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百万石メモリーズ 第十景「海流が交わる聖域珠洲岬・日本海を守る須須神社」

百万石メモリーズについて

江戸から加賀藩に嫁いできたお姫様「珠姫(主人公:たまひめちゃん)」が前世の記憶を半分抱えて輪廻転生し、現代の加賀百万石を訪れる。 加賀百万石の各地にあるパワースポットや歴史的な場所を巡る物語。

この物語は、第一景から第十二景まであります。今回の話は第十景となります。
「百万石メモリーズ」全12章
■第一景 珠姫のお寺天徳院・白蛇龍神の金澤神社
■第二景 珠姫が通った子宝観音院・金沢城鬼門封じの五本松宝泉寺
■第三景 殿様の眼病治した香林坊地蔵尊・縁切りと縁結び貴船明神
■第四景 百万石まつりの尾山神社・十二支巡り願掛け香林寺
■第五景 希望が見える富樫城址・三天狗が守る前田家の裏鬼門
■第六景 利常の小松城址と浮宮天満宮・大聖寺の金龍山実性院
■第七景 奇岩胎内めぐり那谷寺・女人救済の遊郭串茶屋
■第八景 白山信仰の白山比咩神社・金運の金劔宮
■第九景 入らずの森気多大社・隠し砦の妙成寺五重塔
第十景 海流が交わる聖域珠洲岬・日本海を守る須須神社
■第十一景 化け鼠と戦った猫墓法船寺・夢枕に立った白蛇養智院
■第十二景 船出の大野湊神社・浄化の霊山医王山寺

第一景は無料でご覧いただけます。

第二景から第十二景までは、各話後半部分が有料(1話100円)になっております。
今後グランゼーラ公式noteでは、毎月1日と15日に順次配信してまいります。
一挙に最終の第十二景までご覧いただきたい方は、下記の電子書籍ストアにて販売中です。
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百万石メモリーズ公式サイトはこちら→https://www.granzella.co.jp/contents/book/


登場人物紹介

・珠姫(たまひめちゃん)
江戸から加賀藩に嫁いできたお姫様で、この物語の主人公。
前世の記憶を半分抱えて輪廻転生し、現在の加賀百万石の様々な場所を巡る。
・タケチョ
徳川家康公の前世の記憶を半分抱え、輪廻転生した。
孫である珠姫が心配で、豆狸の姿に変身して旅に同行している。

人物相関図

著者:麻井 紅仁子
編集・イラスト:ほんだしょうこ

第十景
海流が交わる聖域珠洲すず岬~日本海を守る須須すず神社

「さっきは、姫が金粉に包まれて連れ去られるかと焦りました…。
きっと利常様だったのでしょうが、護衛のものとしては冷や冷やしました」

「体がふんわり浮いたみたいだった…。不思議な感覚だった。
…今日は女龍様のお身体能登半島を回るってことでしたよね」

「能登は強い気が流れてそうで、僕も覚悟してたつもりでしたが最初からすっかり驚かされました。
まずは、加賀藩始まりの地七尾小丸山城址へと思っていますが、ちょうど今、七尾で青柏祭せいはくさいを催しているので見物していきましょうか」

「青柏祭も大きな曳山ひきやまがでるんでしょう?」

「能登の祭りはどこも立派なキリコや曳山はじめ神輿もいろいろ、奇祭も多いです。
宇出津うしつのあばれ祭りなどはもう、これでもか!というくらい神輿を痛めつけ最後は海中に放り込むのですから」

「まぁ…神様を海へ?」

「昔は疫病封じなど、必死に神仏に頼ったのでしょうね。なんとかして神様に自分たちの存在を届けたいと」

「神様ぁアタシを見て~ねぇ~ねぇ~ってばぁおねが~い見て~‼って感じ?」

「もう…姫様!おふざけがすぎますよ。
あっ、今日奥能登をご一緒に回ってくださるヒカリさんがお迎えにきてくださいました」

「はじめまして、珠姫様」

「あっ、ちょっとまってね。どれどれ⁉
まあるい傘を被って…旅装束たびしょうぞくの男の人…?あなたはどなたでしょう?わからなくてごめんなさい」

「姫とは前世でお目にかかってないのですからわからなくて当然ですよ。謝ることはございません」

「そうですか!よかった。で、あなたは?」

「過去世では絵描きでした」

「珠姫様、この方は長谷川はせがわ等伯とうはく様。七尾出身の素晴らしい画家です。
京都の智積院ちしゃくいんの襖絵はじめ国宝級の作品が全国に数多く現存しています。むろんこの能登にも。
そうそう先ほどの妙成寺にもございますよ」

