくせに間違えたww」とか言ってゲームをグダグダにしようという魂胆でした。ルールに忠実なのは『1』から周知なので、効き目はあったのでしょうね。

 そんな王馬くんの命を懸けた作戦も超高校級の探偵によって打ち破られてしまいます。百田はルールに則りおしおきされることになりました。

 最原くんの推理力に嫉妬していたことを打ち明け完全に和解し、春川さんには告白され、以前から進行していた症状によりおしおきの最中に病死したことでおしおきは失敗し、モノクマに屈辱を与え、穏やかな死に顔でその生涯を終えました。ぼくがかんがえたさいきょうのキャラ?

 最原くんに嫉妬していた、と百田が明かしたことはとても良かったです。彼に愛憎半ばしていたからこそ、4章の大人げない態度だと分かったし、正しい行動しかしないと思った彼にも人間らしい感情があったことを知れたので、多少は彼を見る目が変わりました。
 おしおき失敗という切り札を放ってきましたが、特段響くものはなかったですね。やはり“できすぎ”感が強く表れてしまうので。これが七海さんであっても喜びはしなかったでしょう。

 少し百田の株が回復したのに対し、ストップ安なのが春川さんだぁね。結局殺しはダメという仲間の言葉は、この女には何一つとして響いていませんでした。みんなで百田を救おうという約束を反故にして、勝手な行動で事態をややこしくしたことをすべて隠した挙句、復讐心のために最原くんを罵倒し続けた上に仲間の命を切り捨てようとしたこの人を私は許すことができません。百田はこれ以上春川さんに殺しをさせたくなかったかもしれないけど、春川さん自身は残念なことにアサシンとしての適性があったのです…。

  ここまで百田百田だと、なんてかアホらしい。告白なんて過去作の本編には当然存在しませんが、まさかサブキャラ同士でやってのけるとは思わなかった。

チャプター6

 最終章、すべての謎が解き明かされる章。既に『2』を超えるボリュームで文字数がえらいことになっていますが、もう少しだけお付き合いください。

 前章でキーボくんのアホ毛アンテナが壊れたと思ったら、ロボが変わったかのような性格になり、才囚学園の破壊こそがコロシアイを終える方法であるといい完全装備キーボによる学園のデストロイが始まります。

 もちろん平和的解決を望む最原くんは、キーボくんに制限時間内にすべての謎を解明すると約束し、破壊される前に学園を駆け回ります。

 そしてすべての決着をつける学級裁判。議題は「天海くんの事件の再審」でした。学園を調べ尽くした結果、首謀者のみが通れる通路や隠し部屋の正体が判明し、それらを踏まえると天海くん殺害が可能だった人物がもう一人浮上したのです。

   白銀つむぎこそが天海殺害の真犯人であり、コロシアイの真の首謀者です。

 赤松さんのガバガバトリックは不発に終わっていたのです。本来なら助かっていたはずの天海くんをなぜ殺したのか?
 それは首謀者の彼女とてタイムリミットは望んでいなかったからです。たった1章でコロシアイが終わるなんて盛り上がりに欠けるため、彼女が赤松さんの代わりに手を下したのです。

 反論することができない白銀さんは自身の正体を明かします。その中身は江ノ島盾子53世。今作も変わらず彼女が黒幕なのでした。本人ではないのですが“完璧に”再現した彼女はもう本人と遜色ないみたいです。

 1章の裁判は間違ったクロを指摘したまま進行した。そんなのゲームマスターとして有り得ない、このコロシアイはもうやめだ! という流れが最原くんの狙い。しかし、ここから江ノ島によって明かされる尋常でない真実の前に最原くん理論はうやむやになってしまいます。

 思い出しライトは記憶を思い出すものではなく、記憶を植え付けるものです。つまり都合の良い記憶を無尽蔵に生産し、それを本人にとっての“事実”にしてしまうバケモノです。
 つまり…

  • 最原くんたちが希望ヶ峰学園の生徒という記憶も嘘

  • 地球が滅亡の危機というのも嘘

  • ゴフェル計画なんて嘘

  • カルト集団も超高校級狩りも嘘

 もう此処は何処、私は誰状態です。唯一の真実は最原くんたちが何者かに観られながらコロシアイをしている事実。何が目的だ、なぜ希望ヶ峰学園が関係ないなら江ノ島盾子がここにいるんだ?

