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MUJI & UNIQLOをパクった MINISO名創優品がいまだに人気の理由は?

こんにちわ〜、グランドデザイン李晶です。二週間の隔離生活を終えてから、二週間が経ちました。一年ぶりの上海は、何が変わったか、また、何が変わっていないのか、と興味深くて、町中を散歩しながら観察したりしています。その中、一つ気になっているのが、【MINISO名創優品】のことです。
2013年中国に登場した頃から、MUJI & UNIQLOを真似て、製品設計の意匠権侵害したり、品質を訴えられたりするようななことが相次いで起こりました。もう潰れたでしょう!と思ったんですが、上海の有名な観光地である「田子坊」の繁華街に2店舗を見かけました。また上海の中心街である「淮海中路」の中心にある「巴黎春天」にも出店しています。まさか、今だに人気があるの?と不思議に思いながら、初めて店に入ってみました。
200〜300平米の店舗には店員さん2名ぐらいしかいない。第一の印象が、みんな欲しくなりそうな商品にマカロンのような可愛い色を着せて、とても可愛い。次の驚きが、世界でも有名なアニメのキャラクターグッズがたくさんあります。版権侵害は?と疑ったところ、商品の反面を見たら、正規版の授権と書いてあります!第三が、その値段。他のブランドの1/4ぐらいで手に入れられます!じゃ、品質はどうなのかと思いながら確認すると、ブランドのものと比べたら確かに良くないと思いますが、この凄く安い値段を思えば、十分すぎる感じがします。3店舗を回って聞こえてくる周りのコメントは、「可愛い!」「可愛いですね!」「可愛すぎる!」「これも!これも〜!」です。まるで、誰でもここで自分が好きなものを、値段を問わず全部買えるような感じがしました。
では、どうやって、こんなにやすい値段で、購入満足度が高い商品が出来上がったんですか?そして、なんで、相次いだマイナスな世論の中でいまだに倒産していないで、グローバルで4200店舗を出店し、2020年にニューヨークで上場したのでしょうか?
その疑問を持ちながらいろんな資料を調べました。ここで、調べた裏側にある、人気を呼び続ける原因をまとめてごシェアさせていただきたいと思います。

安いものには良いものはないという消費理念に
アンチテーゼを投げかけた名創優品は
初めての失敗からどう挽回したか

名創優品のブランドの考え方は、MUJI & UNIQLOを真似ていて、商品設計の戦略はアップルを真似て、商品のカテゴリーと定価は、大創を参照しているはずです。名創優品の創始者である叶国富さんは、これから中国のリテール業界は「安いのにそこそこ良いもの」という時代を迎えてくると予測していました。その信念をもって、日本のデザイナー・三宅順也さんと一緒に提携して名創優品を日本で創業して、初めて中国に出店しました。中国では、「スーパー十元店舗」というあだ名をもらいました。
2013年に安物を買える下町に初めて2店舗を出店しましたが、全部失敗しました。当時、名創優品の値段(税込)は、10元(約160円)・15元(約240円)・20元(約320円)ぐらいでした。安い値段で良い品質を求めている人々にあっているのではないかと思い、下町に出店する戦略を取りましたが、まさか全然売れませんでした。その原因を調べたところ、中国の消費者は、安いものには良いものはないという伝統的な消費理念を強く持ち、名創優品の商品品質を信じてもらえなかったのです。
その失敗から、名創優品は出店戦略を変えて、広州のベンチマークである大型ショッピングモール「中華広場」に出店し、一気に名を馳せました。その原因は、まず、ショッピングモールに出店できる「ブランド」という信頼感があります。そして、ショッピングモールで買い物をするお客様は、留学した学生とかホワイトカラーなどの知識人は多い。彼らは、良いものを見分ける目がありますので、名創優品の商品の品質は悪くないと認めたうえで、普通買えない値段で買えるので、多くのお客様の心を動かしたのです。それから、コアターゲットと正確な出店戦略で、全国のショッピングモールと有名なショッピング街を素早くカバーしていきました。

マイナスな世論の中を拡張していく
名創優品の公開した、真似にくい秘密とは

中国は改革開放してから、世界ブランドの大きいOEM工場になり、徐々に製造クオリティが高くなっています。名創優品の創始者である叶国富さんは中国の製造資源と、世界で有名である日本デザインの資源を整合して、中国のリテールビジネスの改革を行なっています。そして、中国の市場から世界の舞台へ進出しました。

Secret_01
リテール企業4.0時代に変わった。
チャンネル中心からユーザーを中心に
爆売プロダクトを開発する。

名創優品の創始者である叶国富さんはインタービューでこう話している。「リテール企業1.0はオフラインであり、リテール企業2.0はオンラインであり、リテール企業3.0はJack Maが話しているO2Oであり、リテール企業4.0は名創優品が提案しているユーザーを中心にをプロダクト開発するビジネスモデルです。1.0から3.0は、全部チャンネル中心に考えた伝統的なビジネスモデルでした。これから、ECショッピンングブームのなかで生き抜くために、中国のリテールビジネスは、ユーザーのニーズに基づいて、みんなが欲しがる商品を開発するビジネスモデルに変えなければならない。」

