「ガンジー自伝」を読んで「コテンラジオ」のすごさを知る

今年の頭くらいにNewspicksの無料購読をしたことがありまして。
結局無料期間中に解約したのですが、ある日、リコメンドで波頭 亮さんと深井 龍之介さん(COTEN代表)の対談が出てきました。

動画を見るとなかなか興味深く、どうやら「コテンラジオ」という「歴史キュレーションプログラム」をやっていらっしゃるらしい。自由時間も増えたし、ちょっと見てみるか。と思ったのがことの始まりでした。

完全に脱線しますが、いくつか再生しているうちに、深井さんのこの声、このノリ、昔どこかで聞いたことがあるような…。そうだ、「PONTSUKA」だ!BUMPの藤原基央さんの声に似てるんだわ。
それ以来、時折藤くんがちらつきながら番組を聞いてます。

古い順からなぞっているため、全部の番組を聞いているわけではないですが、その中で非常に強い衝撃を受けたのが、「ガンディー」の回。

これはもっと深く知りたい、と思った。

まずは彼自身の書いた本を読むべきだろうと、参考文献のひとつ、「ガンジー自伝」を図書館でピックアップ。

しかし、本を開いてみると、文庫本400ページ越え、すさまじく小さい文字、難解な言い回し、注釈の嵐。
正直読みきれる気がしなかったが、せっかく興味が出たのだから、しっかり理解して読んでみよう。
これが永き放浪の始まりだった。

(以下の文章はコテンラジオ履修前提の内容になっています)

「ガンジー自伝」を読んで

結論から言うと、全部読み切れませんでした。(後半あきらめた)

この書籍は、「彼の自伝をわかりやすく伝えること」よりも、「彼の自伝を、いかに正確に邦訳して伝えるか」に重きを置かれており(個人の感想です)、基本的には自伝の言葉がそのまま掲載、そして巻末に大量の注釈が用意されており、それを注釈を確認しながら読み進めるのはかなりの苦行でした。

コテンラジオで特に印象に残った、

  • 若年期のポンコツエピソード

  • 南アフリカでの「実験」

  • ネルー(後のインド初代首相)とその家族を懐柔するエピソード

  • 「あなたに協力してもらいます」

  • 「今まで歴史で起こったことのないことが、未来永劫起こらないとは限らないことです」

  • 塩の行進

のうち、若年期のポンコツエピソードと南アフリカでの実験以外は、『ガンジー自伝』から読み解くことができませんでした。
(書いてあったのかもしれませんが、全然頭に入ってこなかった。ゆるして。)

じゃあ他のエピソードはどこに書いてあるんだよ??ここまで読んだのにこれじゃ終われねえ!ということで、追加で「人間ガンディー」「ガンディー (岩波新書)」「ガンディーの言葉 (岩波ジュニア新書)」を図書館に取り寄せて借りる。

特に理解を深めるのに役立ったのは「人間ガンディー」「ガンディー (岩波新書)」だったので、そちらを軽く(はないが)紹介します。

「ガンディー(岩波新書)」を読んで

最初の数ページをめくって思ったのは、「俺が求めていたのはこれだったんだよ!!!」。

「ガンジー自伝」の内容が現代の日本人にもわかりやすく、簡潔に書かれている。
ページ数は「自伝」の約半分なのですべての情報が網羅されているわけではないが、「自伝」で言ってたことってこういうことだったのか~と再確認ができ、「自伝」の解説書として大変おススメの1冊
※ただ、先に「自伝」を読んだからこそ、都市の名前や固有名詞などがスムーズに理解でき読み進めやすかったのでは?という気もしている。