 すると、突然江ノ島盾子が日向創に変身しました。「超高校級のコスプレイヤー」は戦 刃 む く ろ を 除 い た『1』『2』のあらゆるキャラクターに変身しながら、シリーズ最狂の絶望を最原くんとプレイヤーにお披露目します。

 最原くんたちの世界において、大人気のゲームがありました。それが『ダンガンロンパ』です。超大人気のこの作品は、シリーズV3(53)作品まで続く金字塔です。つまり、最原くんたちの世界において『ダンガンロンパ』とは手に取って遊べるフィクションでしかなかったのです。苗木くんも日向くんも、生身の人間としては存在しない二次元世界のキャラクターなのです。
 しまいには『ロンパ』はゲームの垣根を越えて、リアルフィクションものになっていきました。最原くんたちがやらされていたものとは、現実世界で『ダンガンロンパ』のようなコロシアイをするという倫理観崩壊の正気とは思えない計画なのでした。才囚学園というスタジオを作り、超高校級の才能という『ロンパ』といえばの設定も記憶操作で施しただけで、最原くんたち自身はごく普通の一般人にすぎません

 白銀つむぎはシリーズ制作を担当する「チームダンガンロンパ」の一員。彼女はフィクションである『ダンガンロンパ』で絶望を振りまいた江ノ島盾子のようなことを模倣していたのです。江ノ島盾子53世も、シリーズ53作品目だからそう名乗っただけであり「白銀つむぎの正体は江ノ島盾子53世」という設定を白銀つむぎは作っただけなのだ。

 既に限界を超えた状態で、さらに残酷な真実を突き付けられます。最原くんたちが苦しむ様子も殺し合う様子もすべて楽しく傍観している視聴者が映し出されます。彼らは心底愉快そうにニコニコのようなコメント機能と共に“6章”をリアルタイムで見物しているのです。彼らが楽しむことこそ『ダンガンロンパ』シリーズが長続きする理由なのです。

 つまりは「視聴者を白けさせる」ことこそ、シリーズファンを離れさせる方法であり、白銀つむぎに勝つ方法です。そして、誰よりも早くその真実に近づいていた人物がいました。

 それが王馬小吉です。彼が首謀者を騙った理由は、発言に説得力を持たせるため。外は破滅していて逃げ場はない、首謀者のオレも飽きたからもう何もしない、コロシアイなんてやめて好きにしてと、最原くんたちを絶望に追い込み無気力状態にすることが王馬くんの狙いでした。誰も死なない殺さないゲームに視聴者が飽き飽きすることを目的として。

 余談ですが、この理屈でいくとアンジーさんも限りなく正しかったのです。コロシアイなんてしないで一生学園で仲良く暮らすなど、視聴者は退屈してたまらなかったでしょう。もしかして白銀さんが生徒会に入ったのって…。

 王馬くんの“嘘”に対抗して白銀さんは「希望ヶ峰学園」についての記憶が詰まった思い出しライトを与えたのです。王馬小吉を超高校級の絶望と結び付け、排除させようとしたのです。春川さんはまんまと白銀さんの術中にはまったんじゃな。

 怒涛の真実に完全に打ちのめされる一同。ただ、キーボくんだけは前々から聞こえていた“内なる声”に従い、最後まで諦めないよう最原くんたちを鼓舞します。
 ただ…“内なる声”の正体は視聴者の声です。キーボくんとは視聴者の目であり代弁者でもありました。この状況で“諦めるな”と声高に叫ぶのは視聴者、つまりこのプロットも計算通りなのでした。

 絶望させたい江ノ島=白銀さん。希望を捨てないキーボくん。絶望vs希望の結末は、キーボか白銀さんのどっちがおしおきされるか、です。

  • 絶望WIN:キーボおしおき。学園生活は続行。でも魂胆がすべてバレた今、思い出しライトも無意味なので殺す理由がない。要は平和な学園生活を送れる。

  • 希望WIN:白銀さんおしおき。外にも出れるが、校則に則り脱出できるのは二人のみ。

 という、どっちにしても犠牲者を出さなくてはならないという、過去作からすると有り得ない選択を迫られます。

 誰が犠牲になる、そもそも絶望も良いのでは、希望を捨てるな、私が犠牲になる、一緒に暮らそう、白銀を倒せるなら──議論が錯綜する中、最原くんが驚きの言葉を発します。

最原「…何が希望だ」

 彼はこれまでのやり取りすべてを否定します。希望を認めないという、まるで敵キャラのようなことを言い出します。しかし、それには真意が隠れていました。

 このまま希望を選んだところで視聴者の思い通りの結果になるだけ。それなら絶望の方がマシだ、と…。
 そして最原くんはおしおきの内容についても推理します。誰もがおしおき=命を失うことと思っていますが、真実は「次のコロシアイに参加する」こと。なので…

