見出し画像

電子ピアノとアコースティックピアノの違い

ピアノを始めるにあたって、どのピアノを選んだらいいのか迷われると思います。ピアノの講師としては、豊かな表現ができるアコースティックピアノをおすすめしますが、どうしても住宅の事情や経済的な事情から電子ピアノしか選択できない場合があると思います。

今回の記事では本物のアコースティックピアノと電子ピアノの違いについてまとめていきたいと思います。


電子ピアノについて

電子ピアノは電気で音が鳴ります。大きく分けると「サンプリング音源」と「モデリング音源」があります。

「サンプリング音源」はピアノを1音ずつ録音したものを電子ピアノの鍵盤に合わせているものになります。
「モデリング音源」は録音したピアノ音のデータを加工し、リアルタイムでアコースティックピアノの発音の仕組みを計算して、よりアコースティックピアノに近い音を鳴らすことができます。

「モデリング音源」のほうが値段が高くなります。「サンプリング音源」でもサンプリングする細かさによって値段が高くなります。実際に試し弾きをさせてもらって音の好みに合わせて購入決定するのが良さそうです。

鍵盤にも種類があり、樹脂鍵盤木製鍵盤ハイブリッド鍵盤があります。鍵盤のタッチも電子ピアノを選ぶポイントです。
樹脂鍵盤はプラスチック製のため軽いタッチになります。
木製鍵盤は程良い重さがあり、本物のアコースティックピアノのタッチと近いタッチになります。
ハイブリッド鍵盤は、木製と樹脂を組み合わせたものや、人工象牙などの素材を使用した鍵盤になります。アコースティックピアノの鍵盤アクション構造を搭載しているものもあり、本物のタッチに近い演奏をすることができるものがあります。

価格が手頃で置きやすい電子ピアノ

電子ピアノのメリット

電子ピアノはコンパクトで置き場所に困らず、音量調節やヘッドホンが利用できるので集合住宅や夜間でも弾くことができるのがメリットです。
また、ピアノ以外の音色も搭載されているので、様々な音色での演奏を楽しめます。価格も5万円〜30万円程度に抑えられます。
アコースティックピアノでは定期的に調律が必要となりますが、電子ピアノは電気で音が出ているため、壊れない限り音程がずれることがなく調律が不要です。

電子ピアノのデメリット

本来アコースティックピアノでは、指の力のかけ方や、打鍵の早さなど、弾き方で音色をコントロールしていきますが、電子ピアノでは、弾き方を変えて演奏しても、それが再現されないため、表現力の技術を身につけることが難しくなります。電子ピアノで練習すると耳と指の感覚が発達せず、余計な力を入れて弾てしまったり、指は動いているのに表現力が伴わない演奏になってしまうことが多くあります。

ペダルについても、電子ピアノで練習するとそれなりに演奏できているように聞こえるため、アコースティックピアノで演奏した時に上手く演奏できないことがあります。

クラシックの曲を弾く時では、微妙な音色のニュアンスや強弱を求めていくため、電子ピアノではその練習が難しくなります。

アコースティックピアノについて

アコースティックピアノは、鍵盤を押すことでハンマーが弦を叩き音が鳴ります。アコースティックピアノにはグランドピアノとアップライトピアノがあります。

表現力が身につくアコースティックピアノ

アコースティックピアノのメリット

アコースティックピアノのメリットは、強弱を含め、豊かな表現をすることができるということです。先にも述べたように、鍵盤に置く指の力の加減や、打鍵のスピードによって音色や強弱が違ってきます。表現豊かな演奏ができるため、より音楽を楽しむことができます。

ピアノの発表会ではアコースティックピアノでの演奏が多くなりますので、本番に近いかたちで練習することができます。

ピアノは電気製品ではないため、メンテナンスをしていけば長く使用することができます。万が一、弦が切れてしまっても張り替えることもできますし、オーバーホールすることもできます。3世代で利用できるので長い目で見ればコスパ良しかもしれません。

アコースティックピアノのデメリット

アコースティックピアノのデメリットは価格が高いことと、置く場所を選ぶということです。

中古でアップライトピアノだと30万円くらいからになります。一般的には50万円くらいからと電子ピアノに比べて価格が高くなります。
置く場所も考えなければなりません。床が弱い場合には床の補強が必要となります。音をミュートしたり、ヘッドフォンで演奏できないため、ピアノの音が出ても大丈夫な環境でないと置くことができません。

年1回〜2回、調律士さんにお願いして調律が必要となります。調律は1回が1~2万円くらいです。

アップライトピアノとグランドピアノの違い

アップライトピアノは限られた場所でも楽しめるように弦を縦に張ってコンパクトにしたピアノです。


アップライトピアノ


グランドピアノ弦が水平に張られたピアノになります。「ピアノ」は、本来、グランドピアノのことを言います。

グランドピアノ

演奏していて大きな違いは、アップライトピアノでは連打が難しく、グランドピアノでは連打が可能となります。

個人的にはベートーベンの「悲愴」第1楽章を練習していた時に自宅にアップライトピアノしかなく、本番で上手く弾けませんでした。今思えば、アップライトでの練習に限界があったのかも?と思ったり….
グランドピアノだと左手の連打が可能になるかと思います。
「悲愴」の第1楽章のYouTubeを貼っておきます。2:05辺りからの左手の連打のところになります。


グランドピアノは大きいため場所も確保する必要がありますし、値段も中古でも100万円台からになります。しかし、アップライトに比べてピアニシモからフォルティシモまで豊かな表現ができ、音に微妙な表情がつけられるのが魅力です。ピアニストを目指す方はグランドピアノがおすすめです。もちろん、そうでなく、楽しみたい方にもグランドピアノが購入できるのであれば、おすすめします。

さいごに

現在、生徒さんの中でアコースティックピアノをお持ちの方は少なく、電子ピアノで練習されている方が多いです。できれば、アップライトピアノで構わないのでアコースティックピアノがお勧めですが、お値段の問題もありますが、何より置き場所や音問題で困る場合が多いのではないでしょうか。アコースティックピアノが用意できないからといって、ピアノを諦めるのはもったいないことだと思います。電子ピアノでも構いませんので、ご自身に合ったものを選択いただけたらと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?