そのために、大事なポイントとは、

1.人気な単品SKUに絞り、品質を守り、コストを極限に抑えること。

例えば、アイライナーの商品を開発した時、
①ユーザーのニーズを市場調査したうえで、一番欲しい1SKU、一番欲しい色1〜2色に絞って開発しました。

②L’Oréalの中国OEM工場に生産してもらいました。

1SKUと2色に絞り余計なデザインを割愛することで、商品の素材コストと工場の生産コストを下げて、ユーザーが選ぶとき迷わせない。このアイライナーは、ここ数年で10億RMBに達しました。

2.粗利は8%~10%にコントロールすること。

ユーザーに一番安い値段(ECと比べても競争力もある)で提供するために、粗利は8%~10%にコントロールしています。そのために「商品セレクト」に結構工夫しています。つまり、一つ一つの単品が、全部消費者の心を動かす人気商品じゃないといけないという鉄則があります。

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1億ぐらいの大金は商品デザインに投資。
店舗資源を共有するビジネスモデルに
変えることで、店舗と運営にお金を使わないこと。

名創優品は、日本と中国には、自社なりのデザイナーチームを有しています。アメリカ、デンマークといった欧米市場には当地のデザイン会社と提携しています。プロダクトの開発とデザインが企業の命だと思っているので、お金を惜しまずプロダクトに使っています。
店舗にはお金を使いません。その代わりに、加盟店のオーナーに、店のセレクト、店への出資、店員さんの給与など、店舗の家賃と運営コストを負担してもらう新しい提携ビジネスモデルに変えたんです。
なぜかというと、名創優品の強みは、商品のセレクトと開発にあります。加盟店の強みは、各自が生活している地域の優質な店舗資源を良く知り、そして持っていることです。「強みX強み」の組み合わせで、無駄を省き、効率が一番よい提携の形だと考えられています。

加盟条件、例:

契約期間:3年
契約の形:管理は名創優品に任せる
商標使用金:8万RMB/年
商品保証金:75万RMB (契約解除後、元本返金)
内装頭金:2800RMB/平米
総投資額:180万RMB以上(予算)
利益分配:毎日売上の38%(食品:33%)
店舗運営費:賃金、人件費、電気代、税金などの雑費、全部加盟店負担
内装設計&陳列台:名創優品統一提供
店員応募:名創優品統一応募、人件費加盟店負担
店舗面積:200平米以上。

(参照:https://36kr.com/p/675156535915776 )

以上からすると、一店舗加盟するだけで、名創優品はまず83万元の入金があります。1000店舗ごとに、8.3億RMBが、入ってきます。その中の保証金は、三年間で稼いだ利息も、名創優品に属しています。一方では、コストは全部加盟店が負担し、販売リスクも加盟店に転化させています。この店舗資源を共有するビジネスモデルをもって、名創優品は、健康な現金フローを担保した上で、どんどん新商品開発にお金を投資することに集中できるようになります。

Secret_03
買わないと損だという「設計」で
ユーザーのために、極めていい値段を追求。

周りの若者5人にちょっとインタビューをしてみました。
「最近、MINISO名創優品に行ったことがありますか?」
「はい、ありますよ」と5人とも言いました。
「マイナスな評価に気にならないんですか?」
「気になりますが、でも、商品自体が本当に良くて安いです。」
「どんな時に買ったんですか?」
「ショッピング街で買い物をする時、ついでに入ったら、あぁ、可愛い!と思って、そして、食事より安い値段で買える!ついでに買っちゃった〜(笑)」
「どんなものを買ったんですか?」
「例えば〜」↓

Sanrioが授権したオモチャ。29.9rmb /個 (約480円)

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アインライナーベーシック色。10rmb /本 (約160円)

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マニキュア。5rmb /本 (約80円)

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イアホン。19.9rmb /個 (約320円)

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コップと器。19.9rmb〜29.9rmb /個 (約320円~480円)

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叶国富さんのお話を借りると、店に入ったら、可愛いと好きになってもらい、その次、値段を見たら、買わないと損だと思わせる「設計」です。

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これから、デザイン資源をシェアする
ビジネスモデルへ。

店舗資源共有というビジネスモデルのおかげで、名創優品はお金を稼げるという「成功」に拍車をかけたんです。これから、「名創優選」というAPPを開発し、デザイン資源を共有しようと叶国富さんは考えているんです。「名創優選」というAPPを通して、世界中のデザイナーを募集します。いいデザインが選ばれたら、名創優品はそのアイディアを実商品化します。win-winということを狙っています。

まとめ

名創優品のビジネスは、どんどん発展していく一方で、その反面に、いろんな問題が潜んでいると思われています。正直にいうと、そのビジネスのやり方は尊敬できないんです。一方で、国を超えて、経済力に恵まれていない一般消費者に、「誰でも理想な商品を思わず買える」という幸せな購買体験をもたらしたことが、心に残ってあります。それを実現するための努力と工夫が、勉強になりました。


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