  • 絶望WIN。キーボは引き続き次のコロシアイで視聴者代表。

  • 希望WIN。白銀さんとキーボと立候補した春川さんがおしおきされると、次のコロシアイで白銀さんは引き続き首謀者、キーボは引き続き視聴者代表。春川さんは「超高校級の生存者」としてゲームに参加する。

 聞きなれない単語が出ましたね。この肩書は天海蘭太郎の真の才能なのです。つまり彼は今のような状態にダンガンロンパ52でなり、そこで犠牲になることを選択した人物だったのです。…もしくはクロだったけど全員を欺き通して卒業できたのか。ここの解釈で天海蘭太郎という人間をどう捉えるかが180度変わりますね。

 つまりどっちを選んでも誰かが犠牲になる。それなら最原くんは第三の選択肢を選ぶといいます。それはなんとおしおきの投票を放棄するという、希望も絶望も選ばない中途半端な結末です。投票放棄はルール違反で死んでしまいますが、命を投げうってでも視聴者を盛り下げ、『ダンガンロンパ』を“ V 3 で 最 後 の 作 品”にしようと決意します。

 夢野さん、春川さん、キーボを説得して、全員で投票を棄権することを誓います。白銀さんは「フィクションのあなた達がどう行動したって、『ダンガンロンパ』は続く。フィクションなんかが現実を変えられるわけがない」と高を括ります。この発言が命取りになることを知らずに…。

 ここからブレインドライブやアナグラムといったミニゲームが始まりますが、すべてをつまらなくさせることを誓った最原くんは何もしません。

 白銀さんは万策尽きたかに見えますが、最後の敵である視聴者が立ちはだかります。“内なる声”に逆らい最原くんに従ったキーボくんは視聴者の怒りを買い、人格を消されて100%視聴者の代弁マシンとなってしまいました。視聴者はまだコロシアイを望んでいるから。

 ラストバトルは最原終一VS『ダンガンロンパ』のシリーズファン。
キーボ=視聴者であるため、最原くんはキーボを全力で説得しにかかります。

 白銀さん「フィクションで世界を変えるなんて不可能だって!」
 最原くん「どんな不可能もやれば可能になるんだ!」

 そして投票タイム。最原くんら4人はもちろん、白銀さんも投票を棄権します。最後まで生き残った仲間だからという冗談の裏に、キーボ=視聴者が自分に入れるに決まっている(希望の勝利)と疑わなかったからです。
 しかし結果は全員放棄。キーボ=視聴者も最原くん理論に同調したのです。フィクションを馬鹿にし続ける白銀さんに視聴者は失望し、もう彼女が作るフィクションに誰も期待しなくなったからです。

 ルールに則り、全員がおしおきされることになりました。視聴者もいない以上ゲームはグダグダですが、最後まで『ダンガンロンパ』らしくいこうというモノクマの意見&命を賭してこそ僕らの選択に価値があるという最原くんの意見により、おしおきは敢行されます。初めてモノクマと意見が合った瞬間かも?

 『ダンガンロンパ』がない世界で生きる意味もないと無気力になる白銀さん。彼女は「最後に計画が失敗するところまで真似できたなら“模倣犯”としては胸を張っていい」という意味深なセリフを残します。

 この事態は予想外なので、スペシャルなおしおきは用意されていない模様。そのためキーボくんによる学園もろとも吹き飛ばす自爆特攻おしおきにより、コロシアイを生き延びたはずの5名はモノクマもろとも死亡してしまいました…。

エピローグ

 最原くん、夢野さん、春川さんは生きていました。どうやらキーボ=視聴者のおかげみたい。彼らは最原くんたちが生き延びることを望んだのです。キーボくんは死んでしまいましたが(笑)
 …でもね、おしおき直前にはあったアンテナが、おしおき中には外れているんですよ。なので、この結末は視聴者の意志かもしれないし、キーボくんの意志かもしれないんですよ…。後者の方が美しいなぁ…。

 すべてが嘘で塗り固められた学園生活。白銀さんの言葉もどこまでが嘘かすら分かりません。だからもしかすると、希望ヶ峰学園はフィクションなどではなく、苗木誠たちだって生身の人間として存在しているかもしれない、と言います。

何がフィクションで何が現実かなんて関係ない。
“真実”で世界が変わるように、“嘘”で世界を変えられるなら・・・
嘘って・・・形を変えた真実でしかないんじゃないかな?
それに、世界を希望へと導く嘘もあれば、絶望へと導く真実もある・・・
真実と嘘のどちらが“正しい”のかなんて、誰にも決め付けられないはずだよ?