「まぁ‼そんなすごい方が?どうして?」

「わたくしは寿福院じゅふくいん様のお父上にたいそうお世話になったのでございます。
武士の四男坊でしたが、絵の才を認められ長谷川家に養子に入りました。
その時も京に上ることになった時も寿福院様のご実家の後ろ盾、お力添を頂きました」

「まあ、あなたも七尾生まれなの?」

「はい、利家様の前に七尾を治めていた畠山家の家臣の息子です。寿福院様が誕生された年に私は京に上りました。京に上ってから、天下人秀吉さまの側近や千利休様にもお目をかけていただけましたが、すべてのもとはこの七尾です」

「おい!等伯、過去世ではとうとう会えなんだがここで会えるとはなぁ」

「えっそういうお方は?」

「お前に江戸に出て来いというた家康じゃ」

「あ…本当にわたくしも残念でございました。せっかく家康様のお招きをうけ江戸に向いましたのに…旅の途中で病になり江戸について二日目に命つきました。
家康様には誠に申し訳ございませんでした」

「そうであったか。それにしてもさすが等伯!この旅の中で俺の姿を見て笑わなかったのはお前が初めてだ」
 
「いや~なかなかに面白い斬新なキャラクターで勉強になりました」

「で?今あなたは何をされてるの?」

「申し遅れました姫様。輪島塗の蒔絵師まきえしになるため研修中のヒカリです」

「へぇ…やはり芸術に関係してるのね」

「金美※1時代に等伯の絵に親近感を覚え、七尾に通ううちに輪島塗に夢中になってしまい。
とうとう住み着いてしまいました!」

「金沢の美大では伝統工芸も勉強できるの?」

「はい、姫様。ですが私は大学では日本画科を専攻していました。在学中にメモリーズだということに気づいたのですが過去世で描いていた日本画を現世でも勉強していたのです」

「まぁ!気づかずに同じ修行をしていたのですね。面白いわ。ではその技術を今度は蒔絵に活かそうとしているのね」

「はいそうです。絵画から蒔絵の筆に一新です。
そういえば金美も近々、新校舎になりますよ。珠姫様の菩提寺天徳院てんとくいん前を通ってすぐの場所に移転します。石川県の新図書館と併設されるので益々、文化と芸術が発展し育まれる場になっていくことでしょうね」

「ほほう。時代とともに変りいくのう。温故知新、古くから学び新しき知を得る…。
輪島塗も、とほうもなく古い歴史があるそうじゃが、現代の需要は?」

御多分ごたぶんに漏れず伝統工芸は後継者不足とその需要のなさに苦しめられてますが、やはり良いものはすたれませんし、関係者はみな努力しております」

「さすが前田、人材も奥が深いのう」

「器以外に漆塗りのヴァイオリン制作など新しいことにトライする者、国内外の富裕層向けの一点ものを扱う工房などみなみな知恵を絞っています」

「で、ヒカリはどんなことを考えてるの?」

「私は、若者にも使ってもらえる用途とそのデザインを工夫したいと思っています」

「伝統を守りつつ新しい道をひらくのね」

「さすが等伯様の記憶を持つメモリーズ。
残された数々の作品をみても、たえず高みを目指されつつ一歩も退かぬ気迫を感じるのに…いつも時代の先をみておられるのですね。
『真心がある絵』といわれた等伯様、ご健在ですね」

 とんでもないメモリーズの登場で盛りあがりながら一行は青柏祭せいはくさいでにぎわう七尾の町をあとにいたしました。

「実は私、利常様の生誕祭があって、昨日から中能登町の能登部のとべ神社にきていたのです」

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