また、補足や解説も充実しており、他者視点からもガンディーを知ることができる。塩の行進についてもわかりやすい記述あり。

おそらく、「コテンラジオ」のシナリオの主軸はこの本だと思うので、時間がないけどもっと深く知りたい!人はとりあえずこれを読めばOK。

「人間ガンディー」を読んで

「自伝」には(おそらく)ない、「ネルー(後のインドの初代首相)とその家族を懐柔するエピソード」、「あなたに協力してもらいます」、「今まで歴史で起こったことのないことが、未来永劫起こらないとは限らないことです」
はこちらの本に記載あり。

「人間ガンディー」には、「あなたに協力してもらいます」とは書いていなかったので、このフレーズはおそらくコテンラジオの意訳だと思いますが、私には「あなたに協力してもらいます」という表現の方が非常に心に響きました。

「今まで歴史で起こったことのないことが、未来永劫起こらないとは限らないことです」も、「人間ガンディー」では長い文章で会話の記述があり、理解が進んだので、こちらにも記載しておく。

のちにガンディーの最も親しい活動仲間となった歴史家J・B・クリバラニは、(中略)次のように単刀直入に抗議せざるを得なかったという。「ガンディーさん、あなたは聖書やバガヴァッド・ギーターに精通しておられるようですが、こと歴史に関しては何もご存じないようですね。暴力に頼らないで自由を獲得した国は、過去において一つもないのですよ
ガンディーは微笑んで、クリバラニの言葉を穏やかに訂正した。「あなたは歴史について何もご存じないようですね。歴史についてまず知っておくべきことは、あることが過去に起こらなかったからといって、それが将来、絶対に起こらないとは限らないということです

人間ガンディー p69~70より引用

この本で特に腑に落ちたのが、「サティヤーグラハ」の概念。

サンスクリット語のサティヤー(satya)「真理」は、サット(sat)「存在するもの」から派生した言葉で、「真理は存在している。非真理は、存在しているように見えるが、本当は存在していない」という意味を含んでいます。

人間ガンディー p19より引用

悪、不正、憎しみといったものは、人がその存在を認めているから存在しているのであり、それ自体、実体があるわけではない」(中略)人が不正に協力しなければ、不正は存続することができない

人間ガンディー p68~69より引用

ガンディーは南アフリカで、理性の力で心を変えることは所詮できないと悟りました。人種差別は多くの人を苦しめていましたが、その苦しみを「目に見える形にする」のがサティヤーグラハの役目だったのです。目に見える形にすることによって、遅かれ早かれ、苦しみを与えている人が苦しんでいる人に同情せざるを得なくなるからです。というのも、人間の心の奥には人類共通の人間愛が、たとえどれほど深く埋もれていたとしても、必ず宿っているからです。

人間ガンディー p20より引用

また、ラジオ内でも、この本でも「不正な状況(人種差別や植民地支配)は、支配している側にもされている側にとってもよくない」という言葉があったのですが、自分は頭が弱いので、「それは被害者側の視点では?」と、あまりしっくりきていませんでした。

人種的偏見は、インド人だけでなくヨーロッパ人の品位も傷つけていました。ですから問題の真の解決は、巻き込まれているすべての人から人種差別の重荷を取り除くことでした。

人間ガンディー p20より引用

の文を読んでなるほど納得しました。

結論:コテンラジオやばい

結果、「自伝」は1週間以上(しかも完読してない)、それ以外の本は読むのに丸1日かかった。この文章にまとめるのにも合計すると2日くらいかかっている。(ちなみに、ラジオ参考文献は他にもある)

こ、これをラジオ2.5時間聞くだけであんなに簡単に理解できるのかよ…と驚愕。こんなの絶対ラジオ聞いたほうがいいじゃん。しかも記憶に残る

もし自分が普通の会社員だったら間違いなく月額1,100円を課金し応援しているところなのですが、月収最底辺フリーランスなのでこうやってnoteで文章を書くことしかできず、大変恐縮なのですが。

ぜひラジオを聞いてください。
そしてぜひぜひ私の代わりに課金して支えてもらえると嬉しいです。


役に立ったらサポートしていただけるととってもうれしいです。