 真実か嘘かではなく、そこから何を受け取るかが重要という、プレイヤーへのメッセージのような言葉を残し、三人は外の世界に旅立って行きました。彼らフィクションの存在が本当に現実を変えることができたのかを確かめる旅へと…。

個人的に思った点、気になった点

賛否両論の正体について

 なんで賛否両論なのか、これ以上ないほど納得しました(笑)
 ゲーム内の「視聴者」が完全に我々を揶揄した存在だったり、『1』『2』のキャラをフィクションと一蹴されたら今まで私たちが愛していたキャラはなんだったのか、ほじくればキリがありません。

 「人が死ぬのを楽しんでる、絶望と希望のデッドヒートを望んでいる」ことを作中キャラは“悪趣味”と一刀両断しています。この構図は、公式の人間が我々プレイヤーを悪趣味だと突き付けていると同義です。
 ポケモンORASでミツルくんがポケモン廃人になったのと同じ匂いを感じます。そして同じツッコミをしようと思います。そうさせたのはお前ら公式じゃねぇーか!

 そしてもっと問題なのは『1』『2』の扱い。白銀さんの理論だと、最原くんの世界で『1』『2』は手に取って遊ぶことができるゲーム、すなわちフィクションなんだと。
 それはよろしいのですが、現実世界の我々が遊んだ『1』『2』はなんだったの? あれも最原くん世界に存在するゲームに過ぎず、我々プレイヤーはそれを遊んだだけなの? 『1』『2』はフィクションではなく、フィクションの中のフィクションという物体だったの? つまり七海さんはフィクションのフィクションのフィクション???

 クリアした今でもこの部分の結論は出ていません。なので私は、エピローグの「何を受け取るかが重要」というメッセージを大事にしたいと思います。
 噓か真実かなんて分からない、どう判断するかが大事。それなら私が望む展開を私の中では真実として扱おうと思います。「希望ヶ峰学園は存在するし、すべてのキャラクターが生身で生きる世界も存在した」これが私が選んだ真実です。
 みなさんも、自分の中で都合が良いものを信じるようにしましょう。なにも恥ではありません。

悪意の塊

 6章の白銀つむぎコスプレショー。あれは酷すぎるね。そういうゲームだと理解しつつも、酷いと訴え続けます。だって私は『ダンガンロンパ』が大好きだから。
 関係性も全部設定だってのは、私の中の真実とは相反するのでどうでもいいのですが、過去作のキャラの名言を悪用する形で『V3』の真実を話す展開は酷すぎる。苗木くんとか七海さんとかがまるで敵キャラになったかのように映る終盤はグロ映像と変わりません。間違いなくシリーズ最大の絶望といえるでしょう。
 ここがクソすぎるから『V3』は嫌い、という人がいても至って普通でしょう。キャラ愛が深い人ほどぶっささるという、希望が強いほど絶望が強くなって襲う絶絶展開やめちくり~。公式にモナカいるでしょ。

おおむね『V3』で完結したストーリー

 私が『2』で嫌だった『1』のキャラが大きく絡んだストーリーに対して、今作は江ノ島の息がかからないストーリーだったのがとても嬉しかったです。
 あのコスプレショーは「フィクションのキャラをコスプレする白銀つむぎ」という構図です。江ノ島盾子のようなことをやった白銀つむぎ以外に黒幕は存在しません。ほぼ『V3』オリキャラの白銀さんによって引き起こされた事態、“江ノ島が黒幕”というシリーズ恒例の流れすら伏線として消費した展開には盛大に拍手しました。ようやく江ノ島盾子から脱したのだなと感心した、ガチで。

  狛枝とは全くの別系統として君臨したトリックスター王馬小吉が、江ノ島と全く関係ないキャラなのも嬉しすぎる。王馬小吉を知れただけでも『V3』を遊んで良かったと心からそう言えます。

百田解斗について

 突然ですが七海千秋の名言を引用します。

あのね…『信じること』と『疑うこと』って、きっと反対の意味じゃないと思うんだ。
疑いもするけど…それでも信じたい。その先にあるのが『信じる』って気持ちなんだよ。
だって…疑う余地のないハッキリしていることなら、信じる必要だってないでしょ?誰かを信じるためにはね…『疑う』ってことを乗り越えなきゃいけないんだよ。
『疑う』ことを放棄した『信じる』なんて…そんなのただの嘘っぱちだよ。

 作中での百田解斗の行動は、七海千秋とは、そして前作でこの言葉に感銘を受けたプレイヤーとは正反対です。2章では、なんの根拠もなく春川さんを信じるの一点張り。やり方はともかく推理で決着をつけようとした王馬くんの方がマシだと思ったプレイヤーも多いでしょう。
 それなのに、既に百田に絆された最原くんはプレイヤーの意志とは真逆に疑わないという選択をしてしまいます。結果的に春川さんはシロだったので、百田スゲーという空気のまま終了…。

 プレイ中はずっとモヤモヤしていました。こんな学級裁判を根底から否定する人間が相棒ポジションとか冗談じゃない。
自分は推理しないくせに最原くんを助手扱いして連れ回す。もちろん裁判で推理するのは最原くんだけ。そのくせ肝心の場面では“正論”で周りを立て直すので、周りからの信頼もグングン獲得していく。最原くんは「百田の助手」としか認識されなくなっていく…。最原くんって百田の引き立て役でしかないのか? って本気でイライラしていました。

 トドメに、赤松さんと並んでヒロイン枠といっても差し支えない春川さんとのベタベタ恋愛まで用意されているという異常ともいえる優遇っぷり。主人公である最原くん×赤松さんのスチルよりサブキャラの百田×春川さんのスチルの方が多いという前代未聞の仕様には乾いた笑いしか出てきません。

 彼はシリーズ初となる本編内で告白を受けたキャラです。
 彼はシリーズ初となるおしおきを失敗させたキャラです。
 彼はシリーズ初となるモノクマにガチの屈辱を与えたキャラです。

 私の中の『V3』は「公式による百田解斗持ち上げ物語」という認識になっています。少なくとも『ダンガンロンパ』でこんな薄気味悪いほどの良いやつなんて求めてないんだよなー。。

春川魔姫について

 舞園さん→霧切さんの例に倣って、赤松さんの後に出番が一気に増えたこのキャラをダブルヒロインと認識した人は多いでしょう。
 しかし、まさかの主人公そっちのけで別キャラにガチ恋することになるとは誰が予想できたのでしょうか…(笑) 一緒に操作したり二人でトレーニングしたり、探偵の最原くんへの「頼もしい」発言など、主人公とのフラグも並行して建築しといて、すべてを裏切るような終盤の展開もクソでした。
  最原くんを信用する時の枕詞は「百田の助手だからね」 てめぇ最原くんのことを百田の従属物としか見てねぇのか?

 「勝手に期待しただけじゃん」という声が聞こえてきますが、前作で関係性に特化したアイランドモードなんて代物を用意したこのゲームに、ギャルゲー要素を求めないわけがないだろ?
 クズペコや眼ソニのようなキーパーソンでないキャラ同士の匂わせはいざ知らず、最原くん百田春川さんという明確に描写されたメインキャラトリオで、最原くんを除いた二人でイチャコラする様子をてぇてぇと眺めることなんて、できるわけないだろクソボケが!!!

 つまりは最原くん×赤松さんなのはもう理解しましたが、赤松さんは退場してからは結局出番はろくにないままでした。『2』ラストのヒナナミのような展開も皆無で、「最原×赤松なんだから百田×春川も許す」とはなりませんでした。描写の数が全く対等じゃないんだもん…。

 春川さん自身はシリーズでもトップクラスに可愛いと思っているので、なおのこと残念でならない。

おわりに

 結末よりも、特定キャラの描写に私は問題があると感じました。世間一般の賛否両論箇所は理解しましたが、それよりも全く別のところで倍キレ散らかしたのが、なんとも自分らしいというか…。

 でも百田解斗を除けば『ダンガンロンパ』らしさは健在でした。謎は面白いしキャラはほぼ魅力的だし、おまけモードも充実しまくっている。

 なによりもゲーム三作をプレイしたことにより、心置きなく『ダンガンロンパ』関連の検索ができるようになったことが楽しすぎる。なので『V3』をまだ遊んでいない人には「『1』『2』が好きなら遊ぶべき」と進言することにします。
 え、過去キャラを愚弄するような展開あるじゃんって? 乗り越えるのです。辛いけど、スパイクチュンソフトがあれをお出しした以上、受け入れるしかないのです。倒れずにめげずに自分なりの解釈を見つけて『V3』を消化するのだ。

乗り越えた先では間違いなく、安らかな気持ちで『ダンガンロンパ』シリーズを愛することができるから…。

↓過去作の感想記